ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第71話:確かな証拠と、無茶な検証

そうして訪れた50層。

 

 

「…こんな街並みだったか」

 

 

アスナの先導に従って歩きながらシグレは辺りを見回す。

一人…あるいはこの頃にはストレアもいただろうか。

いずれにしても碌に街を歩くことが少なかったシグレは、まるで初めて訪れた街並みを見るように言う。

 

 

「もう…街の様子も覚えていないなんて、本当に無茶するのね」

「…ふん」

 

 

苦笑交じりのアスナに、視線を逸らすシグレ。

そこには気恥ずかしさがあり、それを隠すために視線を逸らしたのだが、アスナにはバレバレだったので意味がなかったが。

 

 

「ここよ」

 

 

言いながら、慣れたように扉を開けるアスナ。

 

 

「こんばんは、エギルさん」

「…おぉ、アスナか。どうしたんだこんな時間に」

 

 

アスナが声をかけると、カウンターでしゃがんでいたのか、店主と思わしき人物がカウンターから顔を出し、親しげな挨拶を交わす。

 

 

「…」

 

 

親しげな会話の声に、邪魔をするのも気が引けたが、とりあえず話を聞かなければ先に進まないと思い、無言で店に入るシグレ。

 

 

「ん?お前さん、アスナの連れか?」

「…まぁ、そうなるか」

「そうか、なら初めましてだな。俺は斧使いのエギル。攻略に参加もするが、こうして雑貨屋もしてるんだ。贔屓に頼むぜ」

「あぁ…俺はシグレ。宜しく頼む」

 

 

シグレとエギルは握手を交わす。

 

 

「…アスナに聞いたが鑑定スキルがあるそうだな」

「あぁ、そりゃあ一応はな」

「早速ですまないが、見てもらいたいものがある」

「…?あぁ。とりあえずここであれこれ言うこともないだろ。後ろに来てくれるか?」

「あぁ」

 

 

シグレは握手した手を放し、さっそく本題に入る。

その様子にエギルも応じてくれて、店の裏まで招いてくれた。

 

 

 

そうして、裏に入れてもらい、事情を説明する。

 

 

「圏内でHPが全損!?」

 

 

事情を説明すると、エギルも驚いたようだった。

 

 

「決闘の線も考えたが、いろいろと不可解な点が多い」

「…睡眠PKの線も考えたけど、直前までヨルコさんと一緒だったっていうし……」

 

 

シグレとアスナが自分達の見解を述べつつ、シグレが例の剣を取り出し。

 

 

「不可解な部分が残る中で、唯一確かな物的証拠が……こいつだ」

 

 

それを机に置く。

形状こそ刀身に棘がついた形だが、特に禍々しいという様子もない、見た目上は普通の剣。

エギルは剣を手に取り。

 

 

「…プレイヤーメイドだ。作成者は……グリムロック、となっているな。特段何かスキルがついているわけでもない…普通の武器だ」

 

 

鑑定を行い、分かった事を述べる。

ただ作成者については、エギルも心当たりがなかったのか、それ以上は何も言わない。

心当たりがないのはシグレとアスナも同じだった。

 

 

「リズベットなら…何か分かるか?」

「どうかしら。エギルさんの言う通り、一線級の刀匠じゃないとすると、いくらリズでも…」

 

 

シグレがアスナに尋ねるが、アスナはその考えを棄却する。

どうやら、手詰まりか、とシグレが考えた所で。

 

 

「…一応、それの固有名を聞いていいか?」

「あぁ。ギルティ・ソーン……罪の茨、ってところか」

 

 

固有名を答えながら、剣をシグレに返す。

鑑定はあくまで鑑定。

その剣の情報が分かるのみで、それ以上のことが分かるわけではない。

 

 

「……試してみるか」

 

 

言いながら、シグレは剣を逆手に持って立ち上がり、腕を伸ばす。

すると、その切っ先が自分の胸にあたり。

 

 

「っ!?ちょっと…!」

 

 

アスナが咄嗟に止めようとするが、それは一歩間に合わず。

シグレはその剣を、腕の力で思い切り自分の体に突き刺す。

 

 

「…ぐっ」

 

 

すると、バチ、とエフェクトが発生し、剣は弾かれる。

その作用反作用で、シグレが後ろに吹き飛ばされる。

それはちょうど、第1層で兵士相手に行ったのと同じ現象。

HPは減らないが、ノックバックする程度。

まさにその通りだった。

 

 

「少なくとも、通常の状態では剣は突き刺さらない……か」

 

 

床に尻餅をついた体制のままで再度思考に入りかけたが。

 

 

「っバカ!無茶しないでよ!」

「…これは無茶ではあるまい。現にHPが減っている様子もない」

「そういう問題じゃないでしょう!?それで人が一人死んでるのよ!?…貴方が死んだら……!」

 

 

激昂して、シグレに視線を合わせて詰め寄るアスナ。

そんなアスナにシグレは仰け反り、弁解をするも効果なし。

アスナはシグレが拾う前に剣を奪い取り。

 

 

「これは、エギルさんが持っていて下さい!」

「お、おう……」

 

 

勢いそのままに剣を預けられ、ただ頷いて剣を受け取るエギル。

不機嫌そうな表情を隠そうともしないアスナに、男性陣二人は何も言い返せなかった。

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