ステイタス上がらないけどスキルがチートだから問題ないよね!……多分 作:アステカのキャスター
「俺は男だし」と言うまでの流れが無いと言われたのでちょい訂正、ソード・オラトリア12巻凄い胸熱な展開でした。思わず涙が出てしまいそうでした。
「ひ、昼間はすいません! その……緊張して逃げちゃって……」
「いいさ別に。そのかわり話し相手くらいにはなってくれよ? 俺1人で寂しく食べるより誰かと食べたいしね」
「そ、それくらいなら……」
「あっ、俺はトワ・クラヴィウス。【ミアハ・ファミリア】の新人だ。よろしくなウサギくん」
「ぼ、ぼ、僕はベル・クラネルです! よ、よろしくお願いしますトワさん!!」
顔を真っ赤にして震えた手で握手を求める。
滅茶苦茶緊張していますなー。
まっ、まさか……!? このウサギくんそっち方面!?
「はっはっは、緊張しすぎだよ。まさか……惚れたか?」
「そ、そんな! 違います! あの……一目惚れした相手に似ている顔なので……」
「ほほぅ、ぜひ聞かせてくれたまえベルくん。今宵は長いんだ! 色々な話をしようぜ! なんせまだオラリオに来てから1カ月くらいしか経ってなくてね」
「ぼ、僕でよければ……」
そう。俺の娯楽は冒険について聞いたり英雄譚を読んだり楽しい話は大好きだ! なんせ冒険者だったり、生きる人々が紡ぎ出す物語ほど面白いものはないしね!
夜。宴をするため【ロキ・ファミリア】は『豊穣の女主人』を訪れきた。マジかー、確かにファミリア大きくなると宴とかするよね。上位派閥ってミィシャさんから聞いてるし。てか俺も入団試験以前に突っぱねられたし。
「よっしゃあ、ダンジョン遠征皆ごくろうさん‼︎ 今日は宴や! 飲めぇ‼︎」
「「「「「乾杯‼︎」」」」」
ロキの音頭に一斉にジョッキがぶつかる。
「団長、つぎます。どうぞ」
「ああ、ありがとう。ティオネ。だけどさっきから、ぼくは尋常じゃないペースでお酒を飲まされているんだけどね。酔い潰した後、僕をどうするつもりだい?」
「本当にぶれねえな、この女……」
アマゾネスが
……何それ詐欺じゃん。
「ロキ・ファミリアさんはうちのお得意さんなんです。彼等の主神であるロキ様がこの店をいたく気に入られて」
シルさんが興味津々と言う顔をしたベルに説明した。
「ロキ・ファミリアって有名なんですか?」
俺が不思議そうに聞くとびっくりした様子でベルが話す。
「トワさん知らないんですか!? このオラリオで一二を争う実力派のファミリアですよ!」
ベルが驚きの声をあげた。
大きい派閥だと思ったが意外にも大きいんだな。まあ雰囲気が違うもんな。纏う空気が歴戦の強者のそれだ。なんとなくわかる。
「うちが相手にもならんって言いたいんか、吠え面かかしたる! ──ーちなみに勝った奴がリヴェリアのおっぱいを自由にできる権利付きやァッ!」
「じっ、自分もやるっす⁉︎」
「俺もおおおお!」
「俺もだ‼︎」
「私もっ!」
「ヒック。あ、じゃあ、僕も」
「団長!?」
「リ、リヴェリア様……」
「言わせておけ」
前言撤回、変態の寄せ集めっぽい(主に男子、何故か百合が混ざってるけど)
本当に一、二を争うファミリアなのかなぁ……
さっき話してくれた金髪の女の子がアイズ・ヴァレンシュタインに夢中のベルくんの姿に、自然と苦笑を浮かべカウンターの残ったジュースに手を伸ばした。お酒は飲めるけど極力飲まない! ジュースの方が美味しいしね! (子供舌)
「俺ちょっとトイレ」
「あっ、はい」
俺はトイレに向かう。ジュース飲みすぎて尿意が近づいていた。
もちろん男子トイレだよ? ベルくん後ろで飲んでるジュース吹き出しかけてるけど俺男だからね? 慣れろよ流石に……
