ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第53話:謎の少女 - II

結局のところ、ハラスメントコードは正常に動作していることになる。

 

 

「…話題を戻すが、キリト。ここに連れてくるまでにコードが発動しなかったという事で考えられる可能性は?」

「可能性としては、何らかの理由でこの子が俺を知っていて、規制を解除していたか…」

「…それはないな。プレイヤーカーソルはどうした」

「それに、NPCでもない…よね。もしそうなら、ここまで連れてこれないはずだし」

 

 

キリトが挙げる可能性はシグレが否定する。

NPCの可能性も、サチによって否定され、ますます謎に包まれていく。

 

 

「ストレアさんなら何か…知ってるかな」

「…さてな。起きていれば会話に加わっていただろうが…どこかの誰かがダウンさせたらしいから、今日話を聞くのは難しいだろう」

「ぅ…」

 

 

アスナの言葉にシグレは平然とした口調のまま返し、サチは押し黙る。

原因という自覚はあったようだ。

 

 

「ま、いずれにしても…今日はこの子を休ませよう。目を覚ませばきっと何か分かるさ」

 

 

キリトの言葉で、その場はお開きとなることとなった。

人数は6人となったが、部屋割りはキリトとシグレ、アスナとストレア、サチと少女、という組み合わせとなった。

男女が同じ部屋なのは以ての外である事に加え、ストレアはサチと同室にするのはどうか、という事から自然に決まった。

 

 

 

 

そんな中、キリトとシグレの部屋。

 

 

「…それで、だ」

「?」

 

 

シグレはキリトに問いかける。

 

 

「目を覚ましてから、どうするつもりだ?…いずれ帰還の為の戦いに戻る時に連れて行くのは無理があると思うが」

「勿論そんなことはしないさ…一応、考えはあるんだ」

 

 

キリトの考えというのは、第一層、はじまりの街にある孤児院へと連れていき、心当たりがないかどうかをあたる、というものだった。

第一層は街がかなり広く可能性が高いということに加え、第一層で戦う力がないプレイヤーでも辿り着きやすい場所である事から、妥当な判断だろうとシグレも異は唱えない。

 

 

「…一応言っとくが、シグレも来いよな」

「……必要あるか?」

 

 

キリトの問いに、シグレは素で尋ね返す。

その反応にキリトは溜息を吐く。

 

 

「皆で行くんだ。お前だけにして、また失踪でもされたらたまったもんじゃない」

「……失踪、ね。俺は単に攻略を進めていただけだが」

「それが無茶じゃなけりゃ、俺だって何も言わないさ」

 

 

キリトの言葉にシグレは無茶という自覚が少なからずあったのか押し黙る。

 

 

「…なぁ、シグレ」

「何だ」

「無茶だって分かってたのなら、なんでソロでフロアボスに挑むんだ?それじゃまるで……」

 

 

キリトはシグレに尋ねる。

攻略の為に戦い続けてきたからこそ、分かるのだ。

シグレがやっていることが、どれだけ無謀なことか。

まして、現実の命を賭けたこの世界でそれをする事が、どういう事か。

 

 

「…一応聞くが、察しはついているのか?」

「あぁ」

 

 

シグレの問いに短く答えるキリト。

シグレはキリトから視線を外し、そうか、と一言だけ返す。

 

 

「……聞いても、いいか?」

「俺に答える気があればな」

 

 

シグレの言葉にキリトは聞き方を考え、やがて考えがまとまったのか。

 

 

「お前は…そのやり方を…続けるつもりか?」

「…あぁ。そしてどこかで、目的を達成するつもりだ。俺自身は現実への帰還は…どうでもいい」

「何で…って聞いても、答えるつもりはない…か?」

「あぁ」

 

 

問答を終え、少しの静寂の後。

 

 

「…もう寝ろ。明日、出掛けるのだろう?」

「あぁ。ただその前に…一つだけ」

 

 

シグレが明かりを消しながらキリトに言うが、キリトは頷きながら。

 

 

「俺も、アスナもサチも…きっとストレアも、お前の目的を達成させまいと頑張ってるんだ。それだけは忘れるなよ」

 

 

キリトはシグレに言い聞かせるように言う。

その言葉にはシグレは、肯定も否定も返さなかった。

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