ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第18話:嵐の前の交錯 - II

そうして向き直った先にいたのは、印象的な銀髪。

 

 

「……」

 

 

リズベットの真剣な表情に、皆も息を呑む。

そんなリズベットは対峙し、声を詰まらせながら。

 

 

「…えーと」

「……?」

 

 

言葉を続けないリズベットに訝しげな表情を浮かべる。

やがて、その無言に耐えかねてか。

 

 

「……誰だっけ?」

 

 

そのリズベットの一言に、言われた本人を含めた皆が呆気にとられる。

 

 

「ぷっ…ふふ……っ!」

 

 

堪えきれなかったアスナが噴き出し、それを皮切りに。

 

 

「そりゃないだろリズベットさん?…く、くく……」

「わ、笑っちゃ駄目だよおにいちゃ…ん…!」

 

 

そんな兄妹のやりとりに皆が笑い。

 

 

「……はぁ」

 

 

シノンは頭を押さえて溜息を吐く。

 

 

「自殺願望があると見ていいの…?」

 

 

わなわな、と震えながら光剣の柄をとる女性、改めヴェンデルガルト。

若干俯いた表情は窺えないが、なんとなくどんな表情なのかは想像できていた。

 

 

「わ、忘れてたわけじゃなくて!その、結構長い名前じゃない?だから、なんというかその…ね」

 

 

慌てて弁解するリズベットに、ヴェンデルガルトは一つ息を吐き。

 

 

「…貴女は」

「え…?」

「出るの?」

 

 

ヴェンデルガルトの声色が落ち着いた事に安心しながら、リズベットは頷く。

 

 

「…え、えぇ」

「そう」

 

 

ヴェンデルガルトはリズベットを睨みながら。

 

 

「…予選だろうと、本戦だろうと……見つけたら真っ先にあんたは殺す」

「だからごめんってば!」

 

 

半泣き状態のリズベットから視線を逸らし。

 

 

「……それはそれでいいとして、聞きたいことがある」

「何だ?」

「あいつは…出る?」

 

 

ヴェンデルガルトはキリトに問いかける。

あいつ、が誰を指しているをわからない人物は、ここにはいない。

 

 

「…聞いて、どうするの?」

 

 

一歩前に出て、ストレアが尋ね返す。

その視線は、真剣なものだった。

 

 

「……」

 

 

少しの視線の交錯の後に、ヴェンデルガルトが先に視線を逸らす。

 

 

「…知れたこと。私は復讐の為にずっと奴を追い続けてる。それが仮想世界だろうと、何も変わらない」

「アタシは……守るために、追い続けてる。それが仮想世界でも、ね」

 

 

そんなやり取りをする。

 

 

「違うよストレア」

「え?」

「私たち、でしょ?」

 

 

ストレアにフィリアがそんな訂正をしながら笑いかける。

そんなフィリアに、そっか、と彼女も笑う。

 

 

「……まずは、貴女達を倒さなくちゃならないということだけは、理解した」

 

 

二人の様子に、ヴェンデルガルトは溜息を吐く。

やれやれ、といった様子で。

 

 

「ちょ、ちょっと待って」

 

 

踵を返し、歩き出そうとするヴェンデルガルトをユウキが止める。

 

 

「…何」

「あの…その、ですね」

 

 

振り返らず、肩越しにユウキに視線を向けるヴェンデルガルト。

ユウキはそんな彼女に若干威圧感を受けながら。

 

 

「……ボクには、どうしても信じられないんです。あの人が…平気で人を殺す、なんて」

「信じる信じないは貴女の勝手。けど…あいつは、私の両親を殺した」

 

 

どうあっても、その事実は消えない。

どうあっても、許すことはできない。

そう、ヴェンデルガルトの眼は物語っている。

 

 

「でも、あの人は……どうあっても許されないことをしたはずなのに、ボクの命を救ってくれた」

 

 

たとえ本意ではなかったとしても、生かしてくれた。

たとえあの人が、人を殺すことができる人だとしても、最後まで信じる。

そう、ユウキの目は物語っている。

 

 

「………そう信じるのなら、信じればいい。別に私はそれを否定しない」

 

 

ユウキにとっては意外に感じたヴェンデルガルトの言葉。

ユウキの驚きに構わず、ただ、と言葉を続ける。

 

 

「どちらかが真実だとしても……その事実を見せるのは、私でも貴女でもない、あいつ自身」

 

 

その真実を知るために、私は追い続けている。

そう、はっきりと言い切る。

 

 

「…その真実を知った時、貴女はどうする?」

「……」

「私は、真実がどうであろうと…敵討ちの為に、奴を殺す。私はその為にこれまで生きてきた」

 

 

止められるものなら、止めてみればいい。

それを言い放ち、今度こそ視線をユウキから逸らした。

 

 

「……また明日。運が良ければ会いましょう」

 

 

それだけ言い残し、ヴェンデルガルトは歩き出した。

 

………

 

……

 

 

「…そこのピンク頭だけは、何があろうと必ず殺すけど」

「ひいぃ!?」

 

 

 

…そんな置き土産を残して。

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