ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~ 作:アルタナ
ここにいる4人は、本意ではないにせよ顔見知り。
だからこそ、警戒していた。
「……」
警戒心を剥き出しにする4人に対し、フードを被ってこそいるが警戒をする様子もない。
それどころか口元には笑みすら浮かんでおり、いかに余裕を見せているかが窺える。
早い話が舐められているのだろう、と誰もが思っていた。
「随分警戒してくれるなぁ…ここは圏内だろ?それにSAOじゃねぇんだ。別に死にゃしねぇし、殺す気もねぇよ」
両手を上げ降参のポーズをしながらPoHは嗤う。
「…何か俺たちに用か」
「おぉ怖い怖い。まずはその殺気を収めてくれなきゃ、ブルっちまって何も喋れねぇよ」
キリトの言葉にPoHはおどけて返すが、それには舌打ちを返すキリト。
「…よく言うぜ。これっぽっちもビビってない癖にな」
「HAHAHA…そりゃそうだろ。お前らみたいなぬるま湯の中で生きてきたガキ共の殺気なんぞ児戯と変わらねぇよ」
「な…!?」
PoHの返しにフィリアがカチンと来たのか声を漏らすが、それでも手を出したりはしない。
「SAOで殺しに慣れたっていう奴もいるだろうが…俺から言わせりゃ、あれだってただのゲームだ。本物とは程遠い」
「…自分は殺しを知ってる、っていう自慢か?」
「いや?」
何を言っているんだ、と言わんばかりの否定。
「お前らがお熱なシグレ君だって、俺と同じ……殺しを知ってる人間だ。お前らがママゴトをしてる頃に他人の血を浴びてたくらいには、な」
「っ…」
「SAOにはなかった、人の肉を斬る感触を知ってる人間に、お前らはなんて言葉をかける?」
お前らの薄っぺらい言葉じゃ、届きゃしねぇだろうがな。
そう、PoHは言い放つ。
「…仮にそうだったとしても、今はどうしてもシグレ君に会わなきゃならないのよ」
「会ってどうするんだ、閃光?」
「っ…貴方には関係ない!」
アスナの剣幕におぉ怖い怖い、とおどけるPoH。
「ま、お前らがどうしようが知ったこっちゃねぇがな」
「……だったらそこをどいてくれ。急いでるんだ」
キリトが歩き出し、PoHから離れていく。
キリトが行こう、と声をかけ、4人が離れても、PoHが彼らの後を追うことはなかった。
皆からは、PoHがどんな表情をして見送っていたのかは分からないが、それ以上は考えなかった。
………
……
…
キリト達もいなくなり、一人佇むPoH。
フードに隠された視線は未だ、キリト達が去った方向を向いていた。
「……」
その口元からは、おどけた笑みは消えていた。
表情を変えず、宙を見上げながら。
「…どうやら、アンタの依頼は、完遂ってことになりそうだ」
俺はお役御免だな。
言いながら、笑みを浮かべるPoH。
その視線の先には。
「……ゲントウ」
ぽつり、と呟いた名前。
その呟いた名は。
…華月玄冬。時雨の父親の名だった。