ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第9話:守る者、守られる者

その頃。

キリトの発言でホロウ・ミッションというものが発生した事を知った三人は、森の中を歩く。

 

 

「…目的は、マッスルブルホーンの討伐だ。このエリアにいるらしい」

 

 

キリトの言葉に、フィリアは頷く。

シグレはそんなことは構わない、とばかりに振り返りもせず前を歩く。

その様子に、シグレはシグレだな、と苦笑するキリト。

 

 

「っ…危ない!」

 

 

シグレの向かって左方向から飛び掛かってくるモンスター。

シグレは歩を進めており、まるで気づいていないかのようだったが、モンスターの武器が振り下ろされる瞬間。

 

 

「……」

「ガアアアァァッ!?」

 

 

モンスターの武器を持つ腕が体から切り離され、光の粒になっていた。

一瞬何が起こったのか理解できていない様子のモンスターだったが、自分の腕がなくなったことに悲鳴とも雄叫びともとれぬ声を上げる。

腕を失ったモンスターはシグレに向かって突進する。

シグレはそれを横に飛んで躱す。

勢いのついたモンスターの突進は止まることなく、シグレとすれ違うように突進していく。

その先には、斧を振り下ろす、別のモンスター。

もともとシグレを狙っていたその一撃は、突進してきたモンスターを捉え、一撃を与える。

その一撃が致命傷となり、光の粒になっていくモンスター。

けれど斧を振り下ろしたモンスターはすぐにシグレに向き直り、武器を構えなおす。

 

 

「……」

 

 

…しかし、シグレに対してはそれですら遅すぎた。

モンスターが視界にいれたシグレはすでに武器を振るう寸前。

距離も詰められており、慌ててモンスターは斧で防御に入ろうとするが。

 

 

「遅い」

 

 

シグレは防御をものともせず一薙ぎし、そのモンスターを容易く光の粒に変える。

少しして、シグレは刀を戻し、再度歩き出していた。

 

 

「……」

「…どうしたんだ、フィリア?」

 

 

先のスカルリーパー改めホロウリーパーとの戦い。

そして今の戦い、とシグレを見て、その戦い慣れた様子に考えるフィリアにキリトが声をかける。

フィリアはキリトの言葉に軽く目を伏せ。

 

 

「別に……あいつが敵じゃなくてよかったって…そう思っただけ」

「あぁ…確かにそれはあるな」

 

 

出てくるモンスターを悉く光に変えていくシグレに、キリトとフィリアは殆ど戦いの苦労なく進んでいく。

とはいえ、シグレが全てを倒しているわけでもないため、二人の負担が全くない、というわけでもない。

 

 

「…っはぁっ!!」

 

 

フィリアが近づいてきたモンスターに短剣を振るう。

とはいえ、突発的な反応で防ぐが、さすがに斧との重量差で押し切られそうになり、バックステップで一度距離を開ける。

 

 

「フィリア!」

「…問題ないわ。私だって…!」

 

 

キリトも二振りの剣を抜き、フィリアの援護に入る。

そうして、フィリアが再度斬りかかろうとした瞬間。

 

 

「っ!」

 

 

影がフィリアとモンスターの間に割って入り、そのまま影はモンスターを一撃で光の粒に変える。

その突然の事にフィリアは一瞬固まるが。

 

 

「……大事はないか」

「え、あ…うん」

「ならいい」

 

 

刀を納めながら、尋ねてくるシグレにフィリアは混乱が収まらないうちに返す。

シグレはその返事に返すことなく、再度歩き出す。

 

 

「…」

 

 

さっき挟み撃ちで襲い掛かったモンスターに気付いただけでなく、フィリアに迫るモンスターの気配にすら対応するシグレ。

そんなシグレに、どれだけ気を張っているのだろうかと、フィリアは疑問に感じる。

歩きながら、それだけの気配を察知するというのは、果たしてどれだけ神経を研ぎ澄ませばできるのか。

シグレに対する興味が当分は尽きそうにないな、などと思いながら。

 

 

「ふふ…」

 

 

フィリアは軽く笑みを零しながら、少しだけ小走りでシグレとの距離を詰めて歩き出した。

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