ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第79話:辿り着いた真実

やがて、静かな状況を取り戻したところで。

 

 

「…シグレ。助けてもらった事は感謝するが…なぜ分かったんだ」

 

 

シュミットが麻痺から立ち直り、シグレに尋ねる。

シグレは一瞬考え。

 

 

「……勘違いするな。俺はお前たちの助けに入ったわけではない……奴らを追っていただけだ」

「奴らって…あの殺人ギルドをか?お前は一体…」

 

 

シュミットが問いを続けようとしたが、それは他でもない、シグレによって遮られる。

 

 

「俺の事より、気にすべきは…こっちだろう」

 

 

言いながら視線を雑木林の方向に見やると、アスナとストレアが一人の男を連れてくる。

シルクハット調の帽子に、黒い丸サングラスで顔を隠す男は、まるで事情を知らないと言わんばかりの笑みを浮かべていた。

 

 

「…グリムロック」

 

 

シュミットが呟くように名を呼ぶ。

 

 

「……どうする、事情を自分で話すか?」

「いや、是非推理を聞きたいものだね。探偵君?」

 

 

グリムロックの言葉に、シグレは一つ息を吐く。

 

 

「…先ずはグリセルダが売却の為に持っていた指輪。それは結婚相手である、この男の物でもある」

「結婚相手のストレージ共通化…」

「なら…グリセルダが殺された時、指輪はどうなったか…」

 

 

シグレの言葉に、カインズがはっとしたように。

 

 

「グリムロックの物になった…?」

「そうだ。殺人如何はどうであれ、指輪はグリセルダから文字通り…奪われた」

 

 

見たところ、プレイヤーを示すカーソルが緑だから、直接手を下してはいないだろう、という事をシグレは補足する。

 

 

「そうして、指輪を手に入れたはいいが…指輪事件の関係者…特に、売却に反対したお前たち三人を消し、事件を闇に葬ることを考えた」

 

 

言いながら、シグレはヨルコとカインズに目を向け。

 

 

「…武器を作ってもらったのなら、今回の件について内容は話したのだろう。少し頭が切れれば、この状況を狙って、お前達三人を葬ることを考えるのは容易だろうな」

「そんな…本当なのグリムロック。どうして…」

 

 

シグレが突き付けた推測に、ヨルコがショックで崩れ落ち、彼女をカインズが支える。

その様子を意に介すこともなく、グリムロックは話し始める。

 

 

「…探偵君が言ってくれた事は大方当たっているよ」

 

 

言いながら、グリムロックは観念したのか、それとも抵抗する気がなかったのか話を続ける。

 

 

グリセルダという人物は、彼にとっては現実でも夫婦関係であった事。

このゲームに巻き込まれて、自分は塞ぎ込んでいく中、彼女は活き活きとしていたという事。

その中で、自分にとって理想の妻である彼女は、消えてしまった、と。

だからこそ、永遠の思い出の中に封じ込める為に、合法的殺人が可能なこの世界で、彼女を手にかけようと考えた事。

それこそが、彼が妻を殺そうと考えた理由である事。

 

 

「探偵君、君にもいずれ、この気持ちがわかるだろう。手に入れた愛情が、失われようとした時には…ね」

「……お前の言うその気持ちには興味がないが、失う辛さなら、お前以上に知っているつもりだ」

 

 

悪びれもしないグリムロックに、シグレは静かに返す。

その目はしっかりとグリムロックを見据える。

 

 

「尤も、貴様のように自分からそれを手放す人間の感情など…興味もないがな」

 

 

言いながら、シグレは思い出すように続ける。

奪われたシグレと、自分から手放したグリムロック。

失った、という意味では似ているが。

 

 

「…アナタなんかと…シグレを一緒にしないでよ」

 

 

ストレアが苛立ちを隠しもせずに言う。

 

 

「シグレの事、何も知らないくせに…分かったようなことを言わないでよ!」

「…やめておけ」

「シグレ…」

 

 

そんなストレアを止めたのは、他でもないシグレだった。

ストレアは納得がいかない様子だが、それでも当の本人に止められては、それ以上は言えなかった。

 

 

「…ストレアさんの言葉には私も同意見よ。それに…」

 

 

アスナが向き直り、グリムロックに言葉をぶつける。

 

 

「貴方が抱いていたそれは愛情じゃないわ……ただの支配欲よ!」

「っ…!」

 

 

その言葉に思う所があったのか、グリムロックはその場に崩れ落ちる。

そんな彼の処遇は自分たちに任せてほしいと、カインズとシュミットが連れていき、ヨルコが追いかける。

こうして、一連の事件は幕を閉じることとなったのだった。

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