ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第50話:望み続けた再会 - I

ホロウ・エリア。

その中で数少ない安全地帯、管理区。

 

 

「……」

 

 

話す、とはいったものの、余計な負担をかけまいとするシグレなりの気遣い。

それと、どこから話すべきか、といった現実的な問題。

それが、シグレがなかなか話し始めない理由だった。

そんな事を悩んでいると。

 

 

「…シグレ」

 

 

転移門から聞き覚えのある声がシグレを呼ぶ。

その声の主は。

 

 

「…キリト。と……」

 

 

キリトとシノン。

尤も、シノンに関してはシグレは気付かなかった。

 

 

「…覚えてないのか?」

 

 

キリトが尋ねるが、シグレは疑問符。

 

 

「まぁ、そうよね…」

 

 

シノンは溜息を一つ。

覚えてくれていなかった事は残念と思いながらも、一方で仕方がない事とどこかで諦めていたのだろう。

改めてシグレに向き直り、キリトより少し前に出て。

 

 

「私にとっては違うけれど、貴方にとっては…初めまして、でいいのかしら?」

「…さて、な」

 

 

シノンの挨拶に、シグレは彼女をじっと見る。

その視線は、暗に何者かを探るかのような疑いを含んでいるように見えた。

それが、シノンには懐かしく見えた。

…あの時と、彼は変わっていないのだろう、と。

 

 

「…私は、シノン。あの時……郵便局で、初めて会ったのだけど…覚えているかしら」

「……」

 

 

そこまで言われ、ふとシグレは思い返す。

郵便局での事は、忘れようもない。

シグレが拠り所の一つを失う理由となった、強盗事件。

結果的には、その犯人を自分が撃ち殺し、事件そのものは終息した。

あの場で、会った、という表現が当てはまるのは、シグレの中には一人しか覚えがない。

 

 

「……あの場で会った、とすると…俺に礼を言ってきた…」

「っ…覚えていて、くれたのね…」

 

 

シグレが呟くと、シノンはシグレに笑顔を向ける。

男性なら誰でも見惚れてしまいそうなそれではあるが、そこで動じないシグレだったが。

 

 

「…SAOをプレイしていたか……」

 

 

世間は狭いな、等と考えるシグレだったが。

 

 

「いや…そういうわけじゃないんだ」

「…?」

 

 

キリトの否定に、シグレはキリトを見る。

 

 

「…彼女は…シノンは、途中からログインしてきたんだ」

「途中から…?」

「あぁ。実際、ログインしたのは一月前くらいだ」

 

 

キリトの言葉に、シグレはますます疑問だった。

一ヶ月前ともなれば、さすがにこのSAOが普通のゲームではないと認知されているだろうと、ゲームの中にても察しがつく。

実際、このゲームがデスゲームであることを突き付けられた初日ですら、200人前後は死んでいた。

だとすれば、このゲームをプレイすれば現実に死ぬ危険があることを分かっていながら、ここに来た、という事になる。

 

 

「…俺はずっとこの世界にいるが、外ではSAOが普通ではないことは広まっていただろう」

「えぇ…それはもう。未だにこのゲームに関する報道は続いてる……さすがに開始直後ほど騒いではいないけど」

 

 

シグレの問いに、シノンは耳にタコができそうになった、と軽く苦笑する。

しかし、それに同調することもなく。

 

 

「…何の為に」

「……先輩を、この世界から、救う為に」

 

 

シグレが尋ねる事に、シノンは迷うことなく、一言一言を確実に告げる。

先輩、という単語に引っ掛かりを覚えたシグレだったが、それは話を続けるシノンによって質問を遮られた。

 

 

「このゲームのサービスが始まってから、私は毎日…は無理だったけど、少なくとも二、三日に一回はお見舞いに行ってた」

 

 

いつか、目を覚ましてくれると信じて。

いつか、無事に戻ってきてくれると信じて。

無事に戻ってきてくれたら、改めて自己紹介ができると信じて。

それを、二年。

 

 

「…二年待ち続けても、戻ってこなくて…諦めかけた時に、キリトの妹さんに話を聞いて…ここに来たのよ」

「何故そこまでする…」

 

 

シグレが溜息を吐きながら疑問を口にする。

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