オーバーロード~死の支配者と始祖の吸血鬼~   作:魔女っ子アルト姫

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ゲヘナ後の会話

「ふぅっ……」

「お帰りなさいアーカードさん、如何でした蒼の薔薇との一時は」

「変な言い方は勘弁してくれモモンガさん」

 

ヤルダバオトの一件より数日、漸くナザリックへと帰還したアーカードの姿が円卓の間にてあった。英雄モモンとして活動していたモモンガやナーベラル、セラスは先にナザリックへと帰還したがアーカードはガガーランとティアに譲ったポーションの引き換えとして提示した食事の為に数日王都に滞在し続けていた。それによって蒼の薔薇とより深い関係作りも出来たりはしたがそれでも精神的な疲労も相応にあった。

 

「ど~も蒼の薔薇のイビルアイに目を付けられた感じだな」

「……人間じゃない、って事がバレたって事ですか」

「いやそうじゃない感じがする。彼女、恐らく俺と同じ吸血鬼だ」

 

如何にもヤルダバオトの一件で惚れられたらしいイビルアイからかなりの接触を受けたアーカード、しかし彼はイビルアイが同じ存在なのではないかという感覚を味わっていた。彼女自身は恐らくマジックアイテムか何かでアンデッド探知を無効化するような物を所持しているのだろうが、始祖であるアーカードには感覚的に同じ存在であるという事が把握出来た。

 

「だから多分種族的な問題で俺に惹かれてるって感じなんだろう、多分だが」

「ふむぅ……取り敢えず申し訳ないですけどそっちはアーカードさんに任せても良いですか?そういう事情があるならこれからも多分アーカードさんが対応した方が楽だと思いますし」

「マジか……分かったよ、出来る事は俺の方で処理しよう」

 

モモンガにギルド面での仕事をさせてしまっている手前、アーカードも自身が何も仕事をしないというのはバツが悪いのかそれを引き受ける事にした。効率面などを考えれば自分が蒼の薔薇との窓口などをやった方が明らかに良いのは明らか。

 

「ペロロンチーノが居たら多分歓喜するやら嘆くやらしそうだ……」

「ああ~……確かにまあシャルティアの件もありますし普通に喜びそうですよね、後なんで俺じゃないんだ……って嘆きそうでもある」

 

嘗ての友人を思うと懐かしく思う手前、確実に言いそうな問題発言を想像して微妙に頭が痛くなる。

 

「勘弁してくれよっただでさえ俺には玉藻の目が光ってんだぞ……」

「今から設定変えられたらどれだけいいんでしょうね……」

「いやそれで一番得するのアンタだろ、主にパンドラ」

「何で変えられないんだぁぁぁあああ!!!」

「自分で言って自爆すんな」

 

出来る事ならばモモンガは速攻でパンドラの設定を書き換える事は間違いないだろう、オーバーアクションやらドイツ語やら修正したい部分なんて幾らでもある事だろう。個人的には好きなキャラだが本人的には今すぐに消し去ってやりたい過去の汚点に近いから無理もない。

 

「それでこっちだとゲヘナの実行隊に対する褒美とかやっちゃった感じ?」

「はい、やっちゃいました」

「そっか、んじゃ俺は……何しようかな」

 

モモンガはモモンガで蒼の薔薇を押し付けてしまったと思っており、自分の方で出来る事は全て片付けてしまっていた。アーカードの分のやる事まで気を利かせたつもりだったが如何やら裏目に出てしまったようで、少しだけ申し訳なく思えてきた。

 

「アーカードさん、蒼の薔薇とはどんな感じだったんですか?」

「まあ普通かな。飯食いながら適当な話をしてたって感じ」

 

食事の際にガガーランに寝ないかと誘われたり、セラがティアと双子のティナに口説かれそうになっていたが本人的に完全にそっちはNGだとフッたりとそれなりに面白い事自体はあったが一番困ったのは自分の妻がどんな人かと聞かれた時だった。セラは設定上、ヴァン・ヘルシングの娘という事になっているがならばその母親はどんな存在なのかと。

 

「えっじゃあその時どうしたんですか?」

「アドリブに決まってるでしょうが、最初は玉藻を妻役にする事も考えてはいたけど……絶対に暴走するからやめてその場で全部考えたよ」

「ああっ……目に見えますもんね」

「……まあそれでその場を誤魔化したんだがな、なんか妙~にイビルアイがセラに優しくするようになったんだよ。如何思う?」

 

妻はセラを産んで直ぐに死んでしまったという事にしておいたのだが、セラもそれを感じ取って適当に合わせてくれたのだが、それを聞いイビルアイはセラに優しくなっていた。まあ端的に言えばイビルアイはヴァンに惚れているから今の内に娘であるセラにも優しくして母親的な立場を確立しようとしたのであった。

 

「その子も母親の事で苦労して、良くしようと思ったとかですかね」

「そう思うのが自然なのかな……」

 

が、恋愛に疎い男二人はそんな可能性に全く辿り着く事は出来ずにイビルアイがセラに対して親身になったと解釈してしまったのであった。

 

 

 

「何なんですかその女ぁ!?私のご主人様に色目を使うなんてぇ……!!」

「いや私のマスターでもあるんですけど……」

 

そんな話題に上がっているセラことセラスは第四階層にある自分達の領域へと一度帰還してそこで玉藻に話をしていた。そこで矢張りというべきか、愛が重い玉藻はイビルアイに対して怒りのような嫉妬の炎を燃やすのであった。

 

「セラスさんだって何でそのままにしたんですか!!?ご主人様にそんな女など相応しくありません!!」

「いやいやいや、相応しいかどうかなんて私たちが決めるべき事じゃないですよ。マスターがどう思うかでしょ?私は別にマスターが幸せになっていただけるなら玉藻さんでもイビルアイさんでも結婚しても良いんですよ。私にとって優先すべきはマスターの幸せですからね」


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