ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第20話:再会と、胸の高鳴り / Strea

*** Side Strea ***

 

 

 

キリトに連れられ、ホロウ・エリアへ。

 

 

「っ…?」

 

 

管理区の外、視線をやり、シグレを探す。

しかし、それらしき影は見当たらない。

 

 

「今、フィリアにメッセージ飛ばした。こっちに来るってさ」

「う、うん…」

 

 

キリトがそう、教えてくれる。

慌てずとも、ここにシグレは来る。

そう言ってくれたけど、死んでしまう瞬間を見てしまったアタシは不安しかない。

 

 

「シグレ…」

 

 

キリトが言うシグレは、アタシが想うシグレだろうか。

シグレはちゃんと、アタシの事を覚えてくれているだろうか。

アタシはちゃんと、いつも通りに接することが出来るだろうか。

他にも、いろいろな不安が巻き起こり、シグレに会いたいけど、会いたくないような、妙な感じになる。

 

 

「…っ!」

 

 

やがて、二人の人影が、近づいてきた。

 

 

「お、きたきた……ストレア?」

 

 

キリトは手を振っているが、アタシはそんな余裕がなかった。

胸元をどれだけ抑えても、緊張の高鳴りが、止まらない。

 

 

一人は、知らない女の人。

きっと、キリトが言ってた、フィリアって人…だよね。

 

 

そして、もう一人。

手を引っ張られ、溜息交じりなその人影は、見覚えがありすぎて、一瞬息が詰まる。

無茶苦茶な方法とはいえ、アタシを救ってくれた、その人を見間違うはずがない。

まして、AIなのだ。

多少の偽装くらい見破れる。

けれど、それでも偽物ではない、その姿に。

 

 

「シグレ…?」

 

 

アタシは恐る恐る、手を伸ばして問いかける。

今まで、両手剣を振るっていたのが嘘のように。

自分でもそう思えるほど、震え、弱々しい自分の手。

 

 

「…ストレア…か?」

 

 

シグレに名を呼ばれる。

なんで疑問形なのかは分からなかったけど、ちゃんとアタシを覚えてくれていた。

目の前にいるのは、確かにシグレで。

そして、アタシの事を覚えてくれている。

それだけで、アタシは十分だった。

 

 

「シグレぇ…!」

 

 

肩が震える。

目元が、熱い。

何かが、頬を伝う。

それが何かは、わざわざ答えを探す必要はない。

だって、分かりきっているから。

 

 

「っ…う、ぅ…」

 

 

目の前が歪む。

ちゃんと、シグレを見たいのに、見れない。

手の甲でどれだけ拭っても、止められない。

だけど、ぼんやりと見えた、シグレの表情は、いつもと変わらないように見えるけど、実は困ってる。

シグレの何度も見た、この表情を、アタシが忘れるわけがない。

 

 

あぁ、ちゃんとシグレだ。

 

 

その答えが、アタシの体を突き動かす。

衝動的に動いてしまったけど、きっとアタシは悪くない、と思う。

もう、この感情は、自分では止められなかった。

 

 

「っ……」

 

 

体当たりをするように、アタシはシグレに抱き着き、シグレの背中に腕を回す。

ちょっと、呻くような声が聞こえた。

だけど、そんなことは知らない。

もう、この温もりを手放したくない。

その想いを、シグレに伝えるように、シグレを抱き寄せる。

 

 

「シグレ…シグレぇ……!」

 

 

ずっと感じたかった、この温もり。

その温もりが、アタシの冷え切った心を癒していくような、不思議な感覚に包まれる。

ただ、シグレの名前を呼ぶだけで。

少しずつ、胸の奥が温かくなるような、そんな感覚。

シグレは抱きしめ返してくれなかったけど、それでも、アタシは満足だった。

 

 

「ちょっと…」

「…すまんフィリア。少しだけ…そっとしておいてやってくれないか?」

「……むぅ」

 

 

キリトとフィリアの声が、外野のように聞こえてしまう。

ごめんね、完全にアタシの我儘。

だけど…もう少しだけ、こうする時間を頂戴。

 

 

「……とりあえず、落ち着け」

「無理だよ…シグレのバカ」

「ぐ…」

 

 

アタシの答えに言葉を詰まらせるシグレ。

 

 

「…シグレがアスナに刺されて死んじゃってから、アタシ…すっごく辛かった」

「……」

「もうシグレに会えない。シグレと話せない…っていうだけで、消えちゃいたいって思うくらい」

 

 

それは、偽らざるアタシの想い。

 

 

「……もう、アタシを置いていかないで…一人にしないで……!」

 

 

ただ、傍にいるだけでいいから。

そこで、シグレが生きてさえいてくれれば、それ以上は何も望まないから。

 

 

「もう、こんな想いするのやだよ…シグレ……!」

 

 

無意識に、腕の力が強まる。

 

 

「……世話をかけたな」

 

 

言いながら、あやすように背中を叩いてくるシグレ。

本当だよ、シグレのバカ。

 

 

「もっと…ぎゅって、抱きしめてほしい…って、言ったら駄目?」

 

 

…だから、今だけ。

今だけは少しくらい我儘言っても…許してくれるかな。

 

 

 

*** Side Strea End ***

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