ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~ 作:アルタナ
その頃、ALOにて。
「…シグレらしき相手と戦った?」
シノン、そして彼女の紹介でユウキがALOでキリト達と合流。
シノンが中心になり、GGOで先日対峙した相手の事を話す。
「まぁ…確証は得られなかったけど」
そう前置きをしながら、GGOでの対峙を振り返るように話す。
フィールドにて、20人を軽く超えるプレイヤーを一人で処理した事。
その方法が、誰一人死に戻りさせずに戦意喪失させるものだった事。
そんな彼に自分たちも打倒された事。
手も足も出なかった事。
「……それが事実だとしたら、まるで化け物、ね」
「…うん。倒された他のプレイヤーの実力は知らないけど、それでも20人相手に一人でって…」
「それじゃ、確かめるなんてとても…」
フィリア、リーファ、サチが、そう言葉にする。
彼女らの意見には、最前線で戦った皆は概ね同意していた。
「……仮にそれが事実なら、少なくとも私には無理だわ」
「私も…ちょっと」
最前線での戦いに慣れていないリズベットとシリカは半分白旗を上げる。
シノン達が会った人物は本当にシグレなのか。
それを確かめる術が、見当たらない。
「……ところで」
アスナがシノンから若干視線を逸らしながら話を変える。
その視線の先には。
「さっきからずっと気になってたんだけど…その人は?」
ユウキ。
GGOでの状況を話すときに僅かに話には加わっていたが、まだ自己紹介をしていなかった。
とはいえ、紹介をしようにも、一緒に行動をしていたシノンとて詳しい事情を知っているわけでもないので、何も言えなかった。
「……えっと、ですね」
話を振られ、おずおずと前に出ながら。
「その…ユウキっていいます」
人数がそれなりにいる中、ましてや知り合いでもない人の視線に晒されながら前に出るのに若干の抵抗を見せつつ。
「ボクはその…シグレさんに会って、どうしても…謝らなきゃいけないことが…あるんです」
そう、はっきりと告げた。
その言葉の意味するところは、この場にいる誰にもわからない。
けれど、彼女がいかに本気なのか。
それはユウキの話し方、そして彼女の視線で、なんとなく感じ取れるものだった。
「…そうか」
そんな彼女に最初に歩み寄ったのは、キリトだった。
そんな彼の表情も、どこか真剣なもので、ユウキは何か突っ込んだことを聞かれるのかと覚悟していた。
「……ところで、ユウキは剣が得意なのか?」
「………え?あ、まぁ…」
しかし、そんなユウキの予想を裏切る質問に、どこか抜けた返事を返す。
そんなユウキの動揺をよそに。
「よし、じゃあ決闘しようぜ!」
「え?はい?…えぇ!?」
突然の話の流れに置いてけぼりになりながら、話に応じるユウキ。
流されるように剣を抜き、対峙する二人。
「ちょ…ちょっとキリト!?何をいきなり…」
見かねて、リズベットが制止をかけようとするが。
「…俺、シグレとはSAOで少しの間、一緒に行動してたんだ。決闘も何回かやった」
キリトは聞かず、ユウキに話しかける。
その間もカウントダウンは続いている。
「戦績は、大体勝率5割位だったんだ。GGOの方がどうなのかは知らないが…少なくとも俺に勝てなくちゃ、剣の腕については話にならないかもな?」
「…」
どこか挑発ともとれるキリトの言葉。
その言葉に、ユウキは苛立つこともなく、むしろ笑みを浮かべて。
「じゃあ、キリトさんに勝てなくちゃ…」
「キリトでいいよ」
「……キリトに勝てなくちゃ、お話にならない、ってことだよね?」
ユウキも剣を構える。
キリトが望んだのは、力比べというよりも、対話。
剣士キリトとしての、剣士ユウキとの対話だった。
「…言うまでもないが」
「本気だよ?」
互いに笑みを一つ。
やがて、カウントが0になる。