ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第28話:共闘と、撤退

その後。

シグレはストレアと共に74層の迷宮区に挑んでいた。

 

 

「せやあぁっ!!」

 

 

ストレアが前に出て、大剣を大きく振り回し、敵を殲滅する。

大振りで隙が大きくなりがちなスタイルにも関わらず、敵を寄せ付ける隙がない。

 

 

「どう?結構、やるでしょ?」

「あぁ…」

 

 

大剣を軽々と振りながら声をかけてくるストレアにシグレは同意で返す。

実際、足手纏いなら同行を許すつもりはなかったのだが、そんなことを言わせない程に、ストレアは戦闘に長けていた。

しかし。

 

 

「…だが、油断は禁物だな」

 

 

言いながらストレアの背後に移動し、迫っていた敵を斬りつける。

初めこそ雑魚にも若干手間取っていたが、暫くここで狩りを続けていたせいか、雑魚クラスであればそこまで苦戦なく倒せる程度にはなっていた。

警戒を解くことはできないが、探索を続けるには十分なレベルにまで達していた。

 

 

 

そうして迷宮区を歩き続け。

 

 

「…ここか」

「うん…」

 

 

シグレとストレアは二人、一際大きな扉の前に立つ。

 

 

「行く、ん…だよね…?」

「…あぁ。俺はそのために、ここにいる。立ち止まる理由がない」

「うん…」

「…安心しろ、いざとなったら、お前が逃げるくらいの足止めくらいはできるはずだ」

「アタシはそこに貴方自身を入れてほしいんだけどね…」

 

 

溜息を吐くストレアに特に反応せずに、シグレは扉に手をかける。

それに合わせてストレアも扉に手をかける。

少し力を入れると、重い音を立てて扉が開きだした。

開いた部屋の中は闇に包まれていた。

 

 

「…」

「ちょ、ちょっと…!」

 

 

シグレはそれに躊躇わず部屋の中へと歩を進める。

ストレアが制止しようとするが、シグレには届かず。

 

 

 

暗闇の中歩を進めようとするストレアの体に何かが当たる。

それは、シグレの腕だった。

ストレアをそれ以上進ませないように、というもののようだ。

 

 

「…シグレ?」

 

 

ストレアが訪ねようとした瞬間、部屋の一角に青い炎が灯される。

それは連鎖的に次の燭台へと移っていき、暗闇の中を幾つかの青い炎の松明が照らす。

その中央に構えている、このフロアのボスであろうモンスター。

青い炎だからというだけではない、青い巨体が玉座に鎮座している。

その巨体がこちらを確認し、ゆっくり腰を上げ、こちらに向けて咆哮を上げる。

 

 

「っ…」

 

 

さすがにここまで来ると、威圧感も凄まじい。

咆哮が空間を震わせ、シグレは一瞬動きを止める。

その様子を見てなのか。

 

 

「だめ、だめだよシグレ…戻ろ?」

 

 

ストレアはシグレの手を取り、どこか焦点のあっていない目でその敵を見ながら懇願するように言う。

その様子に、シグレは疑問を感じる。

これまでそれなりに行動を共にしてきたが、いつもの調子を崩すことは殆どなかった。

だからこそ、ここまでの怯えように疑問を感じるシグレ。

とはいえ、シグレは止まるつもりなどなく。

 

 

「…最初に言っただろう。生きていればそれでよし、死んだところで」

「それでもダメ!…今ならまだ間に合うから…早く、お願い…!」

「……?」

 

 

そんな問答をしていても、相手はゆっくり近づいてくる。

背負った巨大な剣を構え、こちらに振り下ろす体制になる。

 

 

「っ…どけっ!」

「あっ…!」

 

 

ストレアを振り払い、刀を抜き、両手で柄と刀身を支えながら敵の振り下ろしに対抗する。

とはいえ、細身の刀と巨大な剣。

押さえるのに精一杯だった。

 

 

「ぐ、ぅ…っ!」

「シグレ!」

 

 

相手の重すぎて、刀がギシギシと音を立てる。

それと同時に刀身を支えている方の手に、刀身が強く押し付けられ、そのせいでHPが減少していく。

 

 

「何してる…早く下がれ!」

「っ…!」

 

 

シグレが叱咤するように言うと、ストレアはバックステップで下がる。

それを見て、シグレも刀を捨て、すぐに後ろに跳んだ。

離された刀は耐久値が限界だったのか、地面に落ちた瞬間、光となって消えた。

 

 

「…退くぞ」

「うんっ!」

 

 

シグレの言葉に、もとよりそのつもりだったストレアはすぐに部屋の外に向かって走り出す。

シグレもそれを見届け、部屋を後にした。

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