オーバーロード~死の支配者と始祖の吸血鬼~   作:魔女っ子アルト姫

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動き始まる事態

「これがセバスへの追加資金で、こっちがリザードマン村への復興支援用の物資購入諸々の資金っと……それでこれがセバス達が王都で借りている屋敷の家賃だから……」

 

エ・ランテル。最高級の宿屋、黄金の輝き亭。その最も高価とされる部屋にてアダマンタイト級冒険者、漆黒の英雄戦士モモンことモモンガはそこで宿を取っていた。アダマンタイト級という冒険者の最高位にもなるとそれ相応の物を要求されてしまうのでこの黄金の輝き亭で宿を取っているのだが、本人からすれば豪華な食事も寝心地の良いベットも必要がないので無駄な出費が増えるだけだとげんなりとしている。こんな時に取引先の重役が高級な腕時計を付けている理由が身に染みて分かった死の支配者であった。

 

「た、たったこれだけ!?い、いやリザードマンには物資で代用する事も出来るからこの位かなぁ~……やっぱり何処かの商人にスポンサーになって貰った方が良いのかもしれないなぁ……いやでも金で何でも引き受けるとは思われたくはないし……ああもうなんでこんな宿取らなきゃいけないんだよ!!」

 

広げられている金貨や銀貨、それらは一般人からすれば一生掛かって漸くいや稼げない額かもしれない。しかしアダマンタイト級に出される依頼料は飛びぬけて高い。そんな依頼料をもって受けるモモンだが、それでも様々な理由で資金は次々と吹き飛んでいく。この世界の金を手に入れるための手段はモモンガとアーカードの冒険者としての収入とユグドラシル内のアイテムを売る事、しかし後者は他のプレイヤーがいた場合自分達の存在を知らせる事になる為慎重に行わなければいけないので大規模に行えず、矢張り主なのは冒険者としての収入だった。

 

「はぁっ……金がない時に出費って嵩むんだよなぁ……」

 

深いため息が漏れる。ナザリックを維持するためにはこの世界の金は必要はない、だがこの世界で活動するためには金が要る。その為にはユグドラシル内の金貨が使えないという事実が本当に痛い。アインズ・ウール・ゴウンはギルドとしての格は上位ランキングにも入る程のギルド。そんなギルドが素材などを手に入れたりクエストで入手した金貨の数はとんでもない額、それさえ使えれば……と思わずにはいられない。

 

「今帰ったぞ。何だまた金を見て溜息でもついてるのか」

「ああっおかえりなさい、その通りです……」

 

そんな中帰ってきたアーカードに肩を竦められる、最近こんな光景が頻発している。まるで小さな会社を興したての社長のような姿だ。そんな彼に助け舟を出すかのようにどんっと目の前に革袋を置く、重々しく音が響き中からはジャラジャラと音が聞こえる。

 

「こ、これは?」

「追加の資金だ。それも入れて勘定をしておいてくれ」

 

中身を確認してみると大量の金貨と銀貨が収まっている、これだけで次回送る分を簡単に賄えるだけの量が入っている。

 

「こ、これ一体どうしたんですか!?」

「この世界の宝石商に宝石を売ったんだ。勿論細工は流々、バレる事もないだろう。加えて俺が裁縫で作った品を流してみたらバカ売れした」

 

アーカードは自分なりに出来る事を考えてこの世界の市場を調べると同時に宝石の細工のレベルなどを調べ上げていた。それに合わせた物に宝石を仕立て上げて売ってきたのである、そして自分の趣味である裁縫を駆使して様々な物を作ってみてそれも売ってみただが……何故かそっちがよく売れたのが驚きであった。アーカードの裁縫レベルがMAXであるのもそうだが、あのアダマンタイト級冒険者のヴァン・ヘルシングが制作したというのが更なる箔付けとなったらしく、宝石よりもこちらの方が多くの金を稼いだ事に驚きを隠せなかった。

 

「有難う御座いますアーカードさん!!これで色々と楽になりますよぉ!!」

「気にするな。空き時間に趣味をやって出来た物を売っただけだ、後ヴァンだ。ナーベの事を言えなくなるぞ」

「あっすいません……それにしても流石に凄いんですね、アダマンタイトって称号は」

「俺達を含めて王国には3チームしかいない最高位だからな。利用出来る分は利用するのが吉だ」

「ちゃんと加減はしてくださいよ?」

「分かってる、あくまで称号は称号だ」

 

