ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~ 作:アルタナ
それから数日。
GGOで最大級のイベントともいえるであろう、Bullet of Bullets。
通称、BoB。
通算3回目となる大会の、予選の前日。
「……」
受付を締め切り、既に出場メンバーは確定していた。
キリト達はGGO内で集まり、そのメンバーリストを確認していた。
その場に集まったのは、参加者としてはアスナ、サチ、リズベット、リーファ、シノン、ユウキ、ストレア、クライン。
店の都合でこの場にはいないが、エギルも参加者として登録していた。
シリカは恐怖心が先立ってしまってか、今回は参加を見送っていた。
ちなみに、ユイも非参加である。
初めは参加も考えたようだが、キリトの心配からくる親心で止められたとか、そうでないとか。
その真偽はさておき。
「…先輩は、いない…か」
シノンが息を吐きながら、呟くように言う。
彼女にとっては、自らの強さを求める事と同じくらい、あるいはそれ以上にシグレを気にしていたこともあり、無理もない。
とはいえ、それ以上に気になっているのは。
「病気…悪化したんじゃ……」
サチが不安げに呟く。
それが皆の懸念だった。
「…病気って…あいつ、どっか悪いのか…?」
クラインがサチの言葉に、そう疑問を投げかける。
それに対し。
「……シグレさん自身の話だと、急性骨髄性白血病…との事です」
「お、おい…それって、やべぇんじゃ…」
ユイが答える。
さすがに聞かされた病名に狼狽えるクライン。
それに追い打ちをかけるように。
「パパ達がシグレさんと戦っている際のモニターを行っていましたが、命に関わるレベルでの障害が出ている可能性が高い…と思います」
ユイが掻い摘んだ説明をする。
クラインはその意味を理解できてしまった。
「…おまけに、どこにいるか。どこからGGOに接続していたのかすら分からない状態なの」
「だから、助けるとか以前に、お見舞いに行くことすら…出来ない」
アスナとサチが続き。
「……最悪の場合、先輩は…もう」
シノンが、最悪の結末を言いかけ、止める。
その先を、彼女とて言いたいわけではない。
だからこそ。
「…そんなわけ、ないわね。先輩だもの」
それでも、自らに言い聞かせるようにシノンは続ける。
それに続くように。
「今、あの人とボク達を繋ぐのは、このGGOしかないから」
だから、戦うしかないんだ。
ユウキもまた、そう決意を口にする。
「…それに、シグレはそんな病気なんかに負けるような人じゃないよ」
ストレアもまた、はっきりとそう告げる。
そんな彼女の目に、迷いはない。
「この大会で、シグレに会えるかなんて分からない。だけど…必ず見つける」
もう、迷わない。諦めない。
そう、ストレアの目は物語っていた。
「……強いな、女ってのは」
「全くだ」
クラインの言葉にキリトが同意する。
「……とはいえ、明日は戦うんだ。負けてられないな」
キリトもまた、静かに闘志を燃やす。
…が。
「っつってもキリの字よぉ。俺ぁその時いなかったから知らねぇけど、戦って勝てなかったんだろ?…次の勝算はあるのかよ」
「…」
「おいコラ、さてはおめぇ何の考えもねぇな?」
視線を逸らすキリトに、追及するクライン。
その様子に。
「なんか、お兄ちゃんらしいといえばらしい、かな」
リーファが微笑ましげに言うのを皮切りに、皆が笑う。
そんな、束の間の平穏の場に。
「……随分、余裕ね」
「っ…あ、あんた……」
突如現れた女性の声に、リズベットが警戒しながら声の主に向き直る。