──しかし、その時だった。
【ロキ・ファミリア】からその声が上がったのは。
「そうだ、アイズ! お前のあの話を聞かせてやれよ!」
「あの話……?」
ヴァレンシュタインは心あたりがないのか首を傾げる。てか似てるね。身長はアレだが俺の顔とそっくりだ。唯一違うのは目と髪の色と性別かな? あれっ、結構多い。と思いつつドアを閉めた。
「あれだって、帰る途中で何匹か逃がしたミノタウロス! 最後の1匹、お前が5階層で始末しただろ!? そんで、ほれ、あん時いたトマト野郎のよ!」
突然、頭に冷水をかけられた錯覚にベルは襲われた。
「ミノタウロスって、17階層で襲いかかってきて返り討ちにしたら、すぐに集団で逃げ出していった?」
「それそれ! 奇跡みてぇにどんどん上層に上がっていきやがってよっ、俺達が泡食って追いかけていったやつ! こっちは帰りの途中で疲れていたのによ~」
耳を塞ぎたくなる衝動に駆られる。しかし、ベルは俯いたまま青い顔をしながら震えている。
「それでよ、いたんだよ、いかにも駆け出しっていうようなひょろくせぇ
身体中が火であぶられたように熱くなる。恥知らず、酒の肴、ただ自分は救われただけ、弱いままで意気地なし、根性無し、そんな聞こえもしない罵倒が聞こえているようだ。
「ふむぅ? それで、その冒険者どうしたん? 助かったん?」
「アイズが間一髪ってところでミノを細切れにしてやったんだよ、なっ?」
「……」
ヴァレンシュタインは……答えない。せめてもの良心なのか、それはわからないけどあの人もそんな話を聞きたくないようだ。
「それでその震えてた方、あのくっせー牛の血を全身に浴びて……真っ赤なトマトみたいになっちまったんだよ!」
「うわぁ……」
「アイズ、あれ狙ったんだよな? そうだよな? 頼むからそうと言ってくれ……!」
「……そんなこと、ないです」
「それにだぜ? そのトマト野郎、叫びながらどっか行っちまってっ……逃げるように走り去られて……ぶくくっ! うちのお姫様、助けた相手に逃げられてやんのおっ!」
「……くっ」
「アハハハハッ! そりゃ傑作やぁー! 冒険者怖がらせてまうアイズたんマジ萌えー!!」
どっと笑いに包まれる店内。その反対側にいるベルは大きな壁に隔たれているような気がしていた。
ガタン! とテーブルが音を立てて揺れた。
揺れる瞳で金髪の女の子、ヴァレンシュタインへと向けていた顔をテーブルにぶつける勢いで伏せたのだ。
ぎりぎりとテーブルに額を押し付けているベルは、泣いているように押し殺した息を漏らしていた。
「しかしまぁ久々にあんな情けねぇヤツを目にしちまって、胸糞悪くなったな。1人は泣くし」
「……あらぁ~」
「ほんとざまぁねぇよな。ったく、実力がわからないくせに立ち向かおうとするわ、あげくのはてに泣きわめくわ。そんなことするんじゃ最初から冒険者になんかなるんじゃねぇっての。ドン引きだぜ、なぁアイズ?」
今すぐあの口を塞ぎたい。けどベルにはそれができない。
弱いからだ。言い返せないからだ。当たり前だがベルはLevel1だ。Level5のあの狼に勝てない。通った経験も人生も違う。けど、あんな奴でも強者の位に入ってしまっている。ギリギリと歯を食いしばりながらも耐える。
「ああいうヤツラがいるから俺達の品位が下がるっていうかよ、勘弁して欲しいぜ」
「ベート、君酔ってるね?」
「ベートだって弱い時くらいあったじゃろうが」
「俺たちに比べればあんなのはゴミだ。ゴミをゴミと言って何が悪い。あーゆーのみたいなのがいるから俺達の品位まで下がるんじゃねぇか」
「いい加減そのうるさい口を閉じろベート、ミノタウロスについては我々の不手際だ。それを酒の肴にする権利はない。恥を知れ」
