オーバーロード~死の支配者と始祖の吸血鬼~   作:魔女っ子アルト姫

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不快感

エ・ランテルに到着したモモンガ達は視線を集めていた、既に日は落ち漆黒の帳が辺りを包み込む中でも皆の視線はくぎ付けになっていた。賞賛と驚愕、どよめきの中心部へと立っているヴァン・ヘルシングことアーカードは少しリラックスしながらそれらを受け入れていた。富裕層での経験もある為かこういった目立つことには慣れているからかもしれない。

 

『アーカードさん、本当に大丈夫なんですか……!?今から俺も一緒に乗りますよ、アーカードさんだけにこんな辱めなんて……』

『気にしてないさ。それにこんな経験なんて異世界でもないとできないって思っておくよ』

『そ、そうですか……?』

 

現在アーカードはンフィーレアの依頼の薬草採取の最中に配下となった森の賢王の背に乗ってエ・ランテルへの凱旋を果たしていた。森の賢王の身体は丸いので身体を横に向けるような形で騎乗している、そんなアーカードへと向けられている視線は羨望や畏怖、そして憧れなどが多かった。見た目的にはメリーゴーランドにいい年をした大人が乗っているのに近い物がある筈なのだが……矢張り感覚が違うのか、この世界からしたらアーカードはペガサスなんかに騎乗しているように見えるのだろう。

 

「それではモモンさん達はこれから森の賢王の登録ですね。私たちはンフィーレアさんを手伝って荷降ろしをしてきます、またあとで合流しましょう」

「ええっではまた後で」

 

一旦ンフィーレアと漆黒の剣とは離れて組合へと向かう、そんな中でアーカードは森の賢王の名前を考えていた。モモンガに知恵を借りてもよいのだが、生憎モモンガのネーミングセンスは良くない事はギルドメンバー内では周知の事実だった。アインズ・ウール・ゴウンの名前になる前に彼が出した名前の案は「異形種動物園」だった。故に自分で考えておいた方が良いだろう。そして組合に到着した時に登録した際に彼が決めた名前は―――

 

「これで登録は完了だ、今日からお前はスマインだ。愛称はマインだな」

「かたじけないでござる殿。この時をもってそれがしはスマインの名前を拝命するでござる!」

 

スマイン、森の賢王という名前を持つほどの知性を持っているのだからそれを使った。正直名前に困ったのでそこから使ったともいえるのだが……スマートブレインと当て嵌めてそれを縮めただけ。そしてどうやら賢王は女の子らしいのでせめての物の抵抗として、愛称は女の子っぽいものにする事にした。因みにモモンガはハムスケやダイフクという名前を考えていたらしいがそれでもよかった気がしてきた。特にダイフクとか。

 

「なんとっ素晴らしい魔獣……!!おやっお主らはもしかして孫と共に薬草の採取に向かった者たちではないかの?」

 

森の賢王ことマインの登録も終了してこれからンフィーレアの店へと向かおうとしているときに一人の老婆が話しかけてきた。話を聞いてみるとどうやら彼女こそがンフィーレアの祖母であるリイジー・バレアレであったようだ。折角なので彼女と共に店へと向かう事となった。そして到着したリイジーの店で見た物は……全滅しゾンビと化して襲い掛かってくる漆黒の剣の皆だった。

 

 

「……安らかに眠ってくれ」

 

ゾンビと化していた彼らをもう一度殺したモモンガ達は彼らに布をかけつつも冥福を祈る。僅かな時間ではあったがともに旅をした仲間だった、彼らには冒険者として色々教えて貰った。これからも出来る事ならば仲良くして良い関係を築いて人脈とするのも考えていた。その矢先がこれだ、何とも言えない。そして彼らの連携と仲の良さは自分達、アインズ・ウール・ゴウンの仲間たちとも共通する所があった。それを想っていたアーカード、そしてモモンガにとって今の光景は酷く不快に感じられた。

 

「わ、わしの孫が……ンフィーレアがおらんのじゃ!!」

 

そんな中に響き渡るリイジーの悲鳴めいた声、それを聞いて確信した。漆黒の剣の身なりは整ったまま、物取り目的の物ではない。無くなっているのは彼らの冒険者の階級を示すプレートのみ。目的はンフィーレアであった事は明白だ……それを聞いてアーカードは声を出す。

 

「リイジー殿、彼らはお孫さんを守ろうとして全滅したようだ。私としては彼らの仇を討ちたい、その過程としてお孫さんの救出を行いたいと思っている。良いだろうか」

「……願ってもない事じゃ、冒険者に依頼するのと変わらないじゃろう」

「では承ろう。任せておけ」

 

力強く答えるアーカードにリイジーは確信めいた予感を感じていた。彼らならばきっと孫を助けてくれると、そしてそれに見合うだけの報酬を絶対に用意すると。孫を助けてくれるのであれば全てを明け渡してとしても構いはしない、それだけ彼女にとってンフィーレアは大切な孫なのだ。

 

「すまないな、勝手に話を進めてしまった」

「気にしてませんよアーカードさん。それに俺だって結構むかっ腹立ってますから、仇を取ってやりましょう」

 

モモンガとしても漆黒の剣の仇を取るのには賛成だった。彼らとの短い旅は中々に楽しかったし冒険者としての基本なども教えて貰った。彼らには恩義もある、それを果たす為に仇を撃つ。リイジーに頼んで一室を借り、地図を広げながら作戦会議という名を打っているがやる事は決めている。

 

「ぷにっと萌えさん考案、誰でも楽々PK術。相手の情報をとにかく収集し、奇襲でもって勝負を付ける」

「魔法による情報収集を行う際には防御対策を念入りにする。これらが基本……でしたね」

「の割には俺が囮の作戦も多かったよな」

「いやだってアーカードさんが余りにも不死身だからですよ」

 

そんな会話もしながらも魔法などを幾つも行使しながら情報を収集し、ンフィーレアがいるであろう場所を特定した。そこへ死の支配者と始祖の吸血鬼は従者を伴って出陣するのであった。




森の賢王の名前は一応考えた結果です。

……某ライダーの会社は関係ないですよ?別に突然、賢王が

「Exceed Charge」

とかは言いだしませんから。

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