IS~人と怪獣の境界線~   作:妖刀

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どうも、楯無さんの私服はダサい言われて寝込んだ妖刀です。ダサかろうとそれすら含めて彼女が大好きという結論にたどり着いたので、さっさと書きあげて今回の最新話を投稿します。ではどうぞ!



ぶっちゃけ彼女の私服がダサく見えないのって、自分がある意味彼女と私服センスが似てるんだろうな、って思ってしまったのは秘密だったり。


怪獣学 3

 それから午後、航は次の授業の準備をしていた。その隣で一夏が鼻歌歌いながら準備をしており、嬉々としながら航に話しかけて来た。

 

「航、次怪獣学だってよ。楽しみだな」

 

「ああ、そうだな……てかお前、そんなに楽しみだったのか?」

 

「もちろんさ!てか航、これお前が原因だということ忘れてないか?」

 

「……忘れた」

 

「おいっ」

 

 一夏のツッコミが入るが、航は目を逸らした。実際お互いが小学生の頃、航が一夏に“知り合い”から貰った怪獣の情報がたくさん詰まった図鑑を見せ、それで気づけば一夏もその魅力に引きずり込まれて行ってたのだ。なおこれで当時、箒は2人に軽くドン引きし、鈴は呆れ果てていたという。

 そしてチャイムが鳴ると騒いでいた生徒たちも一斉に静かになり、それと同時に扉が開き、そこから怪獣学担当である家城燈が入って来た。

 

「はーい、今日も怪獣学やりますよー」

 

 そのまま教卓に着くやそのままさっさと操作パネルを操作し始める燈。

 そして彼女が操作して複数の画像を展開すると、そこに写っていたのは極彩色の翼をもつ、巨大な怪獣の姿だった。

 

「綺麗……ってあれ、これって最初の怪獣学で写真に載ってた怪獣じゃ?」

 

「あら、ちゃんと覚えていてくれたのですね。では今日の怪獣はモスラを行おうと思います」

 

 覚えてくれてたのが嬉しいのか、小さく笑みを浮かべる燈。実際怪獣学はとても不人気であり、毎年生徒たちの成績は、この教科だけ赤点は取らなくても良くないって状況だ。実際怪獣学では赤点とっても補習とか無く、進学に関係はないが、のちの就職で国防系に入るのは100%不可になる。

 まあ今年はちゃんとしてる生徒がそこそこおり、その中に男子2人も含まれるから燈の機嫌が良くなるのは目に見えてよくわかる。

 

「では改めて、この怪獣の名前はモスラ。別名巨大蛾怪獣、巨蛾と呼ばれ1961年と2004年に東京に現れた怪獣です。基本的にはこちらから何もしなければ決して攻撃してこないと言われ、人類には比較的友好的な怪獣でもあります」

 

「蛾……?」

 

「名前も英語で蛾を意味するmothが使われており、ラはゴジラのラを足したと言われてます。まあ見た目は蝶に見えるけど、そこら辺間違えないようにしてくださいね」

 

 怪訝な顔をしてる生徒たちに説明するが、実際蛾と言われていい顔する子はあまりいないだろう。だがそれを気にしない燈はそのまま世界地図を展開し、赤道近くに赤い点を出し、そこを拡大していく。

 

「モスラは基本的には南太平洋のミクロネシア・カロリン諸島のインファント島という島に生息しており、そこで守護神と崇められております。そして現在も稀に島の外で飛行してる姿が撮影されます。ちなみにインファント島ですが、今は立ち入り禁止になってる島で、近くにあるレッチ島と呼ばれる島から見ることができるんですけど……正直ここもここで別の怪獣がいるんだけどそれはまた別のお話にでも。そしてレッチ島はぜったい船で行っちゃだめですよ。海にいる怪獣に食べられて死にますから」

 

 死ぬと聞いたとき、教室の温度が下がった気がした。先ほどの赤い点がある島の隣、そこにある人周り小さな島にマークが打たれる。

 

「あの……死ぬって……」

 

「これニュースになってないんだけど言ってもいいのかな……。まあ要点をまとめると、ある国の軍艦がその島に近づいた際、その怪獣によって艦が沈められていてですね。搭乗員全員死亡もしくは行方不明。ただその時の最期の通信に“巨大な鋏が”という言葉が遺され、後に上空からの調査で分かったのがレッチ島近辺に巨大なエビの怪獣がいるということで、それの回遊圏がインファント島も含まれているという事実がもたらされています」

 

「あの先生、その怪獣の画像ってあるんですか?」

 

「ええ、ありますよ。そうですね……それなら次回にでも行いましょうか。当分は今現存してる怪獣で行う予定なので。さて話が少しそれたけど、モスラは1961年と2004年に2度日本に現れ、片や東京をめちゃくちゃにし、片や日本を守るために戦いました。ではまず昭和の方から……」

 

