IS~人と怪獣の境界線~   作:妖刀

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お久しぶりです。八月中に投稿しようとしましたが、4回ほど8割がた書き直したり、パソコンフリーズで保存できなかったり、艦これしてたりで投稿が遅れました。すみません。


決戦 クラス代表決定戦 下

 試合後、航はカタパルト端に足をつけ、ピット内へと戻った。そこには一夏たちはおらず、楯無1人だけが彼の帰りを待っていた。

 そして楯無は彼の姿を見るや、小さく微笑みを浮かべる。

 

「おかえりなさい」

 

「ただい、ま」

 

 楯無の元にたどり着くや、機龍は大きく項垂れる。その声は掠れており、とても疲れていることが楯無には分かった。

 そして機龍が光り始めるや、その巨体は光となって消え機龍の胸部、3mはある場所から航がそのまま落ちるが、無事着地した。だがそれもつかの間、航は片膝を着いて大きく息を吐く。

 全身は汗だらけで、少し顔色が悪い。楯無は不安に感じるもそれを陰に潜め、笑顔を浮かべて彼を迎える。

 

「航、おめでとう。とても上出来だったよ」

 

「ありがと」

 

 いつもと違う少し弱弱しい声。一瞬悲し気な顔を楯無は浮かべたが、彼が元気になりそうなことが思い浮かぶやそそくさとその場所に向かう。

 そして楯無はピットの角にあったベンチに腰掛け、航の方を見ながら自分の太腿をポンポンと叩く。察した航は苦笑いを浮かべ、頬を掻いた。

 

「別に大丈夫だよ」

 

「疲れてるでしょ、ほら」

 

「俺、汗臭いぞ」

 

「問題ないわ、それぐらい」

 

「それに……」

 

「航」

 

 ピクリと止まる航。そんな彼をジト目で見つめる楯無は、小さくため息を吐いて再び自分の太腿を叩く。

 

「次の試合まで20分インターバルが入るわ。だから今のうちにゆっくり休んで頂戴」

 

「……わかった」

 

 観念したのか、そのまま彼女の元へと向かい、太腿に頭を乗せて横になる航。俗に言う膝枕というやつで、きっと誰かがいたら何か騒いでたかもしれないが、今は2人だけしかいない。このチャンスを逃す楯無ではなく、今はこれを堪能する。

 背びれがあるため仰向けになれない航は、彼女に背を向けるようにして横たわっており、それを楯無は優しく彼の頭をなでていた。

 

「ねえ、本当に大丈夫?棄権する?」

 

 機龍がどれだけのものかは楯無も知っている。だから正直あまり乗ってほしくないってのは本音だ。だが彼女も、彼がどういう性格か知ってるわけで……。

 

「いやだ……俺は……」

 

「……そう、わかったわ。でも無茶はしないでよ」

 

「ん……」

 

 小さく動いた航の頭をギュッと抱き寄せ、再び優しく頭をなでる楯無。これで少しでも彼が元気になるなら……その願いを乗せて彼女は航のそばに居続けた。

 

 

 

 

 

 ここは航がいるピットとは反対のピット。次の試合に向けて一夏たち一行はこちらに来ていたのだ。途中セシリアと会っってしまったが、驚いたことに彼女から「次の試合、がんばってくださいね」と応援されたことにキョトンとしてしまう。

 そのまま何とも言えない気分になりながらも、次の出撃に向けて白式を纏った姿で開発元である倉持技研の技術者が機体調整を行っていた。

 その間少し暇なため、一夏は隣に居る箒と一緒にいろいろ話し合っていた。

 

「うーん、航におめでとう言いたかったなぁ」

 

「仕方ないことだ。あの人が『私が彼を見るから織斑君は次の試合に備えていて』と言われたからな」

 

「そうだけどさ……。それにしても先輩、航に会いに行くとき嬉しそうに笑み浮かべてたよなー」

 

「そう思うか?」

 

「え?」

 

 箒も彼女が浮かべた笑みが思い浮かぶ。それは少し辛そうなものであり、いったい何があるのかと少し気になるが、今はそれは置いといて次の試合のことを放そうとしたとき、先に千冬が口を開いた。

 

「さて織斑、さっき私が言ったことはちゃんと覚えてるか?」

 

「ああ、零落白夜、だろ?」

 

「そうだ。航の機体はどれだけシールドエネルギーがあるかは分からない。だがそれが上手く決まれば織斑にも勝利が見えてくるはずだ」

 

 零落白夜。それは昔、織斑千冬が使っていた専用機“暮桜”の単一使用能力(ワンオフ・アビリティー)と呼ばれる特殊能力で、それで彼女は世界一を取ったのだ。

 その零落白夜が一夏の専用機である白式の単一使用能力(ワンオフ・アビリティー)として顕現しており、その威力はとても絶大だが、反面自身のシールドエネルギーを大きく消費するため、諸刃の剣と化す。そのため先ほどの試合、一夏はそれに気づかず負けたのだ。

 

「だけどさ、機龍のあのミサイルの嵐を抜けないといけないんだよな……正直不安なんだけど」

 

