ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~ 作:アルタナ
決着し、木刀を納め。
「…いい反応速度だったな」
「それを言うならシグレこそ、あそこまで速いとは思わなかったよ」
「それで決着を急いだのが、敗因だったな」
会話を交わしながら、敗因を分析するシグレ。
この様子じゃ、次も同じようにはいかないかな、などと考えるキリト。
そんな会話をしながら、家に戻ると。
「シーグーレー君?病み上がりで何してるのかな?」
「……」
玄関前で腕を組み、仁王立ちしながらいい笑顔なアスナ。
シグレは直感的にまずいと察し、何も言わない。
「もう…無茶して!キリト君も、シグレ君は病み上がりなんだから、無茶させちゃダメじゃない!」
「…おい、シグレのせいで俺まで怒られたぞ」
キリトに言われ、シグレはいよいよ言葉を失う。
「…この世界は、病み上がりどうこうでペナルティがあるのか?」
「いや、特になかったと思う、けど…」
それを言えば、心配と怒りが織り交ざったアスナに更に何か言われると思っていた二人は。
「「…すみませんでした」」
ただ、声を揃えて謝ることしかできなかった。
「…大丈夫なの?」
「……問題ない。何より攻略に戻るなら、勘を早く戻す必要があるだろう」
「それは…そうかもしれないけど、心配…するわよ」
アスナの心配からくる言葉は止まらず。
「確かに攻略を進める事は大事だと思うけど…無茶は、やめて」
「…」
無茶ではない、と反論しようとしたシグレだが、アスナの必死な訴えにシグレは言葉を止める。
「……さ、ご飯にしましょ、二人とも」
「あぁ」
「…さすがに疲れたな」
アスナの言葉に、シグレが頷き、キリトが肩を回しながらぼやく。
そうして皆で家に入り。
「お疲れ様、シグレ」
サチに声を掛けられ、シグレはあぁ、と頷きながら、サチの隣の椅子に腰かける。
キリトほど表に出ないとはいえ疲れがあったのか、シグレは椅子に座りながら軽く溜息。
「じゃあ、食べましょうか」
と、言いながら、シグレの空いている方の隣に腰掛けるアスナ。
一方でキリトはというと。
「パパ、かっこよかったです!」
「そうかー、ありがとなユイ」
ユイの賛辞を受けながら、彼女の頭を撫でるキリト。
今のキリトが現実の姿と同じであるということから、現実で娘がいるようには見えなかったが。
「本当の父と娘だな、まるで」
シグレが呟く。
暖かい家で、家族と呼べる存在と一緒に食事を摂る。
それはおそらく、ここにいる皆、シグレ以外にとっては当たり前の光景なのだろう。
「シグレ君…」
事情を知っているからか、どこか辛そうにアスナがシグレを見る。
しかし当のシグレは気にする様子もなく。
「…どうした?」
名を呼ばれ、訪ね返すシグレ。
気にしていないのか、それとも押し殺しているのかはアスナには分からなかったが。
「…ううん、何でもない。食べよっか」
アスナはそう返すことしかできなかった。