 そしてパネルを操作してまた違う画像を出す燈。そこに現れたのは巨大なチョココルネに見える画像に、折れた東京タワーにさらに大きな白いピーナッツみたいなのが張り付いた画像、そして巨大な羽を生やしたモスラの姿などが出される。

 

「1961年版モスラ。幼虫の体長は最初40メートルと言われてますが、日本での観測時は最大180メートル。体重は大きさが変わるからそこまでわかってないけど恐らく2万トンは優になると思います」

 

「え、とても大きくないですか……!?」

 

 あまりの大きさに何も言えなくなる女子達。180メートルという大きさはあまりにも大きく、想像がしにくいだろう。

 

「実感の湧かない人は今度アリーナで縦横どっちでもいいから180m計ってみて下さい。そしたら大体わかると思いますので。さてモスラですが1961年、現在のロシア……旧ソビエト連邦北部にあった国、ロリシカ共和国の領地であったインファント島にて当時日本人とロリシカ人が合同調査に向かった際、そこで小美人、妖精を発見します」

 

「妖精!?」

 

 その言葉に西洋系女子達が反応する。まあ、向こうは妖精の伝説とかいろいろあるからそれに反応したのだろう。セシリアもその中の一人だ。

 

「はい。ですがその小美人をロリシカ人であるクラーク・ネルソンが見世物にするために拉致、そして最初に日本の東京で早速独自のショーを行ったのです。ただ、それがいけませんでした……。ちなみにクラーク・ネルソン、彼は悪い意味で世界史の教科書にも乗ってる人ですので、今度暇があったら見てみてください。なんせ彼のせいで日本とロリシカ共和国は大惨事な目に遭うんですからね」

 

 一瞬黒い笑みを浮かべる燈。いったい何をやらかしたのか最初分からなかったが、今の授業がモスラであることを思い出すと、何人か顔が青くなり始める。

 

「この時、小美人は歌を歌っていたと言われていますが、その時にモスラにテレパシーか何かを送っていたらしく、それによってモスラがインファント島から小美人がいる東京へ向かい始めます。その道中軍などが足止めを行いますが、モスラはどんな攻撃も関係なしに突き進み、結果東京への侵入を許してしまいます」

 

 その写真が出されるが、どれも悲惨なものだ。通った後は文字通り均されており、前に見たゴジラが暴れたときの様にとてもひどいありさまになっていた。そして周りの建物とその後ろに移るモスラの大きさの差がすごく、目の錯覚かと思うほどの迫力がある。

 

「その後モスラは自衛隊の攻撃もものともせず、目の前にあるものをすべて破壊しながら進軍。そして東京タワーに着いた際、そのままよじ登り、東京タワーをそのまま真っ二つに折ってしまいます。ちなみに怪獣が東京タワーを壊したのがこれが初ですね。その後2004年にゴジラが破壊したため、現在の東京タワーは3代目になります。その後モスラはこの東京タワーで繭を作り始めます」

 

 そこに出てきた画像には、折れた東京タワーに巨大な繭を作り出したモスラの姿があった。改めてみると明らかに異様なほどの大きさの繭に生徒たちは現実を受け止められないのか混乱してる様子。ただこの中でまともな顔で受けてるのは男子二人と一部の女子たちぐらいだ。

 

「そしてネルソンの行いでこのような事態になったロリシカ共和国は責任を感じ、日本に当時最新鋭の原子熱線砲……いわゆるメーサー殺獣車のご先祖を向かわせ、そのままモスラの繭を焼きます。それによってモスラを焼却したかと思われてましたが……この時の熱により進化が早まり、それによって繭からモスラ成虫が出てきました」

 

 そして燈が画面を操作すると、先ほどの繭から出てきてるモスラ成虫の画僧が写る。翼を広げたその姿だが、東京タワーと比較しても明らかに大きく、巨蛾の名に恥じぬ巨大な姿が映し出されていた。

 

「モスラ成虫。体長80メートル、翼長250メートル。体重は約1万トンとされ、体長はともかく翼長250メートルは今まで現れた怪獣の中で一番大きく、それを超える怪獣は未だに現れてません」

 

「250メートル……!?」

 

「え、でかくない!?」

 

「うそ……!?」

 

 誰もが驚きを隠せず絶句している。先ほどの幼虫でもとても大きいのに、それをさらに超える大きさなのだ。なお比較対象に東京都庁が出されるが、モスラの翼長はそれすらも超える大きさのため余計に訳が分からない。

 

「モスラの飛行速度はマッハ2ほどでその羽ばたく力はとても強く、1度羽を動かせば木を薙ぎ払い、車をひっくり返し、人間も木の葉のように空を舞うほどと言われています。その後モスラは繭から飛翔し、そのままロリシカ共和国に侵入。首都ニューカークの上空から小美人を探し続けたため、その羽からの暴風により街は壊滅状態に。ただそのおかげで小美人たちは無事ネルソンの元から逃げ出し、彼女たちを助けに来た日本人調査隊の人達に保護されます。その後、小美人からの教えにより、ロリシカ共和国の空港にモスラの紋章を描くことでモスラが気づき、その後小美人が返されたことによりモスラはインファント島へと戻り、この事件は終息を告げます。ちなみにこの紋章は当時撮られたものを借りさせてもらいました」