エルフの女性が仲裁に入る。その言葉にさっきまで
「おーおー、さすがは潔癖のエルフ様だ。なら、アイズはどう思うんだ? 震えてるだけのゴミが、あれが俺らと同じ冒険者を名乗ってるんだぜ?」
「……あの状況じゃあ、しょうがなかったと思います」
「何だよいい子ちゃんぶりやがって……なら質問を変えるぜ? あのトマト野郎と俺ツガイにするならどっちがいい?」
唐突に聞いてきたベート。どうやら彼なりに口説いているのかわからないけど
「ほら答えろよアイズ。雌のお前はどっちの雄に尻尾ふって、どっちの雄にメチャクチャにされてぇんだ?」
「私は、そんなことを言うベートさんとだけは、ごめんです」
「無様だな」
即答された
「うるせぇババアっ、じゃあ何か、お前はあのガキ共に好きだの愛してるだの目の前で抜かされたら、受け入れるってのか?」
ベートはヒートアップしていく。もはや止まらない。ブレーキが壊れたかのように続けていた。
「はっ、そんな筈ねぇよなぁ。自分より弱くて、軟弱で、救えない、気持ちだけが空回りしてる雑魚野郎に、お前の隣に立つ資格なんてありはしねぇ。
まるでベルにトドメを刺すかのようにニヤニヤとしながら堂々と言った。
「雑魚じゃあ、アイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねえ!」
そうベートが言った瞬間、ガタッと音を立てベルが飛び出して行く。
「ベルさん!?」
椅子を蹴飛ばし立ち上がったベルは、弾き飛ばした俺に目もくれず店の外へと飛び出していった。突如響いた激しい音に集中する視線の中、脇目もふらず店の外へと出たベルは、夜の街の中へと姿を消していった。席に戻ったトワは隣にいた兎さんを探したが見つからないのでシルさんに聞いた。
「ん? ベルくん……逃げたのか?」
「えっ、あ、そうなんです……」
「……シルさんシルさん。ベルくんお金払った?」
「……払ってません」
「えっと……何があったの?」
「それは…………」
シルさんが大体の事を話してくれた。
さっきの話はどうやらベル君の話だったのだ。ミノタウロスの血を浴びてトマトみたいになり、それを酒の肴にして笑いものにした挙句、雑魚は冒険者やめちまえと罵倒していたらしい。
つまりまとめると……
「ミノタウロスを逃した【ロキ・ファミリア】の不手際がベルを殺しかけたのに笑いものにしたチンピラに言い返せず悔しくて食い逃げしてしまった、って所か?」
瞬間、酒場の騒ぎが凍りつくように止まった。
【ロキ・ファミリア】の視線が俺に向く。無言のまま俺の肩を掴む
ん? ちょっと待って? まさかと思うが……
「あれ……? シルさん、もしかして口に出てた?」
「思いっきり……って無意識だったんですか!?」
「えっとこう言う時なんだっけ……えっーと、てへっ♪」
「よし殺す」
「ちょ、ベートっ! 落ち着きなさいって! あんたも、さっさと謝りな! 殺されるよっ!」
アマゾネス特有の露出が激しい服を着た少女が慌てて忠告をしてくる。豊満な者が多いアマゾネスにしては、胸のサイズが少しばかり可哀想な少女がベートのズボンを掴み何とか手綱を取ろうとしていた。
が、そんな事すら跳ね除けて俺の胸倉を掴む。わぁ怖い。
「つかテメェさっきから調子に乗ってんじゃねぇぞッ! お前俺が誰か分かって口きいてんのか?」
「いやいやちょっと!? 俺はこのオラリオに来てからまだ3週間と5日しか経ってないし、冒険者登録したのも昨日だし、有名どころでもほとんど知らないんですけど!?」
「……あん? なんだおめえ? もしかして駆け出しか?」
先程までの激高がウソだったかのように、声を落としたベートが首を傾げた。
