ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第31話:武器の強化、溢れる想い / Strea

*** Side Strea ***

 

 

 

アインクラッド、第76層。

アークソフィア。

今、アタシはホロウ・エリアから、一人で戻ってきていた。

理由は、武器の強化。

とはいっても、アタシの剣じゃないけど。

そうして尋ねる心当たりは。

 

 

「…あら、ストレアじゃない。どうしたの一人で」

「こんにちは、リズベット」

 

 

シグレの刀を作ってくれた、リズベットの所。

あれだけの刀を打てる人なら、万が一はないだろう、という判断だった。

 

 

「武器の強化、してほしいんだ」

「…え?いいけど、両手剣よね?」

「ううん、違うよ?」

 

 

会話をして、フィリアから預かった短剣と、素材を渡す。

 

 

「ね、ねぇストレア、この素材って…!」

「うん?それが何?」

「…結構なレア素材じゃない!?それもこんなに…」

 

 

リズベットは驚いたように言う。

けれど、シグレがモンスター倒したら簡単に手に入ってたような…

 

 

「結構簡単に手に入ってたよ?」

「何ですって!?…ホロウ・エリア……侮れないわ」

 

 

何かをぶつぶつ言いながら考えるリズベット。

 

 

「あのー、強化お願いしたいんですけどー?」

「あ、あぁごめん。すぐやるから、ちょっと待ってて」

 

 

全くもう。

早く戻りたいんだから。

またシグレがどこかに行っちゃいそうだったし、その前に。

 

 

…リズベットが奥の工房に入っていく。

少し時間はかかるだろう。

 

 

「んー…」

 

 

一人、店の中を見回す。

そういえば、マスターした鍛冶スキルがリセットされたとか言ってたような。

鍛冶のスキル上げの残骸って言っていいのかな。

いろんな武器が乱雑に転がってる。

その大半が店売りの武器と同じような感じだった。

 

 

「…あれ?」

 

 

そんな中、一本だけ異彩を放つ刀武器が目に入る。

妙に赤黒い刀身を持った、少しだけ不気味な刀。

アタシは何となく、それを拾い上げてみた。

 

 

「うっ…!?」

 

 

次の瞬間、アタシは妙な感覚に襲われる。

アタシは刀を持っていられず、その場に落とす。

 

 

「何、これ…?」

 

 

自分のステータスを見る。

すると、自分のSPが、僅かながらに減っていた。

一方で、刀の方は靄のようなものを纏っている。

 

 

「ちょっと、どうし…大丈夫!?」

 

 

音が聞こえたからか、リズベットが工房から出てくる。

 

 

「あんた、その刀…触っちゃったの?」

「う、うん…まずかった?」

「別にそういうわけじゃないけど…」

 

 

なんか言いにくそうにするリズベットに。

 

 

「ねぇ、この刀って…」

「失敗作よ。鍛冶スキルを戻すためにいろいろやってたらたまたま出来たんだけど…」

 

 

言いながら、リズベットが説明してくれた。

刀は『無銘・徒花』

それ自体の性能は、店売りのものとそれほど大差がない。

問題は、この装備が持つ効果。

装備者のSPを吸収し、それを武器の性能に転換し、装備者に還元する。

吸収率はプレイヤーの能力依存で、レベルが高いほどSPを多く吸収し、その分性能上昇も大きくなる。

要は、SPを減らす代わりに能力アップのバフがかかる、といった能力らしい。

一見、メリットのように見えるが、欠点もある。

装備者のSPの量が、要求される吸収量を下回ると、装備者に能力低下のデバフがかかる。

つまり、SPを使わず、かつ速攻で相手を倒すことを要求される、ということ。

 

 

「武器の性能自体はそこそこだけど、能力が酷すぎる。これじゃまともにソードスキルすら使えないもの」

 

 

クラインにすらいらないって言われたのは屈辱だった、とリズベットは悔しそうに言う。

まぁ、実際スキル封印されるようなものだしねぇ…

通常攻撃だけで相手を倒せる人じゃないと。

……あれ?

 

 

「あの、ひょっとして…これ、シグレなら使えるんじゃない?」

 

 

そう、思いつく。

シグレは滅多にソードスキルを使わない。

考えてみれば、シグレのSPが減っているのを殆ど見たことがない。

だとすれば、シグレなら。

 

 

「あー…そうかもしれないけど、さすがにこれは……」

 

 

アタシの言葉に、リズベットは少し躊躇うように考える。

もう、じれったいなぁ。

 

 

「でも、ここに置いておいて埋もれさせるのも勿体ないかなって。ダメ?」

「…あーもう、分かったわよ。どうなっても知らないからね?」

「ありがと」

 

 

頭を掻きながら折れてくれたリズベットにお礼を一つ言い、刀を受け取る。

装備しなければ、大丈夫らしく、鞘に入れた状態だとSPの吸収効果は発動しなかった。

 

 

「全く、すぐにシグレのことが出てくるあたり…どれだけあいつのことで頭がいっぱいなのよ」

「うーん…最近ずっとシグレのことばっかり、かな?だって…」

「?」

「…シグレのこと考えると、なんかあったかい気持ちになるから」

 

 

口ではどういっても、一緒にいてくれるシグレが好き。

アタシが消えそうになった時、助けてくれたシグレが好き。

AIだって言っても、軽んじることなく接してくれるシグレが、好き。

好きだから、つい考えちゃう。

好きだから、守りたいって、そう思う。

そう、リズベットに言うと、リズベットは恥ずかしげに俯いた。

アタシの方が恥ずかしいのに、なんでリズベットが恥ずかしそうにするかなぁ。

 

 

「あんた、どれだけシグレのこと好きなのよ…ホントに。聞いてるこっちが恥ずかしいわ」

「えへへー」

 

 

もう笑って誤魔化すしかないじゃん。

でも、嘘じゃないもんね。

アタシは嘘なんてつけないし。

 

 

「ほら、これ頼まれてた短剣。とっととホロウ・エリアに戻って、あんたの大事な人を連れて帰ってきなさいよ」

「うん、ありがとう、リズベット!」

 

 

フィリアの短剣を受け取り、店を後にする。

 

 

…そういえば、キリトいないとホロウ・エリアに戻れないんだった。

とりあえずメッセージ飛ばそっと。

 

 

 

*** Side Strea End ***

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