ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第35話:情報交換と、新たな仲間 - I

そうして宿に戻る。

 

 

「……それで」

「?」

「三人揃って、ここで何をしていたんだ?」

 

 

シグレは単純に狩りの準備かと思っていた。

とはいえ、キリトとアスナだけならそうも思うだろう。

ところが実際はサチも一緒にいる。

見たところギルドの皆を置いてきているようだった。

だからこそ疑問だったのだが。

 

 

「…貴方を追いかけて来たんだよ。皆の反対を押し切って」

 

 

シグレの疑問を察したかのように、サチが答える。

そういうサチの瞳は、シグレがギルドにいたころのおどおどしているだけの少女ではなくなっていた。

決してそういった部分がなくなったようには見えない。

けれど、それだけではなく、恐れながらも前に進んでいくことを決意したかのように見える。

 

 

「……そうか」

 

 

だからこそ、シグレにはそれ以上何かを言うことはできなかった。

自分でこうするという確固たる意志があるのなら、そこに他人の意思が介入するのは野暮というものだから。

 

 

「私も、貴方を追いかけてきたのよ。27層で死にかけても止まらないんだもの…心配にもなるわよ」

 

 

続いてアスナが溜息交じりに言う。

けれど、そこで。

 

 

「あ、でも一回シグレ死んじゃったよね?ほら、私と出会った時……」

 

 

ストレアが爆弾を落とす。

きょとん、とした感じで言うあたり、爆弾を落とした、という自覚はないのだろう。

単に思い出して言っただけだが。

 

 

「「シグレ(君)?」」

 

 

アスナとサチが避難の目をシグレに向ける。

シグレはその迫力に言葉を発せなくなる。

 

 

「…どういうこと?」

 

 

アスナが詰め寄るように尋ねてくる。

尋ねて、という言葉では生温いくらいの迫力だが。

 

 

「いや、それは…」

 

 

思わず距離をとるシグレ。

今シグレは、ある意味で迷宮区のボス以上のプレッシャーを感じていた。

 

 

「…とりあえず、二人とも、少し落ち着こうぜ。これじゃ話もできないだろ?」

 

 

その様子に苦笑しながらキリトが場を収める。

それに対し二人は少し不満を持ちながらも席に戻る。

 

 

「やれやれ…それはさておき、実際何があったんだ?」

「…35層だったか。そこのフィールドボスに挑んだんだ」

「それって確か、蘇生アイテムをドロップするってやつか?」

 

 

キリトの言葉に、知っているなら話が早い、とシグレは続ける。

 

 

「…持っていれば役に立つかと思ってな」

「まぁそうかもしれないが…無謀すぎるぞ」

 

 

こりゃ二人の気苦労が知れるな、とキリトは苦笑する。

 

 

「…だが、そこで相打ちになってな。奴を倒しはしたが、俺もHPが0になった」

「で、そこで蘇生アイテムを使ってアタシがシグレを呼び戻したんだ」

 

 

その話を聞いて、まず第一声を発したのはアスナで。

 

 

「…貴方、馬鹿なの?…聞く必要はないわね。馬鹿だわ」

「む…」

 

 

溜息交じりに言われ、返す言葉もないシグレ。

 

 

「でも…無事でよかった。貴方が死んじゃったら、私は…」

「…アスナ」

 

 

ほっとしたような笑みを浮かべるアスナにシグレは声をかける。

余計な心配をかけさせたことに対してお詫びの言葉をかけようと思ったのだ。


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