ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~ 作:アルタナ
そうして、キリト達を見送り。
「…じゃ、じゃあ…行こっか、シグレ君?」
「あぁ」
どこか落ち着かないアスナの後に続くシグレ。
一方でアスナはといえば、キリトにされた応援で必要以上にシグレを意識してしまっていた。
「…大丈夫か?調子が悪いなら一人でも何とかするが」
「大丈夫、大丈夫だから!」
「……そ、そうか」
気遣って声をかけるシグレに全力で否定をするアスナ。
その様子にシグレは軽く引くが。
「大丈夫なら大丈夫でいいが……」
歩き出すアスナに、少しだけ不安を抱きつつもついていくことにするシグレだった。
そうして、48層について。
「いらっしゃいませー…って、アスナか。武器のメンテ?…って」
アスナとは知った間柄なのだろう、桃色の髪の女性が現れ、声をかけてくるが、言いながらこちらに視線を向ける。
そこから何かを察したのか。
「ほうほう、この人がアスナの…ねぇ」
ニヤニヤしながらアスナを小突く。
それに対しアスナは恥ずかしそうにするだけだったが。
「…少しいいか?」
あまりここまでにしておくのもどうかと考え、シグレは桃色の髪の女性…リズベットに声をかける。
「あぁ、はいはい。本日はどういったご用件で?」
「…武器の製造依頼だ」
シグレは言いながら、持っている刀を抜いて。
「こいつを超える刀であれば、というのはあるが…」
「……それって、店売りの刀でしょ?それを超えないってことはないはずだけど…」
リズベットに刀を渡しながらシグレが要望を出せば、少しだけ渋い顔をするリズベット。
「…何か問題が?」
「今は素材がないのよ。ありあまりの素材じゃ、これと大して変わらない刀しか打てないわ」
「……ふむ」
言われ、少し考えたうえでシグレは一つの素材アイテムを取り出す。
「…こいつでどうだ?」
取り出したのは、鉱石のアイテムだった。
生産や鍛冶で使わなければただのゴミになりうるものだったが、それだけは単純に気に入った色だったので持っていたのだ。
夕陽のように赤く輝く中にも、虹色に輝くような揺らぎを見せる、現実では伝説とまで言われた金属。
「これって…っ!?超レア素材の…ヒヒイロカネじゃない!?」
「…そ、そうか」
驚きながら言うリズベットに軽く引きながらなんとか返事を返すシグレ。
そう簡単にお目にかかれないレベルの素材に興奮気味のリズベットだったが。
「…打てそうか?」
「あ、え、えぇ…これだけの素材があれば、いける」
「なら頼む」
シグレは短く依頼の言葉を告げる。
それに対し、リズベットは渡された鉱石をしっかり持って。
「…分かったわ。依頼は刀でいいのよね」
「あぁ」
「少し時間がかかるけど…どうする?」
リズベットの問いに考えるシグレ。
時間がかかるということは、どこかで時間を潰す必要があるわけで。
「…街でも見ているか」
「なら私も行くわ。貴方ろくに街を見たことないでしょ?それに…街を見てるだけ、っていうのが信用できない」
「……」
アスナの言葉に何も言い返せないシグレ。
前科あり、といったところか。
「あとは頼む……どのくらいで出来そうだ?」
「そうね…夕方くらいには」
話題を変えるように言うシグレにリズベットは考えながら返す。
それにシグレは分かった、と一言だけ言い。
「…それまでの間、しっかりやんなさいよ、アスナ!」
「っ…まだそんなんじゃないってば!」
「ほほう、まだ、ねぇ?」
リズベットがアスナをからかうのを尻目に、シグレは武具店の扉を開け、外に出るのだった。