ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第70話:剣を振るう理由 / Strea

*** Side Strea ***

 

 

 

「でやあぁぁっ!!」

 

 

部屋に入り、もう何度剣を振るっただろうか。

アタシの剣は特性的に攻撃範囲が広い。

だから必然的に狙う敵も多くなる。

けれど、ここまでくるとそう簡単に倒せるわけでもないので、結果的に狙われやすくなる。

 

 

「っ…!」

 

 

それだけなら、まだいい。

驕る気はないけれど、集中すれば対処は十分にできていた。

けれど、それを許さない要因がある。

 

 

「…シグレ!」

 

 

それは言うまでもなく、シグレ。

今までだったら、そうでもなかったかもしれない。

けど、今はシステム的に弱体化させられている。

現に、アタシですらそこまで手こずらない相手に苦戦していた。

 

 

「っ…どけえぇぇっ!!!」

 

 

両手剣を半ば乱暴に振り回し、近くの敵を薙いで道を作りシグレの元に駆け寄り。

 

 

「はああぁっ!!」

 

 

シグレを狙う敵に両手剣で袈裟型に斬り込む。

その一撃でモンスターは光の粒になる。

 

 

「…シグレ、大丈夫?」

 

 

剣を下ろし、シグレに声をかける。

けれど、シグレはアタシの言葉には答えず、険しい視線を向ける。

その視線の先は、アタシ…じゃない。

 

 

「…っどけ!」

 

 

シグレは言いながら、刀で構え、アタシの背後へと駆ける。

驚いたが、そっちを見るとシグレが刀で倒したのか、数体のモンスターを光の粒にしていた。

それは言うまでもなく、さっきまでアタシが相手をしていたモンスターだった。

 

 

「はぁ、はぁっ……!」

 

 

一方でシグレ数体を相手にしただけで、息を切らしていた。

 

 

「シグレ…!」

「…俺に構って隙を見せるくらいなら、俺のことは捨て置け」

 

 

シグレに声をかけるが、シグレはアタシを見ずにそう、言い放った。

 

 

「…どうせ、あと10日も持たない命だ。精々自分の生のために利用して見せろ」

「……」

 

 

そんな事を言われても、無理だよ。

でも、きっと…シグレは止まらない。

分かってる。

アタシじゃ、届かない。

それくらい、シグレの心は曲がらない。

でも…好きな人には、生きてほしいよ。

だから、アタシは諦めない。

 

 

「…じゃあ、10日以内にSAOをクリアすればいいってこと、だよね?」

 

 

つまりはそういうことだ。

そうすれば、少なくともシグレの命の望みは繋がる。

その後の事は、アタシじゃどうにもならない。

シグレ達の現実にはアタシは行けないから。

でも、それまでは、絶対に守る。

…もう、迷わないよ。

 

 

「……ふん」

 

 

アタシの言葉に、シグレは何も返さない。

アタシだって言われっぱなしじゃ終わらない。

 

 

「有言実行、いくよっ!!」

 

 

だから、アタシは剣を振るう。

 

 

…シグレの為になら、いつだって、何度でも!

 

 

 

*** Side Strea End ***


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