IS~人と怪獣の境界線~   作:妖刀

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どうも、最近バニー楯無さんのフィギュアをネットで購入し、家に来るのを今か今かと待ってる妖刀です。(新品未開封を定価で買えた)

途中書く気無くしたら戻したりの繰り返しで、何とか形になったので投稿します。
さてさて今回のお話はあのツインテール娘が……では本編どうぞ


セカンド幼なじみ

 それはパーティが終わって間もないころだった。

 

「えーっと、ここをこう行って、次にこう……ったく、この総合案内所ってどこなのよ!」

 

 1人の少女が夜の学園で叫ぶ。なんでこんな時間、こんなところに私服の女子がいるかは不明だが、彼女は手に持ったメモ用紙とにらめっこしながら周りを見渡す。

 そしてやみくもにあちこちを歩きまわってた時、何やら談笑してる生徒たちがいるため場所を聞こうとしたが、その中に1人の男子がおり、それを見た彼女は足が止まる。

 

(うそ、一夏……)

 

 男子、一夏を見た女子の顔はまさに恋する乙女のようなもので、顔をプルプル振って笑顔を浮かべた彼女は彼に声かけようと近づく。

 

「ねえ、一k───」

 

「一夏!明日は剣道の練習をするぞ!」

 

「まあ箒さん。明日はわたくしのISの講義でなくて?そう約束したはずですわよ」

 

「う、ぐぅ……!」

 

「ですがわたくしも鬼ではありませんわ。貴女も一緒に来れば、ねぇ?」

 

 そこに現れたポニーテールの女子と金髪の女子。それを見た少女は一瞬で固まり、彼らがどこかに行くのをそのまま見送る。

 その後、少女は無事総合案内所を見つけ、そのまま手続きを行っていたが……。

 

「はい、これで手続きは終わりですよ、凰鈴音さん」

 

 そう呼ばれた少女、凰鈴音はお礼を言い、ニコッと笑みを浮かべる。ただその目には光がなかった。

 

 

 

 

 

 

 どうしてこんなところに自分はいるのか航は分からなかった。ただ何もない和室。そこに彼はいたが、そんな彼の前に1人の女の子が座る。

 航は彼女を知っていた。烏の濡れ羽色のような黒くて長い髪。整った容姿に、そしてルビーの様な赤い瞳がジッと航を見つめていた。

 

「ねえ、航。私と刀奈、どっちが好き?」

 

「え?どうしたのいきなり」

 

「ねえ、どっちなの?」

 

「ん~どっちも好きだし……」

 

「へえ、そうなんだー。なら航……」

 

 彼女は微笑みを浮かべる。

 

 ──好きならなんで私をたすけてくれなかッタノ?──

 

 ゾッとするような寒気。そして彼女は手を伸ばし、そのまま航の首を絞める。先ほどの綺麗な肌は青白く変色しており、濁った赤い瞳が狂気を感じさせる

 航は必死に振りほどこうとするも、その力はとても強く引き剥がすことができない。

 

 ──航、ねえ、死んで。シンでワタシのところにキテ──

 

「う、ぁ……あぁああああああ!!!!!!!」

 

 そして航の首の折れる音が響いた。

 

 

 

 

 

 汗で身体がべとつく中、航は目を覚ました。現在時刻は朝5時で、窓からは眩しい朝日がカーテンの隙間から覗きこんでいる。

 

「……っ!」

 

 急いで鏡で首元を見るが、特に痕などもなく、ただの夢と分かった航だが、気分が悪くなったのかそのまま脱衣所の方で顔を洗いに向かった。

 

「ん……どうしたの?」

 

 そして再びベッドに戻った時、寝惚け眼をこすりながら起きた刀奈が小さく欠伸をしながら航の方を見ていた。どうやら先ほどので起こしてしまったらしい。なぜ一緒のベッドにいたかは今更だからスルーしつつ、航は苦笑を浮かべた。

 

「……いや、何でもない。ただ悪い夢を見ただけだ」

 

「そ~。ならまた寝ましょ~?ほら~私が抱っこしてあげるよ~」

 

 両手を広げて誘う刀奈。戻ればそこには楽園が待っているのだろうが、時計を見るやいつもの朝練に出る時間だったため、航はそれを断る。

 そのため刀奈が頬を膨らませてそのまま不貞寝してしまうが、航は彼女の頭を優しく撫でるや道着に手を伸ばし、そのまま日課の朝練のため自室を後にするのであった。

 

 

 

 

 

「ねえねえ聞いた?2組に転入生来たんだって」

 

「え、ホント~?」

 