「何を言うか一夏!男たるものそのようなことで音を上げるな!」

 

「それぐらい私の弟なら出来るだろ」

 

「えー……」

 

 姉と箒の無茶ぶりにさすがの一夏も肩を落とすしかない。

 その時、作業が終わったのか技術者が息を吐きながら白式のハッチを閉める。

 

「はい、調整できました」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 そして手を握ったり放したりすると、前よりより馴染んだ気がするため、一夏は少し笑みを浮かべていた。箒も自分の事のように喜んでおり、これで少しでも勝率が上がると意気込む。

 

「いやー、ここに持ってくる際も結構バタバタでしてね。これで婆羅陀魏社の連中に馬鹿にされずに済みます」

 

「「ばらだぎ……?」」

 

「えっ……あっ」

 

 聞いたことない単語に首をかしげる一夏と箒。それでしまったと口に手を当てる技術者は、何でもないと連呼して、彼らの質問を無理矢理封殺しようとしたが……。

 

「さて、聞かせてもらおうか。婆羅陀魏の連中といったい何があったのかを」

 

「あの、その……ひぃ……!」

 

 千冬の迫力で小さく悲鳴を漏らす倉持技研の技術者。何があったか気になる一夏たちだが、今はそれを見なかったことにして、次の試合に備えることにした。

 

『織斑君。準備出来たらいつでも発進してください』

 

 その時だ。真耶からのアナウンスが聞こえ、カタパルトに足を載せる一夏。

 

「織斑一夏、白式、行きます!」

 

 そしてカタパルトから出撃した。

 

 

 

 

 

 一夏が先にアリーナ内に入り、その後すぐに航もアリーナ内へと入る。

 

「あれが四式機龍……」

 

 一夏は改めてその大きさに驚きを隠せなかった。自身のISである白式。それを軽く見下せるほどの大きさに、人の形と異なる姿。

 大きさは戦力に大きくかかわるとか何かで言ってたが、改めてみるとホントにそれを実感する。だがしかし、一夏はそれでも負けないとグッと手に力を入れる。

 

「待たせたな、一夏」

 

「航……」

 

 雪片弐型を展開し、中段で構える一夏。航の方は両手をダラリとおろしており、いったい何をするのか全く手が読めない。

 だが先ほど見せた試合、それは完全近接型である一夏にとっては、完全不利な状況と言える試合展開を魅せられ、正直どうやって勝利に運べばいいのか分からない。ただ唯一使える手としては零落白夜を当てること。決めれるか分からない。だが彼はそれを当てなければ勝利が無いのは確実だった。

 一夏は強く雪片弐型を握りしめる。

 

「航、俺は勝つぞ」

 

「それはこちらも同じだ」

 

 お互いに身構える。その気迫は観戦席にも通じたのか、シンと一気に静まり返った。

 

『試合開始』

 

「うぉぉおおお!」

 

 すると雪片弐型の刀身が割れ、そこから光の刃が伸びて来た。零落白夜だ。

 一夏はそれで構えて機龍めがけて一気に突っ込み、一気にその刃を振り下ろす。

 

「おらぁ!」

 

 確かに速かっただろう。だが機龍の腕部についていた射撃武器、それの砲身が縮むと同時に中央から長さが1mほどのブレードが出てくるや、振り下ろされた雪片弐型をそのまま右腕のブレードで受け止める。

 一夏はこのまま押し切ろうと力を入れるが、機龍はびくともせず、空いてる左手の爪を立てるやそのまま一夏の腹目開けて振り上げた。

 だが一夏もそれにとっさに反応して離れ、再び雪片を構えて突っ込む。だがこれもブレードで防がれ、いや受け流されたためバランスを崩してしまう一夏。

 しまった。と口が言うと同時に、腹に機龍が思いっきり拳を叩き込んだ。その威力に肺から息をすべて吐き出し、体をくの字に曲げるがそれでも動きが止まらない機龍は、体を大きくひねって尻尾を縦に振り下ろし、モロに食らった一夏は悲鳴を上げる間もなく一気に叩き落された。

 

「っ……ぐ、ぉぉおおおお!」

 

 地面に叩き付けられる一瞬、ウィングスラスターの出力を最大にし、地面すれすれで勢いを殺しきった一夏だが、結果バランスを崩して地面を転がってしまう。

 

「はぁ……はぁ……なんていうパワーだよ……!」

 

 シールドエネルギーの量を確認すると、先ほどの攻撃で一気に削れたのもあるが、いま零落白夜を発動してるためシールドエネルギーが少しずつ減っていっている。ヘタにのんびりしていたらまた自滅しかねないため、一夏は再び近づこうと空を見上げるが、そこからはミサイルの雨が一夏めがけて降り注いだ。

 

「うぉ……っ!?」

 

 20にもなるミサイルの群。一夏はとっさに起き上がるやスラスターを使って逃げようとしたとき、ミサイルは至近距離で一斉に爆発。だが一夏は多少ダメージくらうも白式の機動力に物言わせ、無理やりこの爆発から脱する。

