ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~ 作:アルタナ
*** Side Sachi ***
夜が明ける。
私はそこまで遅く起きたつもりはない。
時間を見れば7時頃、にもかかわらずストレアもアスナもいない。
みんな早いなぁ、とぼんやりしながら考える。
「あ、キリト…ストレアとアスナ見なかった?もうみんないないんだけど…」
「あぁ、さっきアスナがストレアがいないって探しに行ったけど…」
キリトも知らないか。
買い物でも行ってるのかな。
ちょっと珍しい組み合わせ、とか思ったけど、それ以前に私だけ置いてくとか酷いと思う。
「…ところで、サチはシグレを見てないか?今朝から姿が見えないんだ」
「シグレが…?」
…キリトの言葉に、嫌な予感を感じた。
これまでがこれまでだということと、シグレとストレアが揃って姿を消していること。
「ねぇキリト…まさか……」
私の言葉にキリトは頷く。
キリトも同じ可能性を感じたみたいだ。
「…あぁ。まさか、とは思うし…可能性の域を出ないけど、シグレのこれまでを考えれば……」
「っ…!」
顎に手を当てて考えるキリトの言葉の終わりを待てなかった。
これ以上考える必要はない、と言わんばかりに。
「あ、サチ!どこに…!」
背後からかけられる言葉に返す余裕がない。
シグレは危険に晒されていると、根拠のない確信がある。
「シグレ…!」
ふと、27層での事を思い出す。
その時も、助けるために、こうして街を駆けていた。
「どうして、シグレ……!」
あの時と同じで、シグレの事で思考を埋めていた。
何度死にかけても、止まらない。
ストレアの話では、一度死んでしまったシグレ。
そんなことがあっても、決して止まらずに。
そんな彼の事を思うようになったのは、いつからだろうか。
彼が私と、私達と同じギルドに所属していた時に垣間見れた、彼が抱える何か。
それが何かは分からないけれど。
彼の支えになれるかは分からないけど、そうありたいと思った。
「私だって、守られてるばっかりじゃない…!」
まだ…街の外は、怖い。
下手なことをすれば、死んでしまうかもしれない。
けれど、今はそれ以上に、シグレが死んでしまう事が怖い。
だから、危険だと分かっていても。
「今、行くから…!」
シグレの居場所に対する確証を得ないままにも関わらず、走り出した。
その目的地に確証はないが、確信はあった。
言うまでもなく、笑う棺桶のアジト。
きっと今頃、ギルドが集まり、乗り込む準備をしているだろう。
けれど、悠長に待っていたくなかった。
その間に、二人が討たれてしまったら、私はきっと一生後悔を抱える。
動かずに後悔するなら、動いて後悔したいと、今なら私は思う。
…だから、私は行くよ。
*** Side Sachi End ***