平塚先生「あっ…えっと…」
死にたい。
一気に血の気が引いていくのを感じる。
俺のズボンはこれでもかとテントを張っていて、今しがた先生の体をエッチな目で見ていましたよと自白しているようなものだった。
せめてもの救いはパンツが防波堤となって、先走りがズボンに染みていないことぐらいだろうか?
こんな危機的状況だというのに、俺のアソコは萎んではくれなかった。
比企谷「えっと…いや、その…」
平塚先生「…………」
先生は言葉が出ないといった感じだ。
嫌われた。
完全に嫌われた…。
先生からしたら、目をかけてやっていた陰キャラ偏屈ボッチに突如ケダモノのような下劣な視線を送られ、そんな気色の悪い男に自ら背中へ触れさせるようなマネをしてしまったのだ。
俺はじっくりと時間をかけて先生の背中へ指を這わせている。
きっと今は身の毛もよだつような、おぞましい不快感に襲われているだろう。
比企谷「あ…………」
言葉が出てこない。
今は、先生に嫌われたショックを上回る激しい自己嫌悪に陥っていた。
先生には大恩がある。
先生と言葉を交わす、視線が合うだけで幾度となく幸せな気持ちにさせてくれた。
こんな俺を目にかけて心配してくれた。
そして先生は、幾度となく問題を抱える俺と真摯に向き合ってくれ、取り繕った安い言葉ではなく本気の言葉で俺に道を示してくれた。
だが俺はそんな恩師にこんな仕打ちを…あまつさえ男の汚い感情の捌け口にしたのだ。
比企谷「っ…………」
止めるに止めれない涙が溢れてきた。
この短期間で2度も泣くことになるとは…
それに雪ノ下や由比ヶ浜、平塚先生という女性の前で…
クソ野郎…俺には泣く権利もないぞ…
平塚先生「ひ、比企谷?」
比企谷「すみませんでした!!」
とにかく今は謝罪の弁を述べることしかできない。
比企谷「俺は…俺は…………」
しかし、言葉が出てこない。
己の不甲斐なさを謝ろうにも、口からヒューヒューと肺の空気が出てくるばかりだった。
平塚先生「お、おい…しっかりしろ」
胸を抑えて何とか言葉を紡ぎだそうとする俺の頬に平塚先生は手を添えた。
平塚先生「落ち着け比企谷」
平塚先生の熱を帯びた手の温もりに、何とか落ち着きを取り戻す。
比企谷「すみません…」
しっかりと謝罪の言葉を口にしないといけない。
比企谷「俺は…平塚先生にこんなにも恩があるのに…俺は…平塚先生に下品な感情を抱いて…最低な感情を抱いて…恩を仇で返してしまいました…」
平塚先生「あっ…え…」
比企谷「本当にすみませんでした!!」
平塚先生「お、おい!顔を上げろ!」
俺は額を木の床に押し付けた。
平塚先生「お、おい!い、いいんだよ!落ち着け比企谷!」
比企谷「俺はこんなにも恩があるのに先生を悲しませてしまいました…本当に申し訳ございません!」
俺は許されて良い人間ではない。
平塚先生「ち、違うんだ!わ、私は久しぶりにズボン越しとはいえ、男のアレを見てビ、ビックリしただけでお、お、怒ってないぞ!悲しんでもない!」
俺は許されるべきではない。
平塚先生「そ、それにあれだ!私にも落ち度はある!ほ、ほら私が無理矢理お前にさせたことだったしな!」
そんなのは関係ない。
比企谷「いえ、それでも俺が先生に性的な独りよがりな視線をぶつけてしまったことには変わりありません。」
平塚先生「っ!?い、いやそれは男としてむしろ健全な反応というか、なんというか…む、むしろ私は若い男からそういう風に見てもらえてう、嬉しいというか…」
比企谷「へっ…?」
先生は相当混乱しているようだ…
平塚先生「だ、だからその生徒からそういう好機な目で見てもらえるのは私も興奮するというか、そ、その、私もまだまだいけるんだと思えるというか、えっと、む…むしろ普段も男子生徒達が私をそういう目で見てきたときは嬉しいというか、えっと…」
比企谷「あの…」
更に先生は早口でまくし立てる。
平塚先生「し、しかも今回は男のアレを見れたわけで…えっとしかもお前のアレが見れて、えっと、それで…」
比企谷「先生…?」
平塚先生「あっ…………」
平塚先生はようやく我にかえったようだ。
先生の血の気がサーッと引いていく音が聞こえる。
完全に立場は逆転していた。