IS~人と怪獣の境界線~   作:妖刀

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お久しぶりです。いろいろあって離れてましたが、また投稿します。


クラス代表パーティ

 時は過ぎ4月の4週目の頃。1年1組の生徒たちは授業のため第2アリーナに来ていた。

 内容はISの実技であり、全員はISスーツを纏っていた。

 ISスーツはパッと見生地が薄く、女子たちのは競演水着に見えるが、拳銃等の攻撃も通さない強靭さも備えている。だが彼女たちのスタイルを色濃く反映しており、思春期真っ盛りの男子からしたら目に毒でしかない光景が広がっていた。

 その生徒たちの列の前、そこにはジャージをきた千冬と真耶が立っており、その2人の間には航、一夏、セシリアの3人が立っていた。

 なお男子のも肉体を反映しているため、一夏のしなやかながらしっかりと鍛えられてるその身体をうっとりと眺めている女子は多数で、対して航はがっしりと鍛え上げられた筋肉が主張しており男らしさを感じられるが、生えている複数の背鰭が強い異物感を出してるのか、多数の女子たちが嫌悪的な顔を浮かべている。だが航はそれを無視しており、というより完全に男としての反応が出ないように、視線は完全に空へと逃がしていた。

 

「ではこれよりISの基本的な飛行操縦を行ってもらう。織斑、オルコット、篠栗、前に出てISを展開しろ」

 

「「「はい」」」

 

「来い、機龍」

 

 一番最初にセシリアがブルー・ティアーズを展開。それに少し遅れて航も四式機龍を展開し、一夏も白式を展開した。

 セシリアは模範となるような綺麗な展開だったが、航がしたら光と同時に地面に衝撃が走り、座っていた女子たちの体が一瞬浮きあがる。そこに現れた四式機龍はその巨体のため女子たちを見下ろす姿になるが、それを見た女子たちはブルリと体を震わす。

 一夏とセシリアも改めて見上げながら機龍の大きさに感嘆のため息を漏らし、よくこんなのと闘ったなと改めて自分たちがとんでもないことをしたことを自覚する。

 

「ふむ、言えば展開速度はまあまあだが、言わずに展開できるようになれ。そしていちいち衝撃を立てながら着地するな。いいな」

 

「あっはい」

 

「さて織斑だが、貴様は篠栗みたいに声を出さずにできても、展開速度は遅いな。1秒未満は最低切れ」

 

「は、はい……」

 

 落ち込む一夏だが、それをしり目に千冬はさっさとこれらの説明を行い、そして次の指示に入る。

 

「では飛べ」

 

 一番最初に空に飛び出したのはセシリアだった。それを追うように航も機龍のスラスターを展開し、一気に飛び上がる。

 

「うお!?」

 

 下で一夏が衝撃で転びそうになってるが、航はそれをスルーしてセシリアに追いつき、そのまま追い抜く。

 そして一番最初に200mに着いた航は、そこから見える海を眺めていた。

 

「ホント、速いですわね」

 

「ん?あぁ、この機体の取り柄でもあるしな」

 

 そこに追いついてきたセシリアが話しかけて来た。本当に前の様な棘のある雰囲気は消えており、淑女然とした彼女を見て航はいまだに彼女の姿に驚きを隠せない。

 これまでのアレは何だったのか聞いたら、目を逸らされて少し謝られたためこれ以上は何もできず、どうするかと思った時だ。

 下の方から一夏が少し遅めであるが彼らの元に着き、もうこの時点ですごい疲れた顔をしている。

 

「はぁはぁ、やっと追いついた……はえーよ2人とも」

 

「そりゃまぁ……」

 

「練習していますし」

 

 2人にそう言われたためへこむ一夏。

 

「それにしても飛ぶ感覚ってのがよくわからなくてなぁ……こう、イメージって言われても……ホントセシリアに指導してもらわなかったらもっとひどいことなってたかも」

 

 一夏はクラス代表戦以降からセシリアにISのいろはを教えてもらっているが、いまだにいろいろと飲み込むことができずに操作に苦戦していた。

 なおあの試合でなぜあそこまで動けたかをセシリアが聞いたところ、ただ勝ちたいという感情だけで動いてた、とのことで彼女はそれに呆れていたりする。

 

「なあ、航はどういう感覚で飛んでるんだ?」

 

「んー……ノリと勢いといえば今はそうだけど、そうだな……そうだ、俺が飛べるようになるまでボロ雑巾になってた話でもしようか?」

 

「ぼ、ボロ雑巾……」

 

「あぁ。楯無にマンツーマンで教えてもらった時だが───」

 

「いや、話さなくていいわ」

 

「そうか……」

 

