オーバーロード~死の支配者と始祖の吸血鬼~   作:魔女っ子アルト姫

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世界級の喜び

「さてっ……これでポーションの件は終わりでいいだろう。この世界でどこまでユグドラシルのポーションに近づけられるか見物だな」

 

リイジーの依頼であったンフィーレアの救出を無事に成功させたモモン達、ンフィーレアを抱えて墓地から帰還すると冒険者組合から呼び出しを受けた。どうやら共同墓地で起こったアンデッドの大量発生に立ち向かった事が衛兵たちによって伝えられたらしく、その事実確認であった。一応カジットらの遺体は回収して冒険者組合に突き出した結果、カジットらはズーラーノーンという秘密結社の人間だった事が明らかになった。モモン達にとってはンフィーレアを助けに行ったらそれが犯人だったので倒したという程度であったが、かなりの働きをしたという事になり、モモンらはミスリルの冒険者として格上げされる事となった。

 

「アーカードさん、クレマンティーヌの様子はどんな感じですか?」

「全くもって私に忠実だ。ナザリックNPCとほぼ変わらないで通じるかね」

「OK把握しました」

 

ンフィーレアを救出して貰ったリイジーは深くモモン達、モモンガへと感謝を捧げていた。そしてアンデッドの大群の中から大切な孫を救ってくれた礼として準備したのが自分の全てであった。財産だけではなく自分の薬師としての腕を全て差し出すという彼女に、モモンは少し困りながらもそれを受け取る事にした。そしてンフィーレアから中継して貰い、二人をカルネ村にてユグドラシルと現地のアイテムを使った全く新しいポーション作成を依頼する事にした。

 

「そして……次はシャルティアでしたっけ」

「ああっ任務の成功の報告、そして何やら献上品があるらしい」

 

モモンガがシャルティアへと与えた任務は「武技、魔法、世界情勢に詳しい者の捕獲」である。ニグンという存在を確保はしているが更に詳しい情報を得る為にこのような指令を下している、出来るだけ早急に情報を集めておくに越したことはない。だが万全も喫している。ニグンの話からこの世界に他のプレイヤーの存在が考えらえる、それによってそのプレイヤーによって持ち込まれている可能性がある世界級アイテムを警戒している。

 

世界級アイテムは文字通り、それ一つが世界に匹敵するほどの力を持った総数200からなるアイテム。ユグドラシルにおいては一つ一つがゲームバランスを崩壊させかねないほどの破格の効果を有している。これらの効果に対抗する事は実質不可能であり、同じく世界級アイテムを所持するか最高峰の職業とされるワールドチャンピオンが使えるスキルをタイミングよく使用するしかない。そしてギルド:アインズ・ウール・ゴウンはそれらのアイテムを11も所有している破格のギルドでもある。その内の一つをシャルティアに持たせて任務に当たらせている。

 

「俺一人だったら世界級アイテムの可能性に気付けてなかったかもしれませんから、アーカードさんに感謝しかないですよ」

「それはせめて本当に世界級アイテムがあってから言ってくれ。まあ個人的にはあった方がワクワクするんだけどな、改めてこの世界を旅する理由にもなるからな」

「はははっそういえば俺達もそうでしたね、世界級アイテムがあるって情報を得た時なんて皆で行きたい!って言ったりもしましたもんね」

 

世界級アイテムは文字通りの最上級アイテム。様々なプレイヤーがそれを求めていた、それはアインズ・ウール・ゴウンも同じだった。初めて入手した時はギルドを上げて大喜びをしたのをよく覚えている、そしてその能力に驚いたり、バランス崩壊必至レベルの力を秘めた物を見つけた時は喜びよりも驚きと呆れだった時もある。中には運営に直接システム変更の要求をするものまであるのが世界級アイテム、それをこの世界で適応したら……如何なってしまうのだろうか。

 

「そう言えばアーカードさんも俺と同じで世界級アイテムは所持してるんですよね、ギルドのとは別物扱いで」

「ああっ持ったままだよ。しかし本当に持ったままでいいのかとあの時は本当に思ったよ」

「それの情報を最初に手に入れたのはアーカードさんですし、手に取ったのもアーカードさんじゃないですか。それは俺も賛成でしたし、珍しくたっちさんとウルベルトさんも賛成してたじゃないですか」

 

モモンガとアーカードも既に世界級アイテムを所持している。但しアーカードが所持している物はかなり特殊な部類で手にした途端にアーカードにしか扱う事が出来ない完全な専用の世界級アイテムとなってしまった。それもあるが、そのアイテムの存在を最初に掴んだのも手にしたのもアーカードだったのでギルドの皆は所持については一切の反対がなかった。寧ろウルベルトに至っては必要だろっと推奨していた位だ。

