オーバーロード~死の支配者と始祖の吸血鬼~   作:魔女っ子アルト姫

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イベント発生・魔樹

「こんなもんですかね」

「だからって森の一部を灰にするとかやりすぎじゃないか?」

「まあこの世界の位階魔法の基準を考えたらあれが妥当だと思いますよ、第八位で神話級なんですから」

 

ナザリック地下大墳墓・円卓の間。アインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバーでなければ入れないNPC曰く神聖な間。全盛期においてはここに至高の御方四十一人が集結し様々な事を議題として意見をぶつけ合っていた。今では二人しか使用する者がいない場に寂しさも覚える。そんな場所を頻繁に使用しているのがモモンガとアーカードであった。ここならば自分達の素を出していたとしてもナザリックの皆に聞かれる事もないので重宝している。

 

「それでもこれで俺達もアダマンタイト級冒険者、情報もより集めやすくなるでしょうね」

「同様に面倒ごとも増えるだろうが上手く対処していくしかないだろうな」

 

冒険者組合から出された特殊な依頼、銀髪で大口の吸血鬼の討伐。それを引き受けたモモン達はその吸血鬼が冒険者を殺したという場所から少しだけ離れた森の中で戦闘になり、秘蔵のマジックアイテムである<魔封じの水晶>を使用し、封じられている第八位魔法を行使して<吸血鬼・ヴェローシュカ>を討伐した……という事になっている。実際はモモンガが別の魔法を行使して森の一部を死の大地へと変えて、そこでヴェローシュカを倒したという事にした。それによってモモン達は王国にて未だ二つのチームしかいなかった冒険者の最高位、アダマンタイト級への昇格が認められた。

 

「しかし、漆黒の双璧か……漆黒の英雄戦士・モモンと漆黒の英雄紳士ヴァン・ヘルシングか、せめて二つ名位分けて欲しかったなぁ」

「お互いに真っ黒な姿なのが災いしたな……というか、考えるのが面倒だったんじゃないんだろうな」

 

それがモモンガ達が仮の姿を取っている人間の姿での異名であった。チームの名前などは一切決めておらず、リーダーとサブリーダーの見た目が漆黒に染まっている事から付けられた二つ名。二つ名を付けられる事自体は悪くはないが、二つ名とはその人物を現す唯一無二を現す異名。それが殆ど被っているのは本人達的には気に入らないご様子。違いがあるのは戦士であるか紳士であるかの部分しかない。まあ分かりやすいかもしれないが……。

 

「ナーベラルには『美姫』でセラスには『弩姫』か……こっちも豪く被ってますよね」

「もうまともに考える気ねぇんだろうな、発案した奴」

 

一応二人にもユグドラシル時代には確りとした二つ名のような物はあった。それに比べたら自分達の凄さは全く強調されていないし見た目から決めた漠然とした物なのがお気に召さないらしい。特にユグドラシルだと凝った名前が多かったのも影響しているのだろう。因みにアーカードがギルドメンバーで一番カッコいいと思っている二つ名はウルベルトさんの『大災厄の魔』である。

 

「まあニックネーム程度だと思っておこう、しかしこれだと俺達のチーム名って漆黒になるのか?」

「それが一番楽かもしれないですねぇ……でも漆黒かぁ……」

「ドイツ語読みでもするか」

「それだけはやめてください」

 

そんな風に二人で話しているとアーカードにクレマンティーヌからの<伝言>が入ってくる。それを受けてアーカードはそれに出るのだが、モモンガはアーカードの不思議な癖を見た。アーカードは何故か<伝言>を出る時などは首元に人差し指と中指を当てるような仕草をする。何かの癖なのだろうか、見た目もあって中々にかっこいいので自分もあんな風にやろうかなと思うあたり、流石はパンドラズ・アクターの創造者(父親)である。

 

『アーカード様』

『クレマンティーヌか、何か用か』

『はいっご報告したい事がございます。お時間を宜しいでしょうか』

『ああっ聞こう』

『セラス様のご命令を受け、吸血鬼の力の訓練中に妙な物を発見致しました』

『妙な物……?』

 

クレマンティーヌ曰く、セラスの指示を受けて新しく仲間となったハムスケ(スマイン)と連携を取る訓練をするためにトブの大森林を進んでいたのだがその途中で余りにも奇妙な立ち枯れをしている木々を発見した。スマイン曰く何やら良くない物を感じるとのことでその場を離れようとした所に、森精霊(ドライアード)が接触を図って来たらしく連絡を取って来たとの事。

 

『その森精霊はなんと?』

『はっ。なんでも世界を滅ぼす事の出来る魔樹、それの復活が迫っているとのことです。大昔にとある者達と復活しそうになったらまた倒すという約束を交わしたそうです。私をその人間らの仲間だと思って接触を図って来たとのことです』

 

「世界を滅ぼす魔樹……モモンガさん、参加してくれ」

「了解です」

 

『クレマンティーヌ、モモンガだ。詳しい情報はあるか』

『モモンガ様、はいっ森精霊から詳しい位置情報を得ております。名前は森精霊も少々うろ覚えらしいのですが……ザイトル……クワエとか昔来た人間が言っていたそうです』

 

それを聞いてモモンガとアーカードは顔を見つめ合わせた。ザイトルクワエ、それに二人は心当たりのような物はわずかながらにあった。それは以前アインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバーで行っていたクトゥルフ神話TRPGのセッションで出てきた物。クトゥルフ神話における独立種族、ザイクロトルからの怪物が元だと思われる。

 

「似てますね……それが元ネタって事ですかね」

「可能性としてはある、という事は大昔にプレイヤーがいた……と見て間違いないな。にしても世界を滅ぼす魔樹ねぇ……この世界基準ってオチじゃないよな」

「あり得そうですけどねナザリック(ウチ)からも近いですし対処しておきましょう、念の為に守護者にも連絡を入れておきましょう」

「だな」

 

『クレマンティーヌ、これから私たちがそこに行く。森精霊に話を通しておいてくれ』

『承知致しました!』

 

世界を滅ぼせるという魔樹、ザイトルクワエ。プレイヤーとの関連性が匂う名前に二人はやや警戒しながらも準備を進めていく。そして二人はクレマンティーヌの下へと転移を発動させる。

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