IS~人と怪獣の境界線~   作:妖刀

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本当にお久しぶりです。
7か月振りの更新となります。クリスマスプレゼントになるかどうかは分かりませんが、では本編どうぞ。


襲来 下

 いきなりの攻撃だった。誰もが呆気に取られており、そのせいで反応に遅れてしまう。果たして最初に声を上げたのは誰だったか。それに反応し、ようやく全員が回避行動をとり始めるが、ミサイルの雨はいっせいに起爆し、アリーナがその衝撃に晒された。

 その爆発力は凄まじく、轟音が鳴り響き、アリーナを大きく揺らす。それによりいくつかシステムがダウンしてしまい、観客席を守るバリアが完全に機能停止する。

 その中一番早くに爆炎から抜け出したのは一夏で、彼は抱きかかえていた鈴の状態を確認する。どうやら軽い火傷で済んでると思われるが、それでも爆発の衝撃のせいか、意識が朦朧としている。

 

「鈴、大丈夫か!?」

 

「う、うん……一夏が守ってくれた、から……」

 

「俺が絶対守ってやるからな。だから安心しろよ」

 

「うん、一夏……」

 

 小さく笑みを浮かべる鈴。一夏はそれを見て安堵の息を吐くや先ほどの攻撃してきた機体に対して睨みつけた。

 

「くそ、何だよあの機龍モドキは。いきなり俺たちを狙ってきやがって……!」

 

 明らかに狙われてると分かった一夏は、鈴を逃がすためにピットへの通り道に立ちふさがる機龍モドキを睨みつけ、左手に鈴を抱いたまま雪片を抜く。

 だがその時、ラファール・リヴァイブに乗った教員たちが一夏の前に立った。

 

「織斑君は行ってください!私たちが援護します!」

 

「先生……ありがとうございます」

 

 そして一夏の盾になるように教員2人が機龍モドキに攻撃を仕掛け、意識がそちらに向いている間に一夏はその横を抜けようとした。そう、したのだ。

 

「……っ!?」

 

 それは一瞬だった。機龍モドキとこちらは距離が空いており、一夏はこれだけの距離があれば白式の機動力さえあればどうにかなると思っていた。だがしかし、機龍モドキは重鈍な見た目に反し、一瞬で距離を詰めてきたのだ。それどころか一夏を逃がすために壁になっていた教員2人も巻き込み、そのまま一夏から逸れてアリーナの壁に激突する。

 

「あ……ぁ……」

 

 その威力と衝撃は凄まじく、一瞬で戦闘不能なり、ズルリと地面に落ちる教員。そしてゆっくりと一夏の方を向いた機龍モドキは、小さく鳴き声を上げて一夏をじっと見つめる。

 そして両腕を上げて一夏に照準を向ける。

 

「早く逃げなさい!」

 

 それは残っていた教員の射撃だった。カンカンと跳弾する音が響く中、一夏は我に返り、足が動くのを確認するや急いでピットの方へと向けて逃げ出した。

 それを狙おうとする機龍モドキ。だが教員は即座にバズーカを展開。そのまま引き金を引き、弾はそのまま機龍モドキに向かう。

 

「こっちを見なさい!」

 

 それに反応した機龍モドキは教員めがけてミサイルを多数放つ。だがそれを躱しながら教員は近接ブレードを展開し、蛇腹状となってる関節部めがけて突き立てようとした。しかし機龍モドキは首を高速回転させ始め、そこを中心に円筒形のバリアを張るや近接ブレードの切っ先はバリアと当たって火花を上げる。

 

「なによ、それ……!」

 

 刃が通らない。それに焦った教員だったが、隙を見せてしまったため機龍モドキはそのまま近接ブレードを掴み、空いてる手からミサイルを放つ。その爆発に飲み込まれた教員はシールドエネルギーが一気に削られてしまうが、それでももう1本近接ブレードを展開して左肘関節を貫いた。

 

「キシャー!」

 

 声を上げるや無理やり振り払い、口部からミサイルを放って教員を墜落させる。

 

「先生!」

 

 さすがにまずい。教員はシールドエネルギーが少ないながらも機龍モドキめがけて近接ブレードの切っ先を向け、もう一方の手にショットガンを展開する。

 それに反応したのだろう。機龍モドキは腕部、脚部を向け、ミサイルを放とうとしたが……。

 ピットを閉ざすシャッターが爆発した。いったい何なのかと思ったとき、そこに空いた穴から青い閃光が一直線にこちらに向かってきたのだ。

 それに反応し、ビームを放った敵IS。そのままビームは“彼女”に当たるかと思われたが、そのまますり抜け、一瞬で敵ISの懐に入り込むや手に村雨を展開して胴を薙ぎ払う。

