ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第63話:黒の剣士との決闘 - I

少しして、皆が落ち着いたところで。

 

 

「さて…昔話は終わりだが……お前の娘の様子はどうだ、キリト」

「娘って…」

 

 

シグレがユイの事を尋ねると、キリトは否定するに出来ないといった状況になりながら。

 

 

「……まぁ、多分今は眠ってると思う。今は少しだけゆっくりさせてやりたいんだ」

「そうか」

 

 

キリトの言葉にシグレは特に異論を唱えることもなく頷く。

それはシグレもそう思っていたからなのか、それとも単に興味がないのかはシグレだけが知る部分ではあるが。

 

 

「…となると、少し暇が出来るな」

「子供たちと遊んであげたら?」

「……一応聞くが、俺がか?」

 

 

暇の潰し方についてサーシャの提案にシグレは疑問で返す。

冗談です、と返され、それ以上は何もなかったが。

 

 

「もし暇なら、ちょっと付き合ってくれないか」

 

 

キリトがシグレに提案をする。

 

 

「…内容によるが、何だ?」

「いや、大したことじゃないんだ。一度お前と戦ってみたいと思ってたからさ…決闘の誘いだ」

「ふむ…」

 

 

HPが全損すれば死に至るこのゲームではある種、非常に危険な行為ではあるが。

 

 

「…構わないが、ルールは?」

「初撃決着…武器は木刀で、だ。言ってしまえば剣道みたいなもんだ」

 

 

どうだ?とキリトは取り出した木刀を見せながら言う。

その木刀はこの第一層で店売りしているレベルで、仮に攻撃を受けても今のレベルならば一桁のダメージで精一杯だろう。

 

 

「…用意周到だな。だが場所は…」

「フィールドってのはどうだ?」

 

 

モンスターこそいるが、第一層ということもあり温厚な性格ばかりで危険も少ないこともある。

問題はないだろうという判断の下、フィールドに移動することとなった。

 

 

 

そうして二人はフィールドに移動する。

 

 

「…別にこっちに付き合う必要はなかったのではないか?」

 

 

キリトとシグレが装備を木刀に持ち替え、準備をしながらシグレは女性陣に尋ねる。

 

 

「危険が何もないっていう保証はないから。私達の時みたいに罠とか…あるかもしれないし」

「…サチの言う通りよ。だから貴方達が戦う間、私達が見ててあげるわよ」

 

 

サチとアスナが若干責めるように言う。

しかし。

 

 

「とか何とか言ってるけど、実はシグレが戦うところが見たいだけでしょ?」

「「な…」」

 

 

ストレアの言葉に、サチとアスナは分かりやすく赤くなりながら言い返そうとするが。

 

 

「ちなみにアタシはシグレが戦うところが見たくてここにいるんだけどね。というわけで、かっこいい所期待してるよ?」

 

 

最近無自覚なのか自覚してなのか、爆弾投下のような発言が増えたストレアに振り回されるサチとアスナという構図が最近多い。

実害があるわけではないので放置しているが。

 

 

「……相変わらずモテモテだな、シグレ?」

「キリト」

「ん?」

「…あいつら、男を見る目がなさすぎないか?」

 

 

シグレの言葉にキリトは軽く苦笑。

そんなことをしているうちに、決闘開始のカウントダウンは進み。

 

 

「…ま、その辺は」

「これが終わってから…か」

 

 

二人は木刀を構える。

二人はどちらも剣道の心得があったからか、木刀を構える様は、剣道の手合いのようだった。


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