「うんホントホント。それでさ、その子中国の代表候補生なんだって」

 

「うっそ~!?」

 

「ほんとー!」

 

 この日、1組の女子たちの話題は2組のことでもちきりだった。それはむろん一夏の元にも届いており、一夏はそれを聞くや

 

「転校生かー。どんなのかなー」

 

「あら、一夏さん。今はそういうのを気にする暇はあると思いまして?」

 

「そうだぞ一夏。もうそろそろクラス代表戦が待ってるのだぞ!」

 

 そう詰められるが、彼だってそのことは分かっていた。だから今日までISではセシリアにいろいろ教えられ、箒からは剣道場で毎度の様に竹刀を握っていた。

 だから問題ない、とは言えないが彼もそうそう負ける気はなかった。

 その時教室の前の扉が開き、そこから航が欠伸しながら中に入って来る。

 

「お、航おはよ」

 

「ああ、おはよ。ん、くぁぁ……」

 

「おいおい、欠伸とか夜更かしでもしたのか?」

 

「んーそうだな……悪い夢を見た。ただそれだけだ」

 

「悪い夢?」

 

 どういうのか聞こうとした一夏だったが、それより箒たちが一夏をまくしたてるためタイミングを逃してしまう。

 

「何かえらい騒いでるけどどうしたんだ?」

 

「航、貴様も言ってやれ。もうそろそろクラス代表戦なのだぞ」

 

 箒からその名を聞いたとき、航は納得したかのように何度もうなずく。

 

「おー、そうか。それなら一夏ガンバ」

 

「おう、任せとけ!」

 

「そういえば優勝したチームはデザートフリーパスと訓練機の貸し出し優先権が手に入るってさ」

 

 それを聞いたとき、女子たちの目の色が変わった。そして箒とセシリアが一夏の肩をガシッと掴む。

 

「一夏、優勝するぞ!」

 

「一夏さん!絶対優勝いたしましょう!」

 

「お、おう……頑張るさ!もちろん頑張るさ!」

 

 最初2人の迫力に気圧される一夏だったが、グッと拳を握り立ち上がるや、その決意を表明した。それを聞いたクラスの子たちが一斉に一夏の方を向くが、一斉に拍手が巻き起こりそれと同時に応援の声が送られた。

 

「それでこそ一夏だ!」

 

「ではわたくしたちはどうすれば一夏さんが勝てるようになるか考えますので」

 

 むろん箒とセシリアも一緒で、むしろ彼を勝たせるためにいろいろ策を練り始める。それに周りの女子も数人交わりはじめ、気づけばそれぞれが意見交換しあう場となっていた。

 

「そういえば専用機持ちのクラス代表って1組以外誰がいるの?」

 

「えーっと1組と4組だけど、4組の子専用機持ちが完成してないとか聞いたよ」

 

「え、それなら楽勝じゃない?」

 

 一夏以外の専用機持ちがいない、それならチャンスあると全員が思った時だ。

 

「その情報、古いわよ」

 

 声がした。いったい誰なのかと全員が声のしたドアの方を向くと、そこには髪をツインテールにした1人の女子が腕組みをして立っていた。

 

「お、お前、鈴、か……?」

 

 鈴と呼ばれた少女、凰鈴音は一夏を見るや、そのまま彼の前に立ち、ビシッと指をさす。

 

「ふふん。この私、2組代表の凰鈴音が宣戦布告に来たのよ。どう、驚いた?」

 

 ドヤ顔で胸を張る鈴。だが一夏は最初は驚いていたものの、軽く呆れた顔で鈴を見て小さくため息を吐いた。

 

「お前なぁ……そう威張っても怖くないぞ?」

 

「な、何言うのよアンタはー!」

 

 キーっ!と怒り、一夏の机を叩く鈴。だが一夏は笑顔を浮かべたまま鈴の頭をなでたため、顔を真っ赤にしながら一瞬で落ち着く鈴。それを見た箒は驚きの顔を浮かべており、セシリアも「ほぉ」と感心した顔で一夏を見ている。

 そして落ち着いたころ、鈴は一夏の隣の席にいる航に気付いた。だがいつの間にか航は仮眠してるのか、腕を組んでうつむいたまま寝息を立てており、鈴はニヤニヤとしながらそんな彼の肩を思いっきり揺さぶる。

 

「んぉ……!?」

 

「航!あんた元気にしてた!?」

 

 無理矢理揺さぶられたことで航が目を開き、濁った眼でじろりと鈴を睨みつけるが、そのツインテールを見たとき、彼の瞳が揺れた。

 

「ひの……いや、鈴か……鈴?」

 

