ステイタス上がらないけどスキルがチートだから問題ないよね!……多分   作:アステカのキャスター

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大変遅くなりました。感想待ってます。


めがみにあおう!

怪物祭。

 

年に一度行われる催しだ。目玉イベントは【ガネーシャ・ファミリア】が闘技場でモンスターを調教する一連の流れを披露することだろう。

そのフィリア祭当日、何故か手紙が送られた。しかも速達で更に達筆な字で会って話がしたいと書かれていた。

 

 

「【フレイヤ・ファミリア】?確かオラリオ二大派閥の一つ……だっけ?」

「トワよ。どうかしたのか?」

「ああミアハ様、こんな手紙が……」

「むっ?なっ……!?フレイヤからの手紙とは……!」

「はい?」

 

 

大した内容ではないと思っていたが、美の神フレイヤからの直々のお達しは無視すればどうなるかわからないと言われたらしい。具体的に言って首チョンパだってさ☆

 

……何それ超コワイ。

 

「ま、まあそんな怖い顔するでない。本来なら泣いて喜ぶような事なのだ。何せフレイヤ直々に会いたいと言われるのだからな」

「先ずその前に何で一目ついただけでファミリアまで分かったんですかねぇ……。まあなんか視線は感じていましたけど」

「私も同行しようか?」

「一人でと書かれてるので……あと、魅了ってそんなヤバいものなんですか?全く想像が付かないんですけど」

「一言で言えば、恋に落ちる」

「それなんてチーター?」

 

 

あり得ねーだろ必中で心臓(ハート)撃ち抜かれて一目惚れとか……。愛と美の神であるから魅了を抑えられないらしい。モテ過ぎてツライとか羨ま……しくはないな。うん。

 

逆ハー派は面白そうだが……常日頃から男に寄られるのは嫌だな。

 

女の子なら大歓迎、むしろウェルカムだが、普通に女の子は好きって訳じゃなく、可愛いと思ったものが好きなのだ。それが多いのが女の子という事だ。因みに俺は攻めるタイプで受けるタイプじゃない。

 

閑話休題(それはともかく)

 

とりあえず、ナァーザ団長に護身用にとナイフを貰った。まあそこそこ業物(Lv.1からすればだが)なんだが何?戦う事も視野に入れろと?まあ行く前にステイタス更新を念の為にする事にした。

 

 

 

 

【ステイタス】

力 :I0

耐久:I0

器用:I0

俊敏:I0

魔力:I0

 

≪魔法≫

我はすべての毒あるもの・害あるものを断つ(ナイチンゲール・ブレッジ)

・1段階回復魔法

・状態異常・呪詛の解除

・魔法範囲内にいる人間の傷の完全修復

詠唱『全ての毒あるもの、害あるものを断ち、我が力の限り、人々の幸福を導かん』

倣薬・不要なる冥府の悲歎(リザレクション・フロートハデス)

・2段階回復魔法

・回復持続状態を付与

・状態異常・呪詛の無効化

・魂が解離していない限り蘇生が可能

『冥府の神よ見るがいい、貴様らの役目はもう終わりだ。人は死を克服した。我が命ある限り、人々の幸福を砕かせはしない』

 

混元一陣(かたらずのじん)

・罠魔法

・任意の場所に魔法陣を3つ設置

・魔法陣の範囲内の摩擦係数の調節権

『渾沌に七穴、英傑に毒婦。落ちぬ日はなく、月もなし。とくと我が策御覧じろ』

 

 

≪スキル≫

羨望百芸(マスターロッド)

・ステイタスが上がらない

・スキル欄・魔法スロットが無限になる。

・羨望すればするほどスキルの獲得率が上昇する。

・羨望すればするほど魔法の獲得率が上昇する。

・見たい相手のステイタス閲覧権。

 

英雄の影(シャドウフェルズ)

・対象とした人物とステイタスを同列にする。

・ステイタスを把握していなければ発動不可。

・発動時間地上は無制限、ダンジョン内は2日

 

可憐情愛(ミリアファルス)