その辺りは恐らく理解しているから問題はないだろう。アーカードはロールプレイにかなり気を使う、役を演じるのに周囲の状況や環境、文明レベル、人々の事まで調べてから演技に入る程だ。だからこそガチ勢を名乗れるのだろう。

 

『アーカード様』

「うおっ!!?」

「ど、どうしました!?」

「い、いや<伝言>だ。リラックスしてたからビビった……この声は……アンデルセンだな。あいつの声すげぇ迫力と威圧感あるんだよな……」

 

そう言って首筋に指をあてて<伝言>の体勢に入る彼を見ながらその名前を聞いて改めて思う。アーカード曰く渾身の出来のNPC。ギルドメンバーからは最恐神父、怪物神父、圧倒的存在感、やばい(ド直球)、などなどの評価を与えられているNPCがアレクサンド・アンデルセン、通称アンデルセン神父。

 

普段は穏やかな表情を浮かべる優しげな神父様だが、敵対者への攻撃や忠義の対象となっている至高の御方の侮辱をされると性格が一変する。本性は残虐で残酷、更に敵が強ければ強いほどに好戦的な本性を剥き出しにして誅殺を楽しんでいく。アーカードと同じく防御と回復に多くのスキルが割り振られ傷を負ったとしても即座に回復する。そしてアンデルセンはその手に銃剣を使用する白兵戦を得意とする。

 

因みにアンデルセンを作った際にギルドメンバーから制作時期がペロロンチーノがアーカードのドM疑惑を流した直後だったので、そのせいで色々たまったストレスが爆発したせいで生まれたNPCなのでは……と思われている。

 

「……ふむっあっえっはぁぁっ!!?」

「うわぁ!?」

 

金をしまっている最中にアーカードが素っ頓狂な声を上げる。思わず金貨を落としてしまいそれを慌てて追いかける英雄モモンの姿が生まれたりもした。

 

「……そ、そうかうん分かった。私の方から伝えておくからお前はそのまま任務を続けてくれ。後でまた連絡する」

「ど、どうしたんですか。声に出てますよ?」

 

頭を抱え始めるアーカードに思わず声をかける。<伝言>で伝える言葉が思わず声に出てしまっているほどに焦っているのか彼の顔色は良くない。まあ普段の肌が白いのでそれよりは良いともいえなくもないが。

 

「……セバスに裏切りの可能性があるっと報告してきたんだよあの神父」

「えええええっっ!!?」

「まあ驚くよな……人間の女を救って屋敷でメイドとして働かせているらしい、だがそれを報告してこない」

「あのセバスが裏切りなんて……」

「俺もそれはないとは思うが……」

 

あのセバスが裏切り……正直考えられない。執事としてあれほど真面目な彼が、何より彼を作ったのはあのたっちさんだ。彼に作られたセバスがナザリックを裏切ったというのは考えにくい。

 

「人間の女を助けた……如何思います、裏切ったと思いますか?」

「ないと思う。どちらかというとたっちさんの性格に影響を受けてるからこその行動だと思う、誰かが困っていたら助けるのは当たり前なたっちさんの子供だぞ。それに影響されてる可能性はある」

「ですよね……でも報告をしないのはちょっと問題ですね、報連相は基本中の基本ですし……一度セバスと話した方が良いかもしれませんね」

「だな」

 

アーカードは再びアンデルセンへと<伝言>を飛ばしそちらに行く事を伝える。

 

『至高の御方の御手を煩わせる訳にはいきませぬ、宜しければ私がセバスを処分いたしますが』

『いや私は奴を処分する気はない、そのまま待機だ』

『承知しました、我が君』

 

「……ふぅ……なんかアンデルセンと話すと不思議と緊張するな」

「凄い解りますそれ」




アーカードが敵の攻撃を引き付ける、アンデルセンが敵中を搔き乱す、セラスが後方から砲をぶちかます、玉藻が援護の魔法を行使。

これが基本的な戦法。
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