 若干航の目からハイライトが消えてたため、どれだけやばかったかをすぐ理解した一夏。さすがにセシリアもそれには苦笑いしか浮かべ切れず、一夏は不味いと思い、どうにか話題を変えようと考える。

 

「なあ、航──」

 

『さて、これから3人には急降下から地表10cmの場所で停止してもらう。いいな』

 

 その時だ。千冬からの指示が飛び、とっさに話すのを止める3人。そして最初誰から行こうかと一夏が聞こうとしたとき、すでにセシリアの体が動いていた。

 

「ではわたくしから参りますわ」

 

 セシリアは地面に向けて急降下し、道中即座に反転。そのまま地表10cmのところで見事に停止し、完全な見本を生徒たちに見せつける。

 

「航、どっちが行く?」

 

「じゃあ俺が」

 

 そして次に降りるは航。その巨体が一気に降りる様を下で見てた生徒たちは、恐怖を感じたのか一斉に逃げ出す。

 航も途中反転し、スラスターの逆噴射も利用して減速するが間に合わず、その足を地面に着けてしまう。その衝撃で地面が大きく揺れ、着地箇所を中心に放射状に亀裂を走らせるもどうにか着地する航。

 

「馬鹿者。私は10cmと行ったはずだぞ」

 

「すいません……」

 

「ったく、そのままじめんに墜落してたらどれだけの被害になって───」

 

 その時、彼らから少し離れた場所に、1つの白い流星が落ちた。

 

「……誰が墜落しろといった」

 

 一夏が急降下を行ったが、止まることができずそのまま地面に大きなクレーターを作り上げてしまった。そのため千冬からの説教が飛び、放課後は一夏がこの穴を埋めなければならず、そのことに彼は完全に膝を着いて落ち込んでしまっている。

 

「シャキッとしろ、織斑。では次に武装の展開について説明する。織斑、早速見せて見ろ」

 

 そう言われたため一夏はすぐに雪片弐型を展開する。1秒きるか否かの速度だったが、千冬は眉間にしわを寄せたままの顔で見る。

 

「まだ遅い。最低コンマ5秒で出せる様になれ」

 

 それで再び落ち込む一夏だが、実際彼の武装は雪片弐型1本しかないため遅ければ致命傷だ。そのためこう怒られるのは仕方ないのだろう。

 そして次はセシリアの番だ。彼女はコンマ5秒未満で主武装“スターライトmkIII”を展開するがその銃口が完全に一夏の側頭部を捉えており、そのことを千冬に怒られる。

 そして次は近接武装だが……。

 

「インター・セプター」

 

 セシリアの一声と共に1振りのショートブレードが左手に展開される。代表候補生がこのような展開方法を取るのは実際はどうなのだろうと思うが、だが彼女はそれを恥ずべきこととは思わずスラっとしたその刀身を見せる。

 

(え、こんな武装で雪片受け止めたのかよ……)

 

 一夏は改めてあの試合のことを思い出す。1次移行して一気に押してたのに、普通なら叩き切れていただろう。だが彼女の技量が上だったのかそれすら叶わず、最後はこの武装で止められて結果自爆による敗北。

 

(すげえよな、代表候補生って……)

 

 チラチラと彼女のことを見てることに気付かれたのか、小さく微笑みを返すセシリアにドキッとする一夏。

 そのことを箒が詰まらなさそうに見てるのに気づいておらず、それと同時に千冬が出席簿を振り上げるのにも気づいていなかった。

 

「では次は篠栗の番だ」

 

 沈黙してる一夏を放っておいて、千冬は彼の前に立ち、機龍を見上げる。

 

「さて篠栗だが……」

 

 正直どうするか彼女も悩んでいた。実際機龍の巨体こそが武器であり、すでに腕部レールガン、バックユニットが装備されているからだ。

 

「篠栗、他に展開できるものはあるか?」

 

「もうこの状態がフル装備なんですけど」

 

「何もないのか?」

 

「はい……」

 

「そうか……」

 

 無い袖は振れないのだから、仕方なく打ち切り、その後は千冬と真耶による説明が続く。そしてチャイムが鳴るや、授業は終わるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

『織斑君、クラス代表着任、おめでとー!』

 

 パーン、パーンとあちこちでクラッカーの音が鳴り響く。その当事者である一夏はジュースの入ったコップを片手にただ苦笑いを浮かべている。

 

「あ、あはは……」

 

 現在午後6時半。食堂では主に1年1組の生徒たちが集まり、その中心に椅子に座った一夏がいた。現在全員の手にはジュースの入ったコップが握られており、周りのテーブルにはいろいろな食べ物が置かれている。

 

