ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第34話:合流と、一波乱

翌朝。

 

 

「んー…いい朝っ」

「……」

 

 

宿の外に出て気持ちよさそうに伸びをするストレアにシグレが続く。

その様子は、朝一だというのに疲れた様子。

 

 

「元気ないねー…朝からそれじゃ、攻略なんてできないよ?」

「……誰かと一緒にいることに慣れてないだけだ」

 

 

ため息交じりのシグレ。

傍から見れば、仲のいい男女で、女性に引っ張られる男性という構図だろう。

そんな感じで、今日はどうするか、と考えていると。

 

 

「久しぶりだな、シグレ」

 

 

背後から、聞き覚えのある声で話しかけられる。

 

 

「…キリトか」

「よっ」

 

 

振り返って見れば、キリトが片手で軽く挨拶。

シグレからすれば知ることではないが、彼らからすればようやく追いついた、といったところだった。

 

 

 

そうして合流したキリト、シグレ、アスナ、サチ、ストレアの5人。

シグレ以外からすれば、ストレアは初対面である。

 

 

「…あの、この人は…?」

 

 

シグレと距離が近いことが気になってなのか、サチが尋ねる。

実際のところどう説明しようかと悩みながら紹介を始めるが。

 

 

「こいつはストレア。こいつは…」

「…私、シグレの女でーす」

 

 

どう説明しようかと考えているシグレを尻目に、ストレアはとんでもないことを言う。

その様子にキリトはあー、と声を漏らす。

 

 

「……シグレ君。どういうことかな?」

「…シグレ?」

 

 

ストレアの爆弾発言にアスナが笑顔でシグレを問い詰める。

サチに至っては目からハイライトが消えかかっている。

単純に怖い、とシグレは感じた。

その様子を見ていたストレアはふーん、と何かに納得したように笑みを浮かべながら。

 

 

「…ごめんね二人とも、ちょっとお先に進んじゃって。うふふ」

 

 

言いながら、ストレアはシグレの正面から抱き着いて、二人に見せつけるように笑みを浮かべる。

その様子を見て、アスナとサチとて何もしないほど一歩下がる性格ではない。

 

 

「「…シグレ(君)!?」」

 

 

両腕にそれぞれ抱き着いて、ストレアに牽制をかける二人。

その様子に少しだけ空を仰ぎ。

 

 

「……どうしてこうなった」

 

 

ぼんやりと宙を見上げて呟く。

最初は一人で行動していたというのに、気づいてみれば女性三人に抱き着かれるという世の男性から殺されかけないこの状況。

 

 

「自業自得だろ?」

 

 

やれやれ、という感じで指摘してくるキリトには後で決闘をふっかけてやろうとシグレは考えた。

とりあえず今日はこの調子では、攻略どころではあるまい、と判断し。

 

 

「…とりあえず、状況説明と情報交換が必要だと考えるが?」

「だな…まぁ、そっちが落ち着いたら宿でも行くか?」

「……あぁ」

 

 

見た感じ、まだ落ち着きそうにない三人を見ながら。

今日は少しばかり長い一日になるか、などと考えるシグレだった。


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