オーバーロード~死の支配者と始祖の吸血鬼~   作:魔女っ子アルト姫

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イベント・魔樹の行方

「んだよレベル80そこらかよ……世界を滅ぼす魔樹っていうからせめて100目前とか、100とかを期待してたのに……ああっ俺もうだめ、やる気失せた」

「同じくです。悪い予想のこの世界基準っていうのが的中しちゃいましたね……と言っても排除しないとナザリックの害に成り得るから倒さないという選択肢はなし」

「でも俺はやる気0だ。なんだよ折角俺の世界級アイテムのお披露目できると思ったのに……」

 

世界を滅ぼすというほどの相手だというからアーカードも非常にやる気になっていた、しかしレベルが80~85だと聞いてやる気が完全に失せてしまった。その理由は彼自身の余りにも高すぎるタンク性能にある。最初こそ自分が倒れにくくするためにしていた防御型のスキルだったが、仲間を得てからは彼らを守る盾となりたいという思いから回復系のスキルも習得していった。その結果として出来上がったのが最早不死なのではないかと疑いたくなるほどの極悪タンク性能を持ったアーカードなのだが、それが影響して自分が倒されるという事態が全く起こらなくなった。

 

故に彼の中では自分を倒すほどの力を持った相手とはどんなものなのだろうか、という思いとそれと戦ってみたいという思いがある。一応アーカードを倒す力をもっている相手としてはたっち・みーという存在がいた。彼もハッキリ言ってアーカードとの1on1のPVPは絶対にごめんだと零している。そんなたっちを超える程の相手がいるのではないか?という興味があった、もしかしたら今回のザイトルクワエがそれなのかもしれないと思って期待していたのだが……期待外れであった。

 

「あっちょっとアーカードさん寝っ転がらないでくださいよ。誰かが見てたらどうするんですか」

「だってよぉ~……俺は自殺願望とかないけどよ、倒されたいんだよ。それで今度はそいつを超えるぞ~って努力をしたかったんだよ。あれだよ、たっちさんに勝ちたかった武御雷さんの亜種だよ」

「あの人も大分あれでしたけど……兎に角そういう体勢はダメです!!せめて座って下さい!!」

「えっ~……」

「えっ~じゃない!!」

 

若干おかんっぽさを発揮しながらなんとか寝そべっているアーカードを立たせる事に成功するモモンガは溜息をつきながらある事を想う。武人武御雷、コキュートスを創造したギルドメンバーであり打倒たっち・みーを目標に掲げていた正しく武人であった。そういえばアーカードは彼とも仲が良く一緒にいてよくPVPなどをよくしていた。アーカードは新しい銃を組み込んだ戦い方を、武御雷は新しく作った武器の性能試しとどれだけのDPS*1を発揮するかをアーカードで試していた。まあ確かに火力を確かめるならばアーカードで試すのが一番だろう。

 

『おいアーカード、ちょっと新しいのを試してぇから付き合ってくれよ』

『いいですけど武器ですか?』

『いやコンボだ、上手くいけば対たっちさんの切り札に成り得るかもしれなねぇ超コンボだ』

『おおっそりゃ受け甲斐がありますねぇ!!』

 

そんな風にアーカードは役に立てるのが嬉しそうにしながら喜んで試し切り相手を引き受けていた。その事でペロロンチーノがM疑惑を流したせいでアーカードがガチ凹みし、茶釜さんがブチギレたという事もあった。

 

「兎に角、対処はしないといけませんからねぇ……如何しますあれ」

「もうモモンガさんが超位魔法でぶっ飛ばせばいいじゃん」

「やる気なくし過ぎです!!もう少し真面目に考えてくださいよ全く……せめてナザリックの為になる事を考えてくださいよ」

「為にねぇ……」

 