 

「そういえばウルベルトさんが世界級アイテムを模倣しようとしてたのもこの世界級アイテムが原因だったな」

「そうでしたね。アーカードさんが魔王なら俺は大魔王になるしかないな!!って鼻息荒くしながら言ってましたもんね、流石我がギルドで最も悪に拘った人ですよ」

 

ウルベルトとアーカードはギルド内でも仲が良かった。ロールプレイガチ勢と悪に拘る者は相性がいいのか日頃から魔王について語り合ったり、ナザリックに侵入者が起きた際にはどちらが魔王役をやるのかを談義したりもしていた。結果としては

 

『アーカードが魔王、そしてその背後に存在する更なる魔王……大魔王として俺は君臨しようじゃないか』

『……ウルベルトさん、それ最高。よし今すぐ登場の台詞を考えましょう!!』

『おうよ同士!!』 

『本当にあの二人は仲良いよなぁ……俺もあんな感じにエロゲー談義してぇよ、なぁモモンガさん』

『そりゃ無理でしょペロロンチーノさん……というか俺に振らないでください』 

 

そんなやり取りを行いながら台詞に加えて登場演出なども盛り込んだギミックを制作していた。まあ結局それも日の目を見る事はなかったのだが……。そんな話をしている中、扉がノックされる。入る事を許可すると、扉を開けたのは綺麗な身なりと相応しい服装に身を包んだクレマンティーヌであった。

 

「失礼致しますモモンガ様、アーカード様。シャルティア様がご帰還なされました、王座の間にてご報告を致したく階層守護者の皆さま方と待機しております」

「そうか、では行くとしよう友よ」

「ああそうだな。クレマンティーヌ、セラスの下で吸血鬼として能力の訓練を積むといい」

「はっ承知致しました!」

 

クレマンティーヌはそのまま去っていく、彼女はアーカードによって眷属化された事で吸血鬼と化した。<スキル:吸血>を行った場合<下級吸血鬼(レッサー・ヴァンパイア)>となるのだが<始祖の吸血鬼>であるアーカードは吸血鬼としての力を高めるスキルを習得している関係でクレマンティーヌは<中級吸血鬼(ミドル・ドラキュリーナ)>となっている。今現在は人間の感覚がまだ強く残っているらしいのでセラスの下で力に慣れる為の訓練をさせている。二人は玉座の間へと移動する、そこでは階層守護者らが既に待機している。モモンガが玉座に付きアーカードはその隣へと立つ。モモンガとしてはアーカードにも席を用意すべきかもと考えていたりもする。

 

「さてシャルティアよ、任務ご苦労だった。詳しい報告を聞く前にお前が確保したというアイテムを見せて貰おう」

「了解致しんした、こちらでありんす。お納めくださいませ」

 

シャルティアの配下である<吸血鬼の花嫁(ヴァンパイア・プライド)>に指示を出して確保したというアイテムをモモンガとアーカードへと献上する。丁寧に折りたたまれたそれを目の当たりにした至高の御方二人は思わず息を飲んだ。そのアイテムが発する力の波動、それに覚えはある物だった。思わず視線を合わせまさかとそれを見つめる。気品ある銀色に龍を思わせるかのような金の細工が編み込まれたチャイナドレスに見える物……。

 

「友よ」

「ああっ<道具上位鑑定(オール・アプレーザル・マジックアイテム)>」

 

モモンガは鑑定を行う為の魔法を行使する。未知のアイテムを鑑定するこの瞬間に感じるドキドキ感に少し高揚している二人、そして鑑定を行ったモモンガは思わず言葉を失った。そしてその直後にらしくもない大声を上げた。

 

「おおおおっっ!!?ア、ア、アアア、アーカードさん!!?これマジでやばいですよ本当にすごい!!!シャルティアマジでよくやったぁぁああ!!」

「えっええっ?」

 

見た事もないようなテンションの上がり方と興奮をしているモモンガを目にする守護者達は思わず目を丸くしていた。それはアーカードも同じだったが、モモンガから何故興奮しているかの理由を聞くと同じく興奮した。

 

「そりゃ興奮しますよ!!だってこれ、世界級アイテムなんですよ!!」

「……マジかモモンガぁ!!?マジで言ってるのか!?」

「マジのマジ、大マジですよ!!」

「「うおっしゃあああああああああ!!!!」」

 

世界級アイテムが手に入った、これほどまでの歓喜があるだろうか。二人が思わず固く握手をしハイタッチをする。そして次の瞬間―――

 

「「イヤッハッ……ふぅ……」」

 

精神の強制抑制が発動し、二人はそろって溜息を吐いて我に返るのであった。世にも珍しい死の支配者と始祖の吸血鬼が揃って溜息をつく瞬間である。


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