オーバーロード~死の支配者と始祖の吸血鬼~ 作:魔女っ子アルト姫
「アーカードさん、例の一団から情報は引き出せてます?」
「デミウルゴスが尋問を行ってるけど魅了の影響もあって色んな事が分かった」
モモンガとアーカードが一つの村、カルネ村の危機を救い、王国戦士長という太いパイプを得る事が出来てから数日。ナザリックに仕える事に対する幸福感を植え付けられたニグンら、デミウルゴス主導の下で尋問による情報収集が行われているが三度の質問後に死亡するという事が起きていた。どうやら情報漏洩に対する魔法が施されているらしく、それの解除処置の後に改めて情報の引き出しが再開された。
ニグンらはスレイン法国に仕える陽光聖典という部隊らしい。スレイン法国についてはガゼフからある程度の情報を得ているがニグンによって更に詳しい事が明らかになっていった。600年前に現れた六大神によって救われた人間の国家であり、人類の守り手として他種族狩りなどの活動を長年に渡り行っているらしい。その後も有力な情報を提供し続けるニグンらは処分される予定ではあったが、アーカードの発案でスレイン法国に潜り込むスパイとしての役割を与える事になった。それを受けたニグンは
「おおっ偉大なる方々にお仕えすることをお許しいただけるではなく、お役目まで与えて頂けるなど……このニグン、全身全霊を尽くし任務を全う致します!!全てはアーカード様、いえナザリックの為に!!」
と大粒の涙を流しながら部下たちと共に任務を与えられた光栄に感謝しつつ、様々な工夫を与えられた上でスレイン法国への帰路へと着いた。
「どんだけやばいんですか、アーカードさんの魅了って……」
「まあ一応これでも始祖の吸血鬼だから、その関係かな……まあ兎も角これからこの世界を調査する過程でスレイン法国は注意していく事が必要だな」
「ですね……俺達なんて目の敵にされること間違いなしでしょうし……」
異業種の集いといっても過言ではないアインズ・ウール・ゴウンなど目の敵にされても可笑しくはない、がニグンはモモンガを見た時にこうも言っていた。スルシャーナ様、と。
「明らかにプレイヤーですね、スレイン法国を助けた中に死の支配者もいたって事でしょう」
「それに後なんか妙なアイテムがあるって言ってたな……ケ、ケ…ケイなんたらって言ってたな」
「でもユグドラシルにそんなアイテムありましたっけ?」
ニグンが僅かに知っていた噂に近いような話、法国最強の部隊である漆黒聖典にはそのようなアイテムがあると聞いたことがあるらしいが、一つの部隊の隊長であるニグンも詳しくは知る事は出来なかったらしい。最強の部隊ならばユグドラシルのアイテムを所有している可能性も否定出来ない、だが廃人といっても過言ではないモモンガとアーカードすらそんなアイテムに覚えはない。
「もしかして訛った……とかですかね」
「あり得るな……ニグンに探らせてみるか?」
「それも検討しましょう、兎に角外の調査をするメンバーは厳選しつつ世界級アイテムを持たせる事にしましょう。この世界に世界級アイテムがあるならそれに対する備えは必要です、ぷにっと萌えさんの教えを全力採用のプランを構築しましょう」
「だな」
世界級アイテムに対抗する事が出来るのは同じ存在でしかない、外の調査を行うメンバーは慎重に選びつつもその漆黒聖典やらに出会った際には撤退を基本にした作戦を考えておく必要がある。仮に世界級アイテムを所持している連中ならば今の段階で対抗できるのはモモンガ、アーカード、アルベド位だろう。
「さてと……次にやるべきはガゼフが仕えてる王国の情報収集だな」
当座の目的であった情報収集の内、スレイン法国の情報はかなり入手出来ているしニグンを通して定期的に情報を得る事が出来る。ならば次のステップを踏むべきだろう。リ・エスティーゼ王国とバハルス帝国、この二つの国への情報収集の敢行をすべきとアーカードは思案する、王国についてはガゼフからある程度情報を得られているがそれでも僅かな物、やはり自分達で情報を集める事は必須だろう。まずは近場である王国から始めるのが妥当、そんな中でモモンガはある案を思いついていた。
「アーカードさん、冒険者をやればいいと思うんですよ」
「冒険者って……確か村長が言ってたあれか?」
「はいっ現地での情報は貴重だと思いますし、何よりこの世界を見て回りたいじゃないですか!」
「……それが本音じゃないだろうなモモンガさん」
一瞬モモンガの身体が大きく震えた気がした。思わずジト目でそれを見つめてしまい、モモンガは焦りながらしっかりと目的がある事を語る。冒険者になればこの世界の資金を得る事が出来る、情報を集めるのであれば如何しても金が要る。ユグドラシルで使用していた金貨などは金としての価値はあるが通貨としては使えない、ならば現地の仕事で稼ぐしかない。
「確かにな……この世界の事を知るなら金はどうしても必要だな……」
「そうでしょ!?俺だってちゃんと考えてるんですよ!!」
「分かった分かった……後、それに合わせて金貨を溶かしてユグドラシルの物だと分からなくして売るのも手だな。やりすぎると足が付きかねないから自重は必要かもしれないが」
何度か協議を重ねた結果として冒険者として出向く事にはアーカードは賛成した、問題なのは守護者達の説得だろう。絶対に至高の御方々が行く必要などない、行くならば自分達を共にしてくれというに決まっている。
「如何しましょう……プレアデスから誰か連れていく事にしましょうか」
「それは普通にありだな。それと俺も行くからな」
「えっアーカードさんもですか!?」
「当たり前だ。自分だけ未知の世界を冒険しようたってそうはいかないぞ。後、俺に責任と仕事押し付けようとしてもそうはいかん」
「ナ、ナンノコトデスカネ」
「……よし、パンドラから<
「ちょっやめてくださいよ!!?アンデッド特攻の束縛特化アイテムじゃないですか!!?それ俺でも解くのに少し時間かかるんですからその間に食われるじゃないですか!?」
ニグン、ナザリックの為に働く事に。
後、漆黒の事は深くは知らない感じに。