 

「硬い、わね……!」

 

「た、楯無さん!」

 

 彼女、更識楯無はそのまま下がるや一夏たちの前に立ち、そしてふたたび村雨を構える。機龍モドキはそれを見るや再びミサイルを放とうとしたが、先ほどの穴から飛び出した銀が機龍モドキにたいして激突し、そのまま吹き飛ばされた機龍モドキは地面に叩きつけられる。

 

「キァァァ……」

 

「航、私は先生と一夏君たちを下がらせるわ。だから頼んだわよ」

 

「わかった」

 

 彼女たちの壁になるように、機龍モドキの前に立ちはだかる四式機龍もとい航。

 四式機龍と機龍モドキは身長はあまり変わりがなく、その巨体が見せる威圧感と同時に守ってくれそうな安心感を感じる。

 

「じゃあ一夏君、航に任せていきましょうか」

 

「でも……」

 

「鈴ちゃんに何かあったらどうするの?」

 

「ぐ、それは……」

 

 航の手助けをしたい。だけど今彼の手元には鈴がおり、彼女の申し訳なさそうな顔が一夏の中の火を鎮火させるにはたやすいものだった。

 

「一夏、守りたい人がいるなら全力で守れ。それまで俺が奴の相手してやるから」

 

「航……頼んだ」

 

「あぁ、まかされた!」

 

「キァァアアアア!」

 

 声を上げると同時に、スラスターを吹かして身をかがめながら機龍モドキにぶつかり、それで仰け反った機龍モドキの腕を掴み、鋭い爪をその装甲に突き立てる機龍。

 大きく火花を散らしながらその装甲に大きな傷をつけていくが、機龍モドキは空いてる手を機龍の胸元に押し当て、そのままロケットを射出。その爆発によりよろめく機龍だが、決して掴んだ手を放さずそのまま巻き込むかのように身をひねり、機龍モドキを無理やり地面に転がすとそのまま尻尾を叩きつけた。

 起き上がることもできないほどの力で2度、3度と叩きつけるが指からフィンガーミサイルが放たれその爆発に飲み込まれたことで動きが止まってしまい、そのスキに機龍モドキは体勢を立て直し、機龍も尻尾で薙ぎながらも機龍モドキのほうを向いた。

 だがその時、機龍モドキの目が強く輝いた。

 

「っ!?」

 

 航は咄嗟に顔を逸らす。すると機龍モドキの目から放たれた光線は、バックユニットを片側を一瞬で融解させ、そのまま貫く。爆発の衝撃で身体がよろめくも、意地でも離さない航。

 そしてバックユニットのスラスターが強く光り、無理やり力押しで機龍モドキを壁に叩き付けた。

 叩きつけると同時に、即座に放たれた右腕のメーサーブレードが機龍モドキの装甲を食い破り、深々とその刃を突き刺す。そして電流が流されたことにより機龍モドキは各所から煙を上げ、首を不規則に揺らしながら目を点滅させる。

 

「キシャー!」

 

 悲鳴を上げる機龍モドキ。

 効いてる。これならいけると思っていたがその時、機龍モドキが頭を高速回転させ始めたのだ。それによってバリアが展開されたと思ったとたん、バリアに挟まれた腕部レールガンは耐えきれず圧壊、爆発する。機龍の装甲も激しい火花を上げながらも無理やり引き抜き、至近距離で口部メーサー砲を使うが、それもすべてバリアに防がれてしまう。

 どうするかと思ったとたん、すぐにバリアは消え、そして目からの光線、スペースビームを食らった機龍はそのまま地面に墜落してしまう。

 それを好機と見た機龍モドキは、眼部、鼻部、口部、胸部、腕部、脚部、あらゆるところに搭載されているあらゆる火器を使用し、機龍目掛けて一斉射を行う。

 その火力はすさまじく、機龍がよろめいたと思ったとたんにほかの攻撃が降り注ぎ、爆炎が機龍を飲み込んでいく。

 

「ぐぅぅ……!まだ、だぁ!」

 