「じゃあ、織斑君クラス代表を祝って、かんぱーい!」

 

『かんぱーい!』

 

 これを皮切りに、女子たちはいっせいに盛り上がりだす。現在行われているのは“織斑一夏クラス代表決定記念パーティー”で、彼女たちはそれを祝う……のを建前にみんなで騒ぎ楽しんでいた。

 なお当人の一夏も何やかんや楽しんでおり、彼の両隣にいる箒とセシリアが一夏の口にお菓子をドンドン運んでいた。

 

「一夏もモテモテだねぇ」

 

「だね~。でもわーたんも、眉間の皺もう少し無くせばモテると思うよ~?」

 

「んー、そうか?」

 

「そうだよ~。でも~かいちょ~だけに見てもらいたいのかな~?」

 

「くっ、ははっ。そうかもな」

 

 本音からお菓子をもらいながらその姿を眺める航。だが実際彼の元にも女子たちがいろいろ話しかけてくるため、女子テンションに振り回されながらも航も楽しそうにしていた。

 

「はいはーい、新聞部でーす!今話題の男子生徒たちにインタビューにきましたー!」

 

 その時、眼鏡をかけた女子が一夏の元へとやって来た。ネクタイの色からして2年だが、彼女

 

「あ、君が織斑先生の弟の織斑一夏君ね。私は黛薫子。はい、名刺」

 

 そう言って一夏に名刺を渡してきた女子、黛薫子は勢いのまま一夏に対してインタビューを開始する。

 内容はクラス代表になったからその一言や、これからの意気込みなどと言ったものだ。まあ意気込みはともかく、一言の方は何気にねつ造されるらしいから一夏は呆れていた。

 そして次に一夏の隣に居たセシリアの方を向く薫子。

 

「じゃあ次はセシリア・オルコットちゃんだけど、うーん……あ、織斑君の操縦を見てあげてるって聞いたけど今どんな感じかな?」

 

「そうですね……。初心者ゆえにまだまだと言いますが、それでも一歩一歩それをモノにしてきていますわ。ただ私が説明してる時ゲンナリした顔を浮かべるのですが、どうしてなのでしょう?」

 

 少し困り顔で首をかしげるセシリア。一夏はそれを聞いたとき顔を逸らした。それを知ってる箒は苦笑いを浮かべることしかできず、ただ薫子とセシリアは首をかしげていたが、薫子は「なるほど」とつぶやき、他にちょこっと質問をしていく。

 

「オルコットちゃんありがとうね。じゃあ次はえーっと、もう一人の男子こと篠栗君は……いたいた」

 

 薫子は食堂の少し奥の方で本音と一緒にいる航の姿を見つけ、人波を掻き分け彼の元へと進んでいく。そして薫子は先ほどの一夏の時の様に航に名刺を渡し、そして質問してくる。

 そして彼女からの質問をすらすらと答えるだが、5つほど答えたころだろうか、それは唐突にやって来た。

 

「なるほど……。じゃああと、たっちゃんについて聞きたいんだけど……」

 

「たっちゃん?」

 

「うん。更識楯無でたっちゃん。わかりやすいでしょ」

 

「ああ、なるほどな」

 

 そういうあだ名があるのかと感心した航。だが彼女に付いて何を聞きたいのかと思いながらも、お菓子に手を伸ばす。そして薫子がマイクをズイっと航の顔に近づけ、詰め寄って来た。

 

「今たっちゃんと篠栗君が同室って聞いてるけど、彼女とはどういう関係?」

 

「関係、と言われても……幼なじみとしか」

 

「えー、つれないなぁ。ほら、他にもいろいろあるんでしょ?」

 

 グイグイとマイクを押し付けてくる薫子にゲンナリしてるのか、航も困り顔を浮かべている。どうしようと周りを見渡した時だ。薫子の後ろに1人女性が立っていた。更識楯無だ。

 

「楽しそうなことしてるじゃない、薫子ちゃん?」

 

「あ、たっちゃん」

 

「え、生徒会長!?」

 

「うそ、こんなところに!?」

 

 ワーキャーと騒いでる女子たちをしり目に、楯無は航がいるところへと一直線に向かう。本音はそれを見るやそそくさと航の隣から離れ、その場所に楯無は着いた。

 薫子は早速標的を航から楯無に変え、彼女の顔にマイクを向ける。

 

「さてさてたっちゃん。早速聞きたいことがあるんだけど」

 

「私と航の関係?」

 

「そうそう!ホント話が早くて助かるよぉ。で、どうなの?たっちゃんと篠栗君、幼なじみだけなの?教えてちょーだい」

 