「あーうん。そうだけど?」
「ちっ、なんだLv.1かよ。はんっ、Lv.1相手に本気になってもしょうがねぇ。おら、犬みてぇに這い蹲って許しを乞いな。そしたら許してやってもいいぜ」
「ベートッ!」
「黙っとけババァッ!! この雑魚に良いように言われちゃならねえのが基本だろうがよ! ここで舐められたら【ロキ・ファミリア】も舐められっちまうぞッ!」
「っく、そうだとしてもそれは──―」
「あー、うん。メンゴメンゴ」
「全く謝る気がない!?」
シルさんナイスツッコミ。
その通り、俺は謝る気なんてない。一応はこの人が悪いのだし、階級? レベル? 知った事ではない。ただ強いとひけらかすチンピラに頭下げるなんてごめんなのだ。
「でも君はさ、見るからに酔ってるから分からないかもしれないけど、君は……いや君達はミノタウロスを怪物輸送したって事だよね? 確かにダンジョンは未知で何が起きるかわからない」
「はっ!! 弱いなら冒険者なんてやめちまえって話だ!」
「けど、これは明らかに人為的な行為だ。君達は一歩間違えればミノタウロスを利用してベル君やまだ弱い冒険者を殺そうとした、とも取れる」
酒場の空気が更に凍りつく。
【ロキ・ファミリア】の団員なんて青い顔をしている。この話以前にLv5に喧嘩を売っている少年にこれから起きそうな最悪な展開が起こらないようにと爆弾が爆発しないようにと恐れているようだ。
「それを酒の肴にしちゃうなんて軽蔑を通り越して尊敬するよ。俺なら絶対出来ないねぇ、そんな恥ずかしい失態を酒の肴にするなんて小者みたいな事はさ?」
「……今、何つった?」
「怪物輸送を誇らしげに語る。そんな恥ずかしい失態を酒の肴にするなんて小者みたいな事、俺なら絶対出来ないと言ったけど? あっ、あと女の子を口説くならもう少しマシな口説き方しなよ。流石に悪趣味だし、そりゃフラれるよ」
ブチリ、とナニかが千切れる音を、その場にいた者たちは聞いた気がした。そして俺は瞬時に思った。
『あっ、やべっ、ちょっとやり過ぎた』と思いつつこの
「ッッッ!!!?? テメェエエエエエッ!!??」
「ベートッ!」
「ひっ」
怒りに飲まれた餓狼が吠え、その致死の爪を獲物へと伸ばす。
第一級の冒険者が怒りに我を忘れて放つ一切の手加減のない一撃。
「うおっ……と! 危ない危ない……」
それをしゃがんで躱す俺に今度はかかと落とし、完全に殺しにきている。まだ人間なんだから手加減する情くらいあると思っていたが、期待した俺が馬鹿だったようだ。地面を蹴って別の方向に飛び込む。
「というか俺まだ冒険者になってから2日しか経ってない素人に熟練冒険者のLv5が本気で来るなんてちょっと大人気ないんじゃないです……っか!? と何かと新しい新人いびりもあったもんですね!?」
「Lv5の俺の蹴りを避けれる奴を素人とは呼ばねえんだよ!」
「ここは酒場ですよ!? 冒険者とは別の人巻き込んだら危ないでしょ! 君、酔ってて周り見えてないし!?」
「酔ってねぇんだよクソガキ! いい加減当たれやクソがぁ!!」
「あっ、────ッッ!!」
「オラァ!!」
「ぐっ!?」
腕を交差させて顔の直撃は防いだが、その蹴りに勢いよく吹っ飛んだ俺は【ロキ・ファミリア】の宴のテーブルに突っ込んだ。散乱する食材や酒に割れるテーブルや食器、止めようとしたアマゾネスを振り切って追撃の蹴りを入れようと走る
「人の店で馬鹿みたいに騒いでんじゃないよアホンダラァアアアアァアアアアアアアアア!!」
「よっこいしょ、と」
俺はテーブルから起き上がる。流石にコートは料理で汚れてしまったが仕方ないのでハンカチで目立った部分を拭く。
「痛てて、流石にダメージはあるか」