 鈴がいることに驚いたのか、完全に目を覚まして鈴の方を見る航。鈴は先ほど睨みつけられたことで少しびくついていたが、彼女の知ってる航になったのを確認したのか、安堵の息を吐く。

 

「ホント久しぶりね。てかアンタ、誰かと間違えなかった?」

 

「いや、気のせいだ……」

 

 曖昧な返事の航にジト目で返す鈴。だがこの時、教室の扉が開き、そこから入って来た人物を一夏が見たとき、少し顔を青くし、さっさと席に着く。

 そしてソレは気づいてない鈴の元へ近づき、手に持っていたモノを振り下ろした。

 

「いったぁ!いったい何なの、よ……。ち、千冬さん……」

 

 頭に強い衝撃が走ったため怒っていた鈴だが、千冬の姿を見るや冷や汗がブワッと噴き出す。そんな鈴を見ながら、再び千冬はその出席簿を上げて行く。

 

「織斑先生だ。さっさと2組に戻れ」

 

「は、はいぃぃぃ!一夏、また昼休みね!」

 

 そのまま脱兎のごとく2組へ逃げる鈴。ぽかんとしてた一同だったが、この時箒が一夏に詰め寄り、あの女は誰だと問いただす。だがしかし、箒の脳天に出席簿が叩き込まれるまで、そこまで時間はかからなかった。

 

 

 

 

 

 あれから昼休み。各生徒は食堂に向かったりといろいろ行動をする時間だ。そのため一夏も食堂に向かおうとしたが、この時怒ってる箒に詰め寄られていた。

 

「一夏のせいだぞ!」

 

「いやなんでだよ」

 

「そうですわ箒さん。あれは貴方の不注意が原因かと」

 

 セシリアからの援護射撃に何も言い返せない箒。

 あの授業後、箒はさっき現れた鈴のことばかり考えていたため、授業が耳に入って無かったのもあって千冬に何度も頭を叩かれたのだ。それで一夏に対して怒っているが、当の一夏は何で怒られてるのか全く知らないため、教室を出ようとしてる航に声をを駆けた。

 

「そういえば航、一緒に食堂来ないか?」

 

「んー、いいけど」

 

 その後食堂に向かう御一行。そして食堂に着いたとき、そこにラーメンが乗った盆を持った鈴が仁王立ちで立っていた。

 

「おーい鈴、そこ邪魔になってるぞ」

 

「一夏が遅いのがいけないのよ!」

 

 とんだ理不尽に苦笑いを浮かべる一夏。そして鈴に席を取らせに行った間に一夏たちは昼食をもらって、鈴のいる席に着く。

 

「それにしてもホント久しぶりだな鈴。元気にしてたか?」

 

「もちろんよ。それにしても一夏も元気そうでよかったわ。というか元気すぎるっぽいからたまには怪我ぐらいしなさいよ」

 

「おいおい、なんだよそれ」

 

 鈴の冗談を笑い飛ばす一夏。

 

「いやー、それにしてもホント鈴とは1年ぶりだな。中国行ったから不安だったけどこうやって見るとホント元気でよかったわ」

 

「そ、そこまで心配されてたなんて照れるわね……」

 

 そのまま2人で談笑が始まるが、それがつまらない箒はさっさと昼食を食べるやバンッとテーブルを叩いて立ち上がった。

 

「一夏!彼女は一夏の何なのだ!?」 

 

「え、私はい、一夏の……」

 

「鈴?鈴は幼なじみだぞ」

 

「え、幼なじみ……?」

 

 ポカンとする箒と少しふてくされてる鈴。

 

「おう。箒が引っ越した後に転入してきた子でな、箒がファースト幼なじみなら鈴はセカンド幼なじみってところだな」

 

 そんな一夏の説明に呆れる面々だが、鈴はそんな箒に興味を持つ。

 

「ふぅん、てことはアンタが言ってた篠ノ之箒ね。私、凰鈴音よ。よろしく」

 

「篠ノ之箒だ。箒でかまわん。よろしく頼むぞ」

 

「なら私も鈴でいいわ」

 

 そのまま握手をする2人。だが後ろでナニカが爆発した気がするのは気のせいだろうか。

 

「ふふ、このセシリア・オルコットを忘れないでほしいですわ」 

 

「え、誰」

 

「なっ……!?わたくし、セシリア・オルコットを知らないですって……!?」

 

 強くショックを受けるセシリア。それで完全に落ち込んでいたが、そんなの気にしてない鈴はそのまま航の方を向いた。

 

「というか改めて久しぶりね航。元気にしてた?」

 