 ゴマするかのように楯無に寄る薫子。楯無は扇子を手で遊びながらどうするか考え、チラッと航の方を見る。彼の少し眉間にしわを寄せた顔を見るや、ニコッと笑みを浮かべる楯無。

 

「そうねぇ。航と私は幼なじみなのは合ってるわ。でも、貴女はそれだけではないと思ってるのでしょ?」

 

「さすがたっちゃん、分かってるぅ」

 

 ノリノリの薫子。楯無も楽しくなってきたのか、ちょいちょい焦らしており、周りからの視線が多くなってきたところで扇子を広げて小さく微笑みを浮かべた。

 ついに来るかと全員が身構え、楯無の口が開く。

 

「なら答えてあげるわ。私、航と婚約してるの」

 

 それを聞いたとき、まるで時が止まったかのように食堂が一斉に静かになる。楯無は「あら?」と首を傾げ、航と目を合わせる。彼は小さくため息を吐きながら首を横に振り、楯無はニコッと笑みを浮かべる。

 

「え……婚約……?」

 

「そうよ」

 

「たっちゃんと、篠栗君が……?」

 

「さっきからそういってるじゃない」

 

 プルプルと震えながら確認する薫子だが、この事実が受け止めきれないのか何度も楯無と航の顔を見る。航はため息を吐いて顔に手を当て、対して楯無はしてやったりとちょっとドヤ顔を浮かべ、広げられた扇子に“婚約宣言”という文字を浮かべていた。

 

『え、ぇ……えぇぇええええええ!?』

 

 それはまさに音響兵器と言えるような叫びだった。女子たちが一斉に声を上げたため、男2人は耳がやられたのではないかと顔をしかめている。

 

「え、ホントに婚約してるの!?」

 

「現日本国家代表と世界に2人しかいない男子搭乗者の片割れ、もう図になるじゃない!」

 

「たっちゃん!もっとその情報を詳しく!」

 

 さっきの和気あいあいな状態とは全く違う、完全に阿鼻叫喚な状態と化した食堂。航は完全に呆れた顔で楯無の方を見る。

 

「楯無ー……」

 

「あはっ。だって航を取られたくないんだもん。だから、ね?」

 

「ねっ?じゃなくてだなぁ……これどうすんだよ」

 

 ただ航は食堂の光景を見てため息を吐くことしかできなかった。

 なおこれは一夏たちにも聞こえており、その大胆な告白に一夏はとてもびっくりしていた。

 

「箒!航、アイツ結婚するのか!?」

 

「う、うむ……そうだな」

 

 自分と違って妙に冷静な箒。さすがに違和感を感じたのか、一夏はとりあえずいったん落ち着いて彼女の隣に改めて座る。

 

「あれ、箒?なんかえらい冷静だな」

 

「実は……前にあの2人が道場で手合わせしてた時があっただろう。その時に教えられて……」

 

 知ってたことを隠してたことに罪悪感を感じたのか、箒は一夏から目を逸らす。なお一夏は箒に対して何も思っておらず、ただ航のことで頭がいっぱいだった。

 

「それにしても航、日輪のことはやっぱり立ち直ったのかなぁ。まあ、そうなんだろ」

 

「日輪?……あぁ、彼女か。そういえばあんなに航のこと好き好き言ってたのに、ここにいないのも不思議だな」

 

「あー……それなんだけど実はな───」

 

「うるさいぞ!少し黙れ!」

 

 その時だ。

 さすがに50を超える生徒が騒げばうるさくなり、そこに怒った顔の織斑千冬がやって来た。

 

 

 

 

 

 あれから千冬の説教が行われるも再びパーティは行われ、22時前にはもう全員解散し、航たちもすでに自室に戻っていた。

 

「あー、流石に疲れた。刀奈、あまりあんなこと言うなよ」

 

「えへへ、ごめんね。でも私、航が他の人に盗られるの嫌だし、色目飛ばされるのも嫌なの」

 

 刀奈が航に向かい合う形でまたがり、そのまま体を預けるように押し付けてくる。ただバランスが悪かったのかそのまま倒れ込み、「きゃん」と刀奈の小さな悲鳴が響く。

 

「ねえ、航……」

 

「何だ」

 

「私、重い?」

 

「別に。これぐらいが丁度いい」

 

 それを聞くや、彼の胸元に顔を埋める刀奈。航は何も言わず、彼女の頭に手を置き、優しく撫でる。

 

「んっ……」

 

 心地よさそうな声を漏らし、へにゃりとした笑みを浮かべる刀奈。

 

「航……私がずっとそばにいるからね……」

 

 航に聞こえない声でつぶやく刀奈。ただその目は、光が宿っていなかった。




リメイクするって、難しいですね……。

ではまた次回お会いしましょう。
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