・自身が可愛いと認識したものを護る時のみステイタス超越補正

 

「魔法……増えてる」

「驚かないのだな?」

「いやーなんか前回で感覚が麻痺しているから」

「ポーション飲むか?」

「要りません」

 

驚きはしたが、どうやら行動や思想によって羨望があれば習得しやすくなるチートスキルのようだ。地上では無敵、ダンジョンは長期的には無理だが……

 

不安しかない中、とりあえず俺は指定されたお店へと足を運んだ。

 

もう嫌な予感しかしないんだけど……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ここや、ここ」

 

祭に酔いしれる人の合間を縫って着いたところは大通り沿いにある喫茶店だった。

ドアを潜り音を鳴らすと、すぐに店員が対応してきた。ロキが一言二言かわすと、二階へと通される。

アイズがその場に踏み入れた瞬間感じたのは、時間が止まったかのような静けさだった。

そして次に嗅いだ事のある女性特有のいい匂い。

 

「よぉー待たせたか?」

 

「いえ、少し前に来たばかりだわ」

 

神だ。

女神がそこに存在していた。

だが、顔はフードを被っているため分からない。

 

「なあ、うちまだ朝食食ってないんや。ここで頼んでもええ?」

 

「お好きに」

 

どうやらロキとこの神は元々会う約束をしていたらしい。

やり取りしているところを見るに昔馴染みとでも言うのだろうか、天界での古い付き合いを感じさせるやり取りだった。

邪魔にならないように護衛の位置に控えているアイズは、フードの中の女神が銀髪であることを目にし、誰か察した。

 

(あれが……女神フレイヤ……)

 

これがアイズは初邂逅だった。

 

「ところで、いつになったら紹介してくれるのかしら?」

「なんや?紹介がいるんか?」

「彼女とは初対面よ?」

 

見目麗しい女神達の中でも殊更抜きん出た美しさを誇り、銀の双眸は見ただけで引き込まれそうになる。

【ロキ・ファミリア】と双璧を成す最大派閥【フレイヤ・ファミリア】の主神、フレイヤである。

 

「アイズ、こんなやつでも神やから、挨拶だけはしときぃ」

「………初めまして」

 

宴の夜にフレイヤはバベルの最上階から地上を見渡している。美を司る絶世の女神は顔を見るだけで全てを例外なく魅了する。

 

 

その後、軽い雑談を交えた後、ロキは本題を直球に切り込んだ。だが、アイズは意識を集中していた。気を抜けば魂まで酔わされそうなくらいの魅力だ。女のアイズとて例外ではなかった。

 

 

「率直に言うで。自分、何が目的や」

「何のことかしら?」

「惚けんなや。最近自分妙に動き回ってるようやけど」

 

 

アイズには無縁の話だった。女神フレイヤはバベルの最上階に君臨する女神だ。それが地上や神会でさえ出席するのは珍しいのだ。

 

それが最近、フレイヤは地上に降りているのがロキは知っていた。フレイヤの『魅了』は常に存在し、街では顔を隠さなきゃいけないくらいだ。まあフレイヤと判明するのには時間がかかったが。

 

 

「………男か」

「………」

 

ロキは目を細める。

互いに最大派閥同士、降りかかる火の粉は払うのは当たり前だ。【フレイヤ・ファミリア】は良識があるとは言いにくい。フレイヤの魅力に惹かれて入ったものが多い為、ある意味【ソーマ・ファミリア】のような荒くれ者達がフレイヤに忠義を尽くしたようなファミリアだ。

 

その空間の中、喫茶店の扉が開く。

 

そこには三日前に見たあの銀髪の少年だった。

 

 

「あっ」

「……ん?これ、お取り込み中?」

「ん?」

「あっ、来たわね」

 

 

フレイヤが朗らかに笑いながら、席を勧める。したたかなこの表情に少しだけ目を奪われそうになったが、()()に綺麗な女神って感じがする。ミアハ様が魅了ヤバいとか言っていたけど、まさか溢れ出る色気的な何かがあるのか?俺には感じ取れない。まあ服はちょっとえっちぃけど、眼福ですありがとうございます。

 

 

「あれれ、悪戯好き(トリックスター)のロキ様と……誰だっけ?てか俺とすごい似てる。俺、男だけど」

「……こんにちは?」

「ああ!あの時の銀髪アイズたんやないか!!何でこんな所におるん?」

「あー、そこの女神様に聞いてください。俺も手紙で呼び出されたので」

「……なんやて?」

 

 

神ロキが神フレイヤを睨む。あれ?仲悪かったのか?