 だがその時、一夏の目の前に機龍が勢いよく降りて来くるやそのまま腕部の装備が火を噴く。

 それによってシールドエネルギーがゴリゴリ減る一夏。これは不味いと離脱しようとしたが、それを逃がすまいと機龍が大きく踏み込み、そのまま一夏を追い詰めた

 

「キァアアアア!!!」

 

 

 

 

 

 零落白夜は一撃必殺の剣だ。

 航も零落白夜がどんなものか知っていた。モロに食らえば機龍といえどもどれだけダメージが入るか分からない。だが先の試合、セシリアがインター・セプターでそれを防いでるのを見たため、己も腕部レールガンに付いているメーサーブレードを使えば問題ないと判断したのだ。そして試合、読み通り零落白夜を防げると実感した航。

 人機一体で体力を多く消費してるため、短期決戦で済ませようと機龍のパワーで無理やり押し通せばどうにかできると判断し、近接攻撃を繰り返す。先ほどの叩き落しで零落白夜は停止しており、一夏は白式の機動力を活かし、どうにかこれらの攻撃を躱すのが精いっぱいだった。

 航の機体がこんなに大きくなければ、これまでの近接攻撃は一夏に当たってただろう。だが機体構造からかそれも難しく、大きさの差もあって逆に攻撃が大振りになってしまう。そのため足の速い白式にいまいち攻撃が決まらないのだ。

 そして機龍が腕を大振りで振るった時だ。一夏はそれを雪片弐型で受け流し、そして刀身が割れて零落白夜が顕現。一夏は懐に超至近距離に潜り込み、そのまま光の刃を横一閃で薙ぎ払う。

 

「おらぁ!」

 

「っ!?」

 

 人機一体で疲労していた航はそれの反応に遅れ、光の刃が機龍を斬り裂く。いや、バックブーストで後ろに下がったため深く入るのは避けれたが、それでも腹部に傷を負った。

 

「くそが……!何だよこの減り方……頭おかしいだろうが……!」

 

 

 航はこの一撃で減ったシールドエネルギーの量が尋常じゃないことに小さく唸る。

 だがこうしてる間にも一夏が近づいてきたため、機龍が近づかせまいと尻尾を振う。

 

「っらぁ!」

 

 だが寸のところで尻尾を躱した一夏は、そのまま雪片弐型が機龍の太腿部を斬りつけ、火花を散らす。そして返し刃で更に斬り裂こうとするが、航は薙ぎ払うように尻尾を振るう。だが先に一夏が離れ、再び高速で近づくや機龍の装甲に何度も刃を斬りつけ、ヒット&アウェイで攻めていく。

 

「くそ、がぁっ!」

 

「うおおおっ!?」

 

 雪片弐型を振ったと同じタイミングで機龍がその場で高速回転。そして尻尾が一夏を捉えたかと思われた、雪片でとっさに庇った一夏はその威力を殺しきれずに一気に吹き飛ばされる。

 大きく体勢を崩した一夏だが、すぐさま姿勢を整えるが肩を大きく上下させて息を荒くしている。

 

「はぁ、はぁ……硬すぎだろソレ……」

 

「それはお互いさまだ。なんだよその攻撃力は……」

 

「これが姉から受け継いだ力、零落白夜だ」

 

「……だが勝たせてもらうぞ、一夏。それにあまり時間は残されてないからな」

 

「そうか……だけど、なっ!」

 

 後ろに1回下がり一夏は雪片を再び構え直す。

 

「俺だって負けねえ!弱いままの自分でいるのは嫌なんだ!この力で俺は大事な人たちを守るんだよ!」

 

 

 守る。守る。守ル。マモル……

 

 

 ああ、何と眩しいことか。航は彼の眩しさに目を細め、心の中にあるナニカがゾワッと揺れ動く感覚を味わった。

 

 

 

 

 

「一夏……」

 

 ピット内で聞いていた箒は頬を赤らめ、潤んだ瞳で一夏を見つめていた。今は彼は弱いかもしれない。だがその決意を持つ瞳は箒の心を射抜くには十分だ。

 

「ふっ、言うじゃないかまだ素人のくせに。だが楽しみにしてるぞ一夏……」

 

 千冬はあんなことを強気に言える一夏に呆れながらも、これからの成長をとても楽しみにしていた。誰も指摘しないが彼女の口角は少し上がっており、嬉しそうにしてるようにも見える。

 だがしかし、彼女たちの顔は次の瞬間一気に凍り付く。

 

 

 

 

 

 一夏はいつでも攻撃できる準備は出来ていた。だが航が、機龍が力を抜いたかのようにだらりと手を下ろしており、顔も俯いているため、あまりにも不気味な雰囲気を感じていた一夏は顔を振り、意を決して突っ込もうとした。その時だ。

 俯いていた機龍が顔を上げたとき、一夏は背筋に氷柱を刺しこまれたかのような冷たさを案じた。

 

「守る……?何をだ……?」

 

「航……?」

 

 ゾッとするような殺意。この時一夏はまるで心臓を何かで刺されたかのような錯覚を味わい、無事か確かめるために手を胸元に当てた。

 この感覚は観戦席にも伝わったのか、先ほどまで応援や罵声を飛ばしