オーバーロード~死の支配者と始祖の吸血鬼~   作:魔女っ子アルト姫

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関係構築、続く警戒

モモンガとアーカードが村へと到達した時には、村を蹂躙し尽くしていた騎士たちは死の騎士によって殺戮されていた。それでもある程度の騎士は残っていたのでそれらに対して脅しを籠めながら追い払うと、モモンガとアーカードは村長に助けた対価として情報を求める事にした。生きていく中で情報は必要になってくる、加えて自分達に好意的な相手を作る事が出来たのはかなりの僥倖と言える。此処を始点として情報の網を広げていくのも悪くはない。

 

「さてと……これから如何する友よ」

「そうだな……当初の目的は問題なく達成できた。我々の力が問題なく通じる事やこの世界の強さの基準というのもある程度把握出来たのも御の字だ。これらを基にしてこれからの作戦を立てていく、いやそれは早計だな」

「ではモモンガ様、これらを基にしつつもやや高めに設定したものを立案いたします」

「うむっそうしてくれ」

 

モモンガ達は異国から旅をしてきた旅人という事で通している、故にこの国の情勢などに詳しくないという事で情報を引き出している。幸いな事に村を助けたことで村長や村人たちは酷く協力的、これならばなんとかなるだろう。そんな中で兜の中から人間を見つめているアルベドに目がいく。

 

「アルベドよ、人間が嫌いか?」

「脆弱な生き物。下等生物。虫のように踏みつぶしたらどれほど綺麗になることでしょうか」

 

ナザリック地下大墳墓全体に言える事だが人間を軽視、いや侮蔑の目で見ているものが大半を占めている。異業種ばかりの集まりだからかと試しにアーカードがセラスに聞いたところ、過去にユグドラシルで攻めて込んできた1500越えの人間たちが大きく関係しているらしい。それは仕方ないと思う反面、情報などを集める上でこれはまずいとモモンガとも協議を重ねて意識改革を目指している。

 

「アルベドよ、確かに人間は脆弱だ。だがそれだけで判断するのはナザリックに不利益を齎す、そこは気を付けておけ」

「はっ承知致しましたアーカード様」

 

この位言っておけば恐らく大丈夫だと思いつつも意識的な改革は必要だと確信するモモンガ。そんな中、葬儀も終わった村の中が再び騒がしくなり始めている。また何か起きたのかと思いつつも助けたのだからある程度は干渉する必要があると思いつつも話を聞く。

 

「如何されました、村長殿」

「おおっモモンガ様にアーカード様。どうも村に騎士の格好をして、馬に乗った一団が近づいて来ているそうでして……先程の仲間ではないかと思いまして……」

「成程……友よ、そいつらは私たちで引き受けてやろうではないか」

「そうだな。私たちであれば問題なかろう、では村長殿は村人たちを村長殿の家へ。村長殿は念のため我々と、ご安心を。我々が安全を保証致します」

 

その言葉に安堵と感謝を露わにする村人たち、それを見ながらアーカードはそっとアルベドにこうやって感謝を植え付けてやれば従順になり利益になると教えるとアルベドは流石至高の御方々!と感動するのであった。そんな中で速やかに村人の移動が終了し、村長と共にその馬に乗った一団を迎え撃つことにするモモンガ一行。暫しすると二十人ほどの騎兵たちが隊列を組み、広場へと進入してきた。その装備に統一性はなく、まとまりの無い傭兵集団を連想させるが、何処か連帯感と規則正しい隊列に傭兵では無い事を理解する。

 

「私はリ・エスティーゼ王国、王国戦士長ガゼフ・ストロノーフ。この近隣を荒らしまわっている帝国の騎士たちを討伐するために王のご命令を受け、村々を回っているものである」

「王国戦士長……もしや、あの……王直属の超精鋭……」

 

村長の言葉から推理すると相当な有名人の実力者らしい。王国の戦士長ともなればそれなりの腕前なのだろうが、自分達と比べれば流石に差がありすぎる。片手間どころか指一本で相手余裕だろう。

 

「この村の村長だな。隣にいるのは一体誰なのか教えてもらいたい」

「その必要はございません。お初にお目にかかります王国戦士長殿、私はアーカード、こちらは友人のモモンガとアルベド。旅の途中でこの村が襲われているのに遭遇いたしまして村の方々に力をお貸ししただけです」

 

富裕層との相手が多かったこともあったので目上の相手と話す事になれているアーカードが話の先陣を切る。それに合わせるようにモモンガが頭を下げる。それを見たガゼフは馬から降りながら深々と頭を下げる、戦士長というにはそれなりに地位のある人物であるはずなのに真っ先に頭を下げられることに少し驚き彼が相当な人格者であることを確信する。

 

「この村を救って頂き感謝の言葉もない」

「いや、我々も旅をしている身。情報を得る為に助けたと言った方が正しいだろう、そのように礼を言われるほど大した者ではないさ」

「それでもあなた方この村の命を救って頂いたのは間違いない。それに礼を申し上げるのが当然の事です」

 

どうやら人格者である上に酷くまじめな気質らしい、ある種いろんな人が想像する騎士というのはこういうタイプの人なのだろうと思うアーカードなのであった。それを受け取るとガゼフも漸く顔を上げる。

 

「旅をしているとのことですが、何処から旅を」

「異国です。海を渡った先に我々の故郷があり、諸事情で海を渡ったのです」

「なんと海をですか!?それはなんと長い旅路ですな……」

 

『アルベドよ。アーカードさんの話は聞き逃すな、あの人は咄嗟に物語を作るのに長けている。あれで我々のバックストーリーを語っている、それを聞き逃さず襤褸を出さぬようにせよ』

『はっ承知致しました!』

「(そういえばアーカードさんがゲームマスターをやって、ユグドラシル内でクトゥルフをやった事もあったな……ウルベルトさんの探索者がダイス運悪いのを横でクリティカル連発するやまいこさんがいて憤慨してたっけ……)」

 

ロールプレイガチ勢はその辺りをやっても強いのか、途中ペロロンチーノが素でシナリオブレイクをやらかしたのだがそこをアドリブで上手く繋げたりもしていた。その経験もあってかアーカードの語りは中々に迫力と説得力を感じさせる物となっていた。

 

「成程……それは災難ですな、何かお力になれる事があればよいのですが……」

「では出来ればこの辺りの情勢などをお聞かせいただけますかな」

「その位であればお安い御用ですな」

 

とアーカードの巧みな話術でガゼフの中でアーカードの評価が上がっていき、国同士の情勢などの情報が得られようとしている中でガゼフの配下であるひとりの騎兵が村に駆け込んできた。そして、大声で緊急事態の発令を告げる。

 

「戦士長!大変です、村の周囲に複数の人影を確認しました。村を包囲しながら接近中です!!」




アインズ・ウール・ゴウン、クトゥルフでの一幕

ウルベルト「よし此処こそ俺の見せ場……ファ、ファンブルだと!?」
アーカード「ブルースクリーンになった後、ブツンと電源落ちました」
たっち「あっこれやっちゃったんじゃ……」
やまいこ「機械修理!!よっしゃクリティカル!!」
ウルベルト「こ、今度こそ……ま、またファンブル!!?」
アーカード「極端だなぁ……」


次回、アーカード戦闘開始か開始直前

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