 

 

「少し確認したい事があったのよ。それに彼、面白いじゃない?」

「えっ?初対面なんですけど……」

「私の眷属が貴方を十二階層で見かけたのよ。それも冒険者登録2日もしないでね?」

「……っ!?」

「……まあ、否定はしないですけどそれが俺を呼び出すのに何の関係が?」

「ふふ、優秀な子には唾つけておきたいとは思わない?」

「うーん。なんか違う気がするのは俺の勘違いですか?」

「ううん。それも違うわ」

「違うんかい」

 

 

じゃあ何?ただ会いたいからとか言わないよね?大歓迎ではあるが絶対裏がある。だって加虐心がうずうずしちゃってるよこの人、女王さまもびっくりだよ!この人神だけどね!

 

 

「ちょっと近くに寄ってもらえるかしら?」

「んん?まあ別にいいですけど」

「フレイヤァ、まさか魅了する気ちゃうやろな?」

「そんな事しないわ。恐らくだけど()()()のは私だけ」

「えっ?」

 

 

フレイヤは俺の胸元にゆっくり触れた。

 

 

「ーーーーーーーーーーッッ!?!?」

 

 

触れた箇所所から全身に不快感が走る。駄目だ。まるで身体の中にある心臓を直接抜き取られてしまうような、何か大事な物が消えていくような嫌な感覚に思わず距離を取ろうとしたら体が動かない!

 

ダメ……これやばっ……!

 

 

「はいお終い」

 

 

フレイヤが触れるのを止めると何かしらの不快感が消えた。

だが、警戒してフレイヤから一歩下がる。下手したらマジでハート(物理)を抜かれるかと思った。

 

 

「ハァ……ハァ……い、まのは?」

「フレイヤ!何したんや!」

「何もしていないわ。強いて言うなら、彼の()()に触れたというべきかしら」

「原……典…?」

「貴方はまるで鏡のよう、貴方は他人を写すけど鏡は鏡を写さない。まるで()()()()()()()()()()()気分」

「………?」

「多分、それは言うなれば主役ではなく……いいえ、これ以上は無粋ね。急用が出来たわ」

 

 

そう言うとフレイヤ様は店を後にして出ていった。

心臓を鷲掴みにされるような、何かを抜き取られるような感覚。

まさか…まさか……

 

「コレが……魅了?」

 

 * 違います。

 

直接心臓を抜かれるような感覚があってたまるか。コレが恋なら男は全員告白前に心不全だろう、などと下らない事を考えながらコーヒーを啜った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふふ……成る程ね。あの医神の仕業ね?」

 

 

フレイヤがさっき触れたもの。それは一つの()()()だった。

医学書と言っても語弊がある。あの医学書には()()()()()()()()()()()()が書かれていた。ただし、フレイヤは医師ではないし、医学の知識を持っていないから作り方を見た所で意味が分からない。

 

そもそも、悠久を生きる神の中で完璧な蘇生薬など作れる神はいない。それは神威が有れば可能かも知れないが、下界で使用は禁止されている。

 

アレは世界の常識を崩しかねない。

人が神を目指すが辿り着くことは出来ない。だが、あの蘇生薬を使えば悠久を生きる神と同質のものになりかねない。

 

 

「アスクレピオスの弟子……歳は15とか聞いていたけど、本当は()()()なのかしらねぇ?」

 

 

軽い気持ちで言った言葉に……どれ程重要な情報があるのか。トワはまだ知らない

 

 

 

 

 


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