 だがその炎を斬り裂き、機龍は現れた。だがその姿は先ほどとは違い、左腕の腕部レールガン、バックユニットを切り離した姿は前よりゴジラに近い姿となっている。

 機龍高機動形態。航の視界にはそう表示されており、より身軽になった機龍はどこで習ったのか、様々なマニューバ飛行を駆使して攻撃を躱していく。

 そして至近距離に近づくや、身をひねって尻尾を叩きつける。それによって吹き飛ばされる機龍モドキだが、お返しと言わんばかりにミサイルを多数放つ。だがそれを無理やり躱すや、再び接近して近接戦を仕掛ける。

 だがしかし再び首を回してバリアを張ったため攻撃が通らず、航は小さく舌打ちを上げる。このバリアを突き破れるだろう方法はあるだろうか。ひたすら爪で切り裂いたり尻尾を叩きつけたりするが一切通らない。

 そして機龍モドキはそのままその身体を押し付けてきてバリアに接触した部分からダメージが入り、ガリガリと装甲の削れる音が響く。

 このままでは不味い、下がって体勢を立て直そうとするも逃がしてくれず、ダメージが蓄積されていく。

 

「機龍の攻撃が、通らねえ……!」

 

 力業が通らずこのままでは不味い、そう思った時だ。

 

「うおぉぉおおお!」

 

 一閃。その時バリアが崩れ、つんのめるかのように機龍にぶつかる機龍モドキは、いったい何が起きたのかわからず、ソレが駆け抜けた方を振り向く。そこにいたのは教員たちと一緒に撤退したはずの一夏で、手に持ってる雪平弐型は零落白夜を発動していた。なるほど、これで切り裂いて無理やり停止させたのだろう。

 一夏はそのまま雪平弐型を機龍モドキめがけて振るうが、とっさに距離をとって様子を見ている。

 

「一夏、どうしてここに……!?」

 

「航が危ないから戻ってきた!鈴は楯無さんに任せてるから問題ないしな」

 

「勝てる見込みは?」

 

「あのバリアが斬り裂ける。それだけでも十分あるだろ。それにな……」

 

「それに?」

 

「俺は……鈴を傷つけたやつらの一味っていうなら、奴が許せねえ!」

 

 それに呆れる航だが、小さく笑うと視線を一夏から機龍モドキへと向ける。

 

「一夏、それならやるぞ」

 

「おう!」

 

 機龍モドキに仕掛けるため2人は別方向に飛ぶ。それに対応するかのように機龍モドキは首から上を一夏、それ以外を航に向けて攻撃開始するが、お互い高機動型のためまともに攻撃が掠ることもなく、先に航が機龍モドキに突撃する。

 高機動からの強襲。それに人の姿とかけ離れた機龍では、通常のISとは攻撃パターンが違いそしてパワーも桁違いのため回避に入る機龍モドキだが次の瞬間、瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使った一夏が背部から零落白夜で背びれを数枚斬り裂き、そのまま駆け抜ける。

 

「くそ、浅い!」

 

 急いで体制を立て直す一夏。だが視界を向けた先にはすでにミサイルや光線を放つ機龍モドキの姿があり、それに驚いて動きを止めてしまう。それによって回避が遅れてしまうが、そこに航が割込んでその体で無理やり攻撃を受け止めた。

 

「ぐ、ぅ……!」

 

「航!」

 

「大丈夫だ、行け!」

 

 そして爆煙を目くらましに、一夏が再び瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使い、そのまま機龍モドキへと接近する。そして零落白夜を起動させ、そのまま横だめに構える一夏だが、機龍モドキもわかってたのか一夏に左手を向け、そのままミサイルを撃とうとした時だ。

 先ほど教員に刺された部分から爆発を起こし、その衝撃で大きく体をよろめかせる機龍モドキ。

 その隙を逃さず航は尻尾を機龍モドキの横腹に当て、大きく吹き飛ばしてそのまま追撃をかける。

 埒が明かないと思ったのだろうか、機龍モドキは体勢を立て直し、再び首を回してバリアを張ろうとしたのだろう。

 

「させるか!」

 

 だが機龍の前に回り込んだ一夏が、零落白夜を発動させた雪平弐型でバリアを切り裂き、そこに航が機龍モドキの下あごに爪を喰い込ませ、無理矢理制止させる。

 顔も無理矢理上に押し上げられてスペースビームもまともに使えず、振りほどこうと放たれたミサイルが装甲を穿ち、爆発する。だがそれでも機龍は止めないため、機龍モドキは口部に無理やり左腕をねじ込ませ、接射によるミサイルが一気に起爆したことで航のうめき声が上げ、機龍モドキから手を放してしまう。

 

「ぐぅ……!」

 

