ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第40話:新たな武器

アスナの決意を聞くという、ゲームであれば重要なイベントが発生したところで時間もちょうどいい頃合い。

思えばこれはゲームであった、などとシグレは考えながらアスナについていく。

 

 

「いらっしゃいませ…あぁ、シグレ。刀、出来てるわよ」

「そうか…代金は」

「今回はサービス。その代わり、武器のメンテとかは贔屓してよね」

「……あぁ、分かった」

 

 

リズベットの武具店に戻るシグレとアスナの二人。

昼間より、距離が近くなっている二人を見て、リズベットはふぅん、と意味ありげな笑みを浮かべ。

 

 

「ちょっとは上手くやったみたいね?」

「うぅ…」

 

 

内緒話のような会話を交わす。

 

 

「…」

 

 

とはいえ、距離が近すぎるため、会話が聞こえていたので内緒も何もないのだが。

話が進まなそうな空気を察し。

 

 

「…完成したものを見せてもらいたいのだが」

「あ、えぇそうね。ちょっと待ってて」

 

 

シグレが言うと、リズベットは扉を開け、工房に入っていく。

少しして戻ってきて、その手には布に包まれた刀があった。

刀身を保護しているのか、柄の部分が見えていたが。

 

 

「…はい、これが完成した刀よ」

 

 

言いながらカウンターに乗せ、布を広げる。

広げられた布から見せた刀は。

 

 

「綺麗…」

 

 

持ち込んだ鉱石…ヒヒイロカネの鮮やかともいえる色合いを残しながら、刀特有の芸術的な造形を持っていた。

覗き込んで言葉を漏らすアスナの表情が刀身に映し出されるほどの輝きを見せている。

単純に武器、と一言でまとめるのが勿体ないといえるほどの芸術性が見て取れた。

 

 

「名前は『妖刀・緋月』…試してみて」

「あぁ」

 

 

リズベットに言われ、シグレは刀を持つ。

そして、辺りに傷をつけないよう小さく振り。

 

 

「……いい刀だ。今までより振りやすい」

「当然ね」

 

 

さすがに店売りのそれと比べるのは失礼と言わざるを得ないが、それだけしか知らないシグレからすればそれと比較するしかない。

けれどリズベットはそれでもよかったのか、シグレの言葉に自信を持って返す。

 

 

「…世話になったな」

「えぇ。ちゃんとメンテの時は来なさいね」

「あぁ」

 

 

刀を鞘に入れるシグレ。

 

 

「あ、そうだ」

「…?」

「メンテの時、アスナと二人で来たら割引してあげるから。また二人で来なさい」

 

 

リズベットの言葉に反応したのはアスナで。

 

 

「り、リズ…?」

「…何よ、二人っきりになるチャンスを作ってあげたんじゃない。応援してあげるから頑張りなさい」

 

 

リズベットの言葉にアスナは真っ赤になって、うぅ、と呻きながらも頷く。

シグレは、ここに来るときはアスナを誘わないと駄目だろうな、などと考えながら二人で店を後にした。


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