「あ、あの大丈夫ですか!?」
「へーきへーき、大したダメージじゃないから……ってあの時のエルフさんじゃん」
「あっ、昨日の……!」
「まあ、気を遣わなくていいよ。一応喧嘩を売ったのは俺だしね。っとすいません女将さん、迷惑をかけちゃって、これは修理代と迷惑料です。これで気が済まないなら、俺は出入り禁止にして貰って構わないので」
俺はカウンターに大金の詰まった袋を置く。
「ふん、構わないよ。あの犬が吠え過ぎて煩いと思ってたところだよ。ただ、次はないよ」
「感謝します……それから、先程飛び出した少年の代金も頼みます。後で謝りに来ると思いますけど、あの子ちょっと自暴自棄になり掛けてるんで、シルさんならベルくんがこういう時何処に行くか分かりますか?」
「多分、ダンジョン……って危ないじゃないですか! まだベルさんLv1ですよね!?」
「ああ、だから探しに行ってくる。シルさんにも迷惑かけてゴメンね」
「……ベルさんをお願いします」
「任せて」
「ちょい待ちや」
俺はダンジョンに向かう為に走り出そうとするが、ある神の言葉に俺は静止する。神ロキだ。【ロキ・ファミリア】の主神の天界きっての
「神ロキ、謝罪が必要なら謝りますけど……」
「いんや、あれはベートが悪いから構わへんよ。けど、聞かせてくれへんか? 何であの時
その言葉に反応する俺、あくまで理由はわかっているのに語らせるのは趣味が悪い。避けなかった理由なんて簡単だが、敢えて口にしない。
「……答えがわかっていながら聞くのは趣味が悪いですよ?」
「いんやぁ〜? わからんなぁ〜、まあそれよりも聞きたい事は一つ、Lv1って言うてたのは嘘やない。にも関わらずLv5のベートの攻撃を躱して一撃を食らってもピンピンしてる。
普通だったらおかしい。
それは神ロキは『
扉の前で振り返り人差し指を口元に立てる。ニィと笑いながらもその顔は悪戯好きの子供のような笑顔でロキの質問に答える
「秘密さ! ミステリアスな男は語らない主義なんでね! それに、そっちの方が
ピクッとロキの眉が上がる。
そう答えた後に足早に去っていく少年を見て笑いが止まらなくなった。道化の神に対しての挑戦なのか挑発なのかは理解が出来ないが、ただ分かることはあの少年はこの神ロキが認めるほど面白い存在だと言う事だ。
「あ、あの……さ、さっきのは、嘘、ですよね」
「……何がやレフィーヤ?」
笑いながら椅子に浅く座り背もたれにダラリと寄りかかったロキが、視線だけをエルフの少女──―レフィーヤに向けた。
「っ、そ、その、あの銀髪の人が、れ、Lv.1だなんて……」
「嘘やないよ」
恐らく『
調べればすぐに分かるだろうが、彼は敢えて釘を刺した。面白くない行為は反則という言葉を含ませて自分を調べさせない。更に言い換えれば周りに迷惑をかけない為に『
「さっきの事だけどさ。何であの子は避けなかったんすか?」
「何やラウル、気づいとらんのかい。あれは単純な話やで? 躱せたけど、敢えて躱さなかったんや、ベートのせいでな」
「?」
「身を呈して
あのままベートの蹴りを躱していれば、後ろにいたシルはどうなっていたか。間違いなく大怪我だけじゃ済まないだろう。死ぬ事だってあり得たのだ。
ベートが周りを見えていないと指摘したのは的を射ていた。
誤って一般人を殺しかけたのだ。今回の件といいミノタウロスの件といい、酔っていたベートは2度人を殺しかけた。
「あんな可愛い顔して、随分男前な事してくれるわぁ」
けど、だからこそ分かる。あの少年は間違いなくロキが認める道化だった事に。あれは間違いなく異端者だ。だが、それと同時に面白いと思う自分がいる。
「嗚呼、だから下界は面白い」
ロキは再び酒を煽った。