 それで逃げようとした機龍モドキだったが、奴は爆炎を斬り裂いて現れた一夏に対応することができず、一夏はそのまま懐に入り込むや、零落白夜で機龍モドキの右腕を肘関節から切り飛ばす。

 

「キシェ、ア……!」

 

 機龍モドキは一夏から距離を取ろうと下がる。だがその後ろにはすでに航が回り込んでおり、その背中に手が軽く添えられる。

 

「そのまま固まってもらうぞ」

 

 機龍の拳が機龍モドキの背部を深々と穿ち、まるでのけぞったかのような姿になる。それでも首を回して機龍に攻撃しようとしたが、この時もう一方の手が機龍モドキの頭を掴む。そして万力を思わせるほどの馬鹿力により首の可動部から火花が散り始め……大きな音とともに機龍モドキの頭が胴体から切り離される。

 その中にあった装置、それは予備のカメラアイのようなものだが、その機龍モドキの目がとらえたのは、雪平弐型を振り下ろす一夏の姿だった。

 

「これで、終わりだぁあああ!」

 

 雪平弐型を両手で持って袈裟斬り。刃が深々とその胴体を斬り裂き、その部分から火花やスパークを起こす機龍モドキはそのまま力を失ったかのように地面に向けて落ちていく。

 きっと誰もがやったと思ったのだろう。だがしかし機龍、航は落ちるようにしながら機龍モドキの元へ向かうや、そのまま胸部を踏みつけながら着地した。

 その衝撃で表面が大きくへこみ、金属の曲がるような低い音が鳴り始める。だがそれでも踏む力を緩めない機龍。その時、機龍モドキの足がもがくかのように動き出した。

 

「やっぱり生きてたか」

 

 更に踏む力を強くした。装甲の一部がはじけ飛び、機龍モドキの各所内部が露出し始める。必死の抵抗か、機龍に向けて脚部のミサイルを放つだけ放つが、その爆発の炎のせいか機龍の目は真っ赤に染まっているように見える。

 

「キァァ……!」

 

「キシャー……!」

 

 機龍モドキからその姿はどう見えたのかは分からない。ただ姿が見れれば、心があれば機龍モドキは恐怖していたのだろう。なんせその姿はかの怪獣王と面影が重なって見えたのだから。

 バキバキと音をたて、胸部が押しつぶされていく。必死に足をもがかせている機龍モドキだが、次第に装甲の隙間、関節部から火花を走らせ、内部が圧潰して行ってるのがよくわかる。

 

「逝、ね!」

 

「キシェァァァアア!」

 

 限界を超えた機龍モドキは、断末魔と共に大爆発を起こし、あたり一帯に爆炎と衝撃波をまき散らした。

 その威力はすさまじく、近くにいた一夏は爆風によって飛ばされ、そのままアリーナの床を転がる羽目になるほどで、そして体勢を立て直して顔を上げるとそこには、先ほど機龍たちがいたところは黒煙を上げながら炎が激しく燃え上がっており、2機の姿が全く見えなかった。

 

「航!」

 

 ここまでなってると一夏は声を上げながら航を探そうと現場に近寄る。いったいどこにいるのか……一夏はハイパーセンサーを凝らして見ると、その時。

 ズン……ズン……と重い足音が響き渡る。もしかしてと思い、音の下ほうを向くとそこには、爆炎の中から現れる四識機龍の姿があった。あちこちが煤こげているものの、大きなダメージをくらった様子はなく、一夏は笑みを浮かべて機龍の元へと向かう。

 

「心配したんだぞ航!こいつぅ!」

 

「こいつがそう簡単に壊れるか。こいつは───」

 

「「機龍だからな」だろ?」

 

 それを聞くや、航は笑い声をあげる。そして楯無やほかの教員が現れ、ようやくこの事件は終結するのであった。




お久しぶりです。リメイクだからさっさと書くとか言っておいて更新に7か月も待たせてしまいました。
何があったかと言いますと、最初リメイク版ということで前のやつより何か足そうということになり、今回の話を作ってたのですがこの時無人機を倒すのに航だけにするのか、航&一夏にするのか、航&楯無にするのかなどといういろいろな案が出てきて、それら全て途中まで書いてたのですが、さらにそこから派生が始まり結果的に10パターンというとんでもない数出来て、逆にどれを完成させればいいのか、どうすればいいのかわからなくなり結果投げだしてしまいました。
本当に、応援してくれた皆様に申し訳なく思っております。

これを機にもっと更新速度を上げていく努力をするので、応援等、よろしくお願いいたします。
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