ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第93話:護るものの決意

その後、シグレはようやくといったところでベッドから降り、久しぶりに地に足をつく。

 

 

「…外の空気も久しぶり、といったところか」

「うん、そうだねー」

 

 

あれから、ストレアが預かっていた刀を受け取り、装備をする。

今は22層の森の中を、特に目的もなく歩き続けていた。

 

 

シグレが目を覚ましてすぐ、皆でこれからについて話し合ったのだが。

 

 

「…それで、どうする。75層は開通したのなら…攻略に戻っても構わないが…」

「いや、お前は少し休め…本気で。病み上がりで最前線とか、それこそ自殺行為だろ」

 

 

シグレが言うが、キリトに反対意見を出される。

早い話、少し調子が戻るまでゆっくり過ごせということらしい。

VRでリハビリというのは必要なのか、シグレは若干疑問だったのだが。

 

 

「私もキリト君に賛成かな。シグレ君、ずっと寝てたわけだし…勘も鈍ってるだろうし」

「そう、だね。ちょっと…そういう意味だと、私も心配…かな」

 

 

アスナとサチにも反対意見を言われ、ストレアは言わずもがな。

そうなれば多数決でシグレが折れるしかないわけで。

 

 

「…分かった。今は少し休む」

 

 

実際、74層でボスに殺されかけた手前、反論の余地がなかった。

溜息を吐くシグレ。

そんなわけで、とりあえず、休息を兼ねて外を歩くか、と考えたわけだったのだが。

 

 

「…散歩ぐらい一人でもいいんだが」

「いいの。アタシが一緒にいたかったんだから」

 

 

すっかりルンルン気分のストレアにやれやれ、といった感じのシグレ。

話を聞いてシグレからは全く想像がつかないが、今のような明るさが嘘のように落ち込んでいたというストレア。

一人でもよかったのだが、腕に抱きつかれ、全く離れる様子がない。

 

 

「やっぱり…暖かい」

「…?まぁ今日はいい気候だが」

「もう、そういうことじゃないよー」

 

 

言いながら、あっ、と視線を前に向けるストレア。

 

 

「あっちの湖行ってみよ?早く早く!」

「お、おい…」

 

 

ストレアに引っ張られ、バランスを崩しそうになるがなんとかついていくシグレ。

そこまで距離があったわけでもないので、すぐに着いたのだが。

 

 

「こんなに奇麗な所だったんだ…知らなかったなぁ」

「…知らなかったのか?」

 

 

人は少ないが、それでも目につきにくい木陰に入り、二人並んで視線は湖の方へ。

感慨深げに言うストレアに、疑問を投げかけるシグレ。

ストレアはその疑問に、うん、と小さく頷き。

 

 

「シグレが起きる前は…そんな事考える余裕がなくて」

「…そうか」

 

 

家を出てから、片時も離れようとしないストレア。

 

 

「……正直、ここから先攻略を続けたら、何が起こるかアタシにも分からない」

「そうか」

「だから…本当はシグレには前線に立ってほしくないって、止まってほしいって……そう思ってるんだ」

 

 

どこか辛そうな笑み。

しかし。

 

 

「なら…尚の事、先に進まねばなるまい」

 

 

シグレは真剣にそう返す。

 

 

「それは…死にたいから?」

「どうして…いや、キリトか」

「……」

 

 

ストレアの返しにシグレは溜息。

 

 

「もしそんなだったら、アナタの事、全力で止めるけど?」

「安心しろ。そういう目的ではない」

 

 

ストレアの言葉にシグレはあっさり返す。

実際、目的は攻略であり、嘘は言っていない。

あの戦いで、その目的を悟ってはいたが、今すぐである必要はない、とは考えていた。

 

 

「…うん、信じられない!」

「おい」

「だから、これからもついていって、しっかり見張るから、覚悟してね?」

 

 

笑顔ではっきり言われ、一瞬言葉を失うが、よくよく考えれば結局何かが変わるわけでもない。

それにすっかり慣れた自分に笑いながら、分かった、と返すシグレだった。

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