 

 そして燈が映したのは空港に描かれた大きな紋章だった。そして次に映し出されたのは、そこを中心にモスラが居座る姿。先ほどまで暴れた姿と異なり、とても大人しそうな様子に何か愛嬌も感じられる。

 

「そういえばネルソンはどうなったのですか?」

 

「彼はこの事件が収束する前に亡くなっており、その理由がモスラがニューカークで暴れたからとも、彼が原因でモスラが来たことに怒った市民たちに殺されたとも言われていますが、そこら辺ははっきりしていません。なお事件は終息しましたがその後、ロリシカ共和国はこのモスラの一件により社会的地位も大きく落ち、首都壊滅という甚大な被害により回復が出来ない状況とりなり、そこに日本からの損害賠償の請求が重なったため、1963年にソビエト連邦に吸収されてしまいました」

 

 1人が起こしたこととはいえ、ここまで大惨事を起こしたのだ。そのため国が消えても仕方ない。怪獣は1体だけでそれを起こせるだけの力があるのだ。これで授業最初の舐めてた態度がそこそこ鳴りを潜め、前よりノートを開いて真剣に聞く子が増えていた。

 

「先生。ここまでしたのにその後モスラを殺せというのはなかったのですか?」

 

 1人の生徒が質問する。だがこれは誰もが思ったことであり、だいたいの生徒がそれに同意するかのようにうなずく。

 

「たしかにあったのでしょう。ですが、元々これの原因は人間が起こしたことであり、モスラはただ拉致された島の者を取り返しに来ただけにしかすぎません」

 

「ですけど……」

 

「モスラにとっては善も悪もなく、ただ自分にとって大切な小美人を取り返すために行動してるだけです。そうですね……皆さん、自分の中に大切な人を思い浮かべてください。もしその人が連れ去られた時どうしますか?その時……そうですね、言ったらアレですが自分の手元に力、ISがあれば……と」

 

 その時、誰もがそのISを使ってその人を取り戻しに行くと考える。実際そうだ。条約とか関係ない、大切な人を守るためならきっと自分も使うだろう。誰もがそう思っていた。

 一夏は不意に自分の過去を思い出し、一瞬苦い顔をする。だがそれでなんとなく、一夏はモスラの気持ちが分かった気がした。ああ、だから千冬姉は……と。

 この時、一夏は何か感じたのか不意に左隣を向く。そこには航がいるが、彼はうつむいたままギチ……と歯を食いしばっていた。まるで悔しそうな、悲しそうな顔をしており、一夏はなんでそんな顔をしてるのか察してしまう。

 

「……篠栗君、どうしましたか?」

 

 完全に俯いてた彼だが、燈から見ても明らかに1人だけ異様な雰囲気がその時出てたのだ。

 

「……あ、いや、なんでも……ありません……」

 

 パッと顔を上げて返事する航だが、明らかに元気がない。隣に居る一夏も心配そうに見ており、周りも何があったのかと怪訝な表情で航を見つめる。

 燈もどうしようか悩んだとき、不意に時計を見るや、小さくため息を吐いて手を叩いてこちらに注目を集める。

 

「んー、ちょっと長引いてしまいましたね。では次回は2004年に現れた個体と、その子供たち。そして時間があればレッチ島近海の怪獣に着いても触れて行きましょうか」

 

 そして丁度良くチャイムが鳴り、そのまま号令ともに燈は教室を後にする。生徒たちは5分程度の休憩時間に次の授業の準備や他の生徒たちと話し合ったりしている中、一夏は一人黄昏てる航に声をかけた。

 

「なあ、航」

 

「ん、何だ……」

 

「航は……いや、何でもない」

 

 目を伏せる一夏。航はそれを見るや、ため息を吐き視線を窓の外の青空に向ける。

 

「なあ一夏。俺、ISがあれば大切な人を守ることできるかな……」

 

「航……」

 

 それは今航が持ってる願い。ただ一夏には彼が少し危うく見えた。

 なぜなら第2回モンド・グロッソの後の自分の姿に重なって見えたのだから……。




というわけで今回の怪獣学はモスラ(初代)でした。実際最初はリメイク前と同じ順番で考えたけど、最近モスラ見たのと、某氏の動画(わかっても名前は伏せておいてください)を見て、「そうだ、モスラにしよう」ということになりました。なお次回は普通のお話ですが、次の怪獣学はモスラ(東京SOS版)+α(余裕があれば)となっております。

では次回をお楽しみに
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