ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~ 作:アルタナ
*** Side Strea ***
「でやあぁぁっ!!」
部屋に入り、もう何度剣を振るっただろうか。
アタシの剣は特性的に攻撃範囲が広い。
だから必然的に狙う敵も多くなる。
けれど、ここまでくるとそう簡単に倒せるわけでもないので、結果的に狙われやすくなる。
「っ…!」
それだけなら、まだいい。
驕る気はないけれど、集中すれば対処は十分にできていた。
けれど、それを許さない要因がある。
「…シグレ!」
それは言うまでもなく、シグレ。
今までだったら、そうでもなかったかもしれない。
けど、今はシステム的に弱体化させられている。
現に、アタシですらそこまで手こずらない相手に苦戦していた。
「っ…どけえぇぇっ!!!」
両手剣を半ば乱暴に振り回し、近くの敵を薙いで道を作りシグレの元に駆け寄り。
「はああぁっ!!」
シグレを狙う敵に両手剣で袈裟型に斬り込む。
その一撃でモンスターは光の粒になる。
「…シグレ、大丈夫?」
剣を下ろし、シグレに声をかける。
けれど、シグレはアタシの言葉には答えず、険しい視線を向ける。
その視線の先は、アタシ…じゃない。
「…っどけ!」
シグレは言いながら、刀で構え、アタシの背後へと駆ける。
驚いたが、そっちを見るとシグレが刀で倒したのか、数体のモンスターを光の粒にしていた。
それは言うまでもなく、さっきまでアタシが相手をしていたモンスターだった。
「はぁ、はぁっ……!」
一方でシグレ数体を相手にしただけで、息を切らしていた。
「シグレ…!」
「…俺に構って隙を見せるくらいなら、俺のことは捨て置け」
シグレに声をかけるが、シグレはアタシを見ずにそう、言い放った。
「…どうせ、あと10日も持たない命だ。精々自分の生のために利用して見せろ」
「……」
そんな事を言われても、無理だよ。
でも、きっと…シグレは止まらない。
分かってる。
アタシじゃ、届かない。
それくらい、シグレの心は曲がらない。
でも…好きな人には、生きてほしいよ。
だから、アタシは諦めない。
「…じゃあ、10日以内にSAOをクリアすればいいってこと、だよね?」
つまりはそういうことだ。
そうすれば、少なくともシグレの命の望みは繋がる。
その後の事は、アタシじゃどうにもならない。
シグレ達の現実にはアタシは行けないから。
でも、それまでは、絶対に守る。
…もう、迷わないよ。
「……ふん」
アタシの言葉に、シグレは何も返さない。
アタシだって言われっぱなしじゃ終わらない。
「有言実行、いくよっ!!」
だから、アタシは剣を振るう。
…シグレの為になら、いつだって、何度でも!
*** Side Strea End ***