ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第17話:嵐の前の交錯 - I

それから数日。

GGOで最大級のイベントともいえるであろう、Bullet of Bullets。

通称、BoB。

通算3回目となる大会の、予選の前日。

 

 

「……」

 

 

受付を締め切り、既に出場メンバーは確定していた。

キリト達はGGO内で集まり、そのメンバーリストを確認していた。

その場に集まったのは、参加者としてはアスナ、サチ、リズベット、リーファ、シノン、ユウキ、ストレア、クライン。

店の都合でこの場にはいないが、エギルも参加者として登録していた。

シリカは恐怖心が先立ってしまってか、今回は参加を見送っていた。

ちなみに、ユイも非参加である。

初めは参加も考えたようだが、キリトの心配からくる親心で止められたとか、そうでないとか。

その真偽はさておき。

 

 

「…先輩は、いない…か」

 

 

シノンが息を吐きながら、呟くように言う。

彼女にとっては、自らの強さを求める事と同じくらい、あるいはそれ以上にシグレを気にしていたこともあり、無理もない。

とはいえ、それ以上に気になっているのは。

 

 

「病気…悪化したんじゃ……」

 

 

サチが不安げに呟く。

それが皆の懸念だった。

 

 

「…病気って…あいつ、どっか悪いのか…?」

 

 

クラインがサチの言葉に、そう疑問を投げかける。

それに対し。

 

 

「……シグレさん自身の話だと、急性骨髄性白血病…との事です」

「お、おい…それって、やべぇんじゃ…」

 

 

ユイが答える。

さすがに聞かされた病名に狼狽えるクライン。

それに追い打ちをかけるように。

 

 

「パパ達がシグレさんと戦っている際のモニターを行っていましたが、命に関わるレベルでの障害が出ている可能性が高い…と思います」

 

 

ユイが掻い摘んだ説明をする。

クラインはその意味を理解できてしまった。

 

 

「…おまけに、どこにいるか。どこからGGOに接続していたのかすら分からない状態なの」

「だから、助けるとか以前に、お見舞いに行くことすら…出来ない」

 

 

アスナとサチが続き。

 

 

「……最悪の場合、先輩は…もう」

 

 

シノンが、最悪の結末を言いかけ、止める。

その先を、彼女とて言いたいわけではない。

だからこそ。

 

 

「…そんなわけ、ないわね。先輩だもの」

 

 

それでも、自らに言い聞かせるようにシノンは続ける。

それに続くように。

 

 

「今、あの人とボク達を繋ぐのは、このGGOしかないから」

 

 

だから、戦うしかないんだ。

ユウキもまた、そう決意を口にする。

 

 

「…それに、シグレはそんな病気なんかに負けるような人じゃないよ」

 

 

ストレアもまた、はっきりとそう告げる。

そんな彼女の目に、迷いはない。

 

 

「この大会で、シグレに会えるかなんて分からない。だけど…必ず見つける」

 

 

もう、迷わない。諦めない。

そう、ストレアの目は物語っていた。

 

 

「……強いな、女ってのは」

「全くだ」

 

 

クラインの言葉にキリトが同意する。

 

 

「……とはいえ、明日は戦うんだ。負けてられないな」

 

 

キリトもまた、静かに闘志を燃やす。

…が。

 

 

「っつってもキリの字よぉ。俺ぁその時いなかったから知らねぇけど、戦って勝てなかったんだろ?…次の勝算はあるのかよ」

「…」

「おいコラ、さてはおめぇ何の考えもねぇな?」

 

 

視線を逸らすキリトに、追及するクライン。

その様子に。

 

 

「なんか、お兄ちゃんらしいといえばらしい、かな」

 

 

リーファが微笑ましげに言うのを皮切りに、皆が笑う。

そんな、束の間の平穏の場に。

 

 

「……随分、余裕ね」

「っ…あ、あんた……」

 

 

突如現れた女性の声に、リズベットが警戒しながら声の主に向き直る。

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