ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

33 / 251
第29話:語られる、真実

その後、シグレとストレアの2人は町に戻っていた。

というのも、シグレがメインで使っていた武器を失ったから。

といっても、今まで使っていたのも店売りだったので、この町で買えば何の問題もないのだが。

 

 

「その…シグレ?さっきは…ごめんね。取り乱して…邪魔しちゃった」

「…別にいい。また挑めば済む話だ」

 

 

ストレアの言葉に、シグレは彼女の表情を見ずに返す。

その様子に、ストレアはシグレが怒っているのだろうと考え、いつもの調子で強く出られなかった。

実際のところは、シグレもまたストレアを気遣って見ていなかっただけなのだが。

 

 

「…それより、いくつか聞きたいことがある」

「うん…」

 

 

シグレはストレアに言うが、やはり返ってくる声に覇気がない。

溜息を吐きながら、けれどどうしたらいいか分からず、静かに二人は宿へと向かった。

 

 

 

そうして、二人部屋を取り。

 

 

「…それで、だ。今日はどうした?いつもなら、あそこまで強く止めたりはしなかったろう」

「それは…」

 

 

ストレアはシグレの言葉に一瞬止まる。

シグレが疑問に感じていたこと、それはあのボスと対峙した時の怯えようだった。

二人でボスと対峙するのは初めてではない。

だが、あそこまで怯えるのはおかしいと思ったのだ。

 

 

「……言い辛いことか?」

 

 

シグレの言葉に、ストレアは頷いた。

 

 

「なら、無理には聞くつもりはない…だが、一つだけ。礼を言っておく」

「え…?」

 

 

シグレの言葉に意外そうに顔を上げる。

ストレアは疑問だった。

シグレにとっての目的を邪魔したのに、なぜお礼を言われるのか、と。

 

 

「なんで…お礼?」

「…単純なことだ。どういう理由かは知らんが、お前の行動で、俺は命を救われた…礼を言うのは当然かと思っていたが」

 

 

そういえばこれで二度目だな、と苦笑するシグレ。

ストレアはその様子に俯いてしまう。

自分が悪いはずなのに、彼は私を責めない。

それどころかお礼さえ言われてしまう。

 

 

「ごめん、ごめんね…シグレ…!」

 

 

そんな今の状況にストレアは俯いたまま、目頭が熱くなることを感じていた。

それが何かなど、ストレア自身にはわかっていた。

 

 

「…落ち着け、俺は怒っていない」

「でも…」

「言われた本人がいいと言っている。それ以上に責める理由がどこにある」

 

 

ストレアの様子に、やれやれといった感じでシグレは彼女の頭を撫でる。

 

 

「だが、敢えて言うなら早くいつもの調子に戻れ。明日までに戻らなければ…その時は怒る」

「うん、うん……!」

 

 

泣きながら、シグレの言葉に頷くストレア。

その声色は、泣きながらというのもあるが、徐々にいつもの調子に戻っていた。

 

 

「…でもねシグレ。こういう時は、抱きしめてほしかったかな」

「そういうことは、大事な人が出来たらやってもらえばいいことだ…誰にでも頼むことではない」

 

 

ストレアの言葉にシグレは苦笑。

それにストレアは。

 

 

「分かってないなぁ、シグレは」

「…は?」

 

 

ストレアは視線を上げ、涙を拭いきれていない視線でシグレを見る。

シグレはどうしたのかとストレアを見返すと、彼女は笑みを浮かべながら。

 

 

「隙ありっ」

「っ…」

 

 

ストレアは顔を寄せ、シグレの唇に自分のそれを押し付けた。

触れるだけのそれですぐに離れるも、顔を寄せたまま。

 

 

「ね…今日もう少しだけ、時間…あるかな?」

「…何だ?」

 

 

至近距離…吐息がかかる距離で。

 

 

「…全部、話すから…シグレに聞いてほしいんだ」

 

 

決意に満ちたストレアの瞳に。

 

 

「……分かった」

 

 

シグレは一つ、頷いた。

今日の夜は、少しだけ長くなりそうだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。