そう言われてもそんな事思いつくようだったら会社で発表する企画を考えるのなんて苦労しない。考えるとしたら今ナザリックが進めている事柄にザイトルクワエを役に立たせるという事だろうか、しかしレベル80などナザリックのNPC的にも必要はない。ある意味ガルガンチュアよりも巨大というのは役に立つかもしれないが、逆にでかすぎる。そんなこんなでアーカードは考えていくが……こんな事ならばデミウルゴスに相談すればいいだろうと思う。と思った時だった、デミウルゴスであることを思いついた。

 

「あいつでスクロール作成って出来ないのかな」

「へっ?」

「いやほらっ紙の原料って木じゃん。それだったらザイトルクワエを原料にしてスクロールを作れるんじゃないかなぁ~って」

「……良いかもしれませんねそれ」

 

デミウルゴスに任せている仕事の一つに魔法を封じ込め、何時でも使用出来る巻物(スクロール)の素材調達という物があった。ナザリックが異世界に転移した為にユグドラシル由来の素材の入手がほぼ不可能となった。その代用品を求めてデミウルゴスに素材捜索の命を下していた。仮にもレベル80もある魔樹だ、素材としては悪くはないのではと思い至った。そうなるとデミウルゴスの働きの一部が無碍になってしまうのが少々痛い所だが、そこは自分らが上手くフォローすれば良いだろう。

 

「それじゃあザイトルクワエを討伐するんじゃなくて捕獲に切り替えますか?でもあれをどうやって……あっそうだ!!<傾城傾国>で洗脳すれば簡単かも、性能の評価も出来るし!!」

「それナイスなアイデアだな。まあ世界級アイテムだからだれでも洗脳出来るとは思うけど、現地調達のものだし正常に作用するかも確認しておきたい所だな。んで誰に着せるんだあのチャイナドレス」

「ロリカードで着れば」

「断固拒否する!!!」

 

この後、デミウルゴスとアルベドを呼び説明を行った後にアルベドに<傾城傾国>を着て貰いザイトルクワエを洗脳する事になった。因みにこのドレスを着た際のアルベドの破壊力が凄まじくモモンガは何回も精神の鎮静化が発動していた。アーカードは一度発動した後はなんともなかったが、やっぱりモモンガはアルベドに惹かれているのかなっと内心で思うのであった。そして洗脳は無事成功し、ザイトルクワエは完全にナザリックの手中へと落ちた。

 

「さてデミウルゴス、このザイトルクワエの管理はお前に任せる。素材調達に代わる新たな命だ」

「承知致しましたモモンガ様!!このデミウルゴス、全力をもって務めさせていただきます!!そしてその更に奥にある深きお考えを実行できるよう、最善を尽くす事をお誓い致します!!」

「「……えっ」」

 

深々と礼をしながら言葉を述べるデミウルゴス、だがモモンガとアーカードは何のこっちゃと理解できていない。二人の考えはザイトルクワエをスクロールの材料にするだけでそれ以上は何も考えていない。本当に何も考えていない。

 

「ああっやっぱりそういう事だったのね、流石至高の御方!!これほどまでのお考えなんて!!」

「(えっアルベドまでぇ!?ちょっと待って本当に待って!!?)」

「(おいおいおいマジで待ってくれ!!?深く考えって何!?寧ろ浅い事しか考えてねぇんだけどぉ!?)」

「アルベド、済まないが後で知恵を貸してくれないかい。モモンガ様とアーカード様のために万全を期す為に」

「ええっ勿論よデミウルゴス、全力で力になるわ」

「「(お願いだからマジで待ってくれ)」」

 

混乱する二人、だがそれを表に出す事なんてできない。普段の威厳あるロールプレイが逆に仇になっているせいか素で物が言えない二人が出来る事と言えば……

 

「流石はデミウルゴス、私の考えを見事に察知したな」

「見事だ二人とも。流石はナザリックが誇る知恵者だ」

 

そのまま乗っかって誤魔化す事だった

*1Damage Per Second「単位時間当たりの火力」を指すゲーム用語。




オバロ名物、デミえもんの深読み&誤発注。

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