「んー……まあしてた、と思う」

 

「何よー2年ぶりの再会なのにその返事」

 

「そう言われてもなぁ……」

 

 頬をポリポリと掻く航だが、不意になんで“今になって”鈴が編入してきたのか気になった。彼の記憶では鈴は日本にいたはずだが……。

 

「なあ鈴、お前何で入学遅れて来たんだ?そして中国の代表候補生?日本にいて?」

 

「え、私中国にいたからなんだけど」

 

「え?」

 

「え?」

 

 航はいったい何のことか全くわからず、ただ首をかしげている。航はまだこっちにいた頃、鈴が日本にいたのは覚えている。そのためかみ合わない会話にただ疑問を感じた。

 

「あー、そうか。航は知らんかったな。航がいなくなって1年後に鈴は中国に引っ越したんだ。だから俺は鈴と1年ぶりで、航とは2年ぶりになるんだよ」

 

 一夏の説明に納得いったのか、なるほどと頷く航。

 

「へー中国に……鈴も大変だっただろ。一夏と離れ離れになるんだから」

 

「えぇ、もちろんよ……。でもこうやってまた会えてすごい嬉しいわ」

 

 ニコッと笑みを浮かべる鈴。

 

「そういえば一夏、クラス代表なんだって?」

 

「あ、あぁ。いろいろあって代表になったんだ」

 

「ふーん……」

 

 スープを飲みながら答える鈴。だがこの時、彼女の口角が上がり、何か思いついたかのような表情になる。

 

「ねえ、一夏ってまだIS乗って間もないんだよね?それなら私がISの見てあげようか?」

 

「お、本当か?そりゃ助か──」

 

 彼女も一夏との時間が欲しいのだろう。その欲と善意を交えて行ったのは良いがこの時、箒がダンッ!とテーブルを叩き立ち上がり、ギッと鈴を睨みつける。

 

「それは間に合っている!なんせ私とセシリアが一夏のを見てるのだからな」

 

「そうですわ。それに今度のクラス対抗戦の対戦相手に手を見せたくないので、下がってくださいます?」

 

「なによ、今は私が一夏と話してるの。下がってなさいよ」

 

 箒の妨害とセシリアの援護。それに気を悪くした鈴が彼女たちを睨みつける。

 先ほどの和やかな雰囲気から一転、明らかに殺気立てる3人に挟まれてる一夏はオロオロとしており、航はそれを尻目に昼食を取っていた。だが鈴はため息を吐いた後、グルンと航の方を向くや笑顔を浮かべて彼に詰め寄る。

 

「それなら航、私が見てあげようか」

 

「んー……それは嬉しいけどさ、俺、もう見てくれる人いるし」

 

「え、そうなの?どういう人?」

 

「現役日本国家代表」

 

「え゛っ……そ、そう。そんな人が見てくれるならその期待に応えれる様に頑張りなさいよ」

 

 鈴はひきつった笑みを浮かべながら、これは完全に無理だと諦める。

 

「ほれみろ。今は貴様は下がっておくのだな」

 

「ぐぬぬぬ……!」

 

 勝ち誇った顔の箒と悔しがる鈴。セシリアは軽くため息を吐くや一夏と放課後の練習内容について話し合う。

 

「何よ一組だからって!私は一夏に───」

 

「ごちそうさま」

 

 その時パンっと手を合わせ、一番最初に航は食べ終わった。そしてそのまま盆を返そうと立ち上がる。

 お互い睨みあっていた箒と鈴だが、いきなりの手を合わせる音にびっくりして完全に航の方を向いており、一夏もぽかんと彼を見ていたがそれを引き止めようと立ち上がる。

 

「おいおい、まだここにいればいいじゃん」

 

「すまんが用があるからな。お前らとの食事まあ楽しかったぞ。それに、ウマに蹴られてまだ死にたくないし」

 

「え?」

 

 航はケラケラ笑いながらこの場を後にする。一夏は意味が分からないと首をかしげているが、箒と鈴は内心航に向けてグッジョブと親指立てていた。

 そして航が盆を返すとき何人か生徒たちとすれ違うが、彼女たちは彼を見るや一瞬びくりと体を震わせて道を開ける。この時彼は気づいてるのか気づいてないのか分からないが、ただ無表情を浮かべていた。




なおここまで投稿遅れた理由ですが、途中シリアスな感じにしようかな思ってたら変に詰まってしまい、結果シリアスを結構抜いたらすらすら書けてしまいました。ええ、無駄なことなんてするもんじゃないと改めて思いました。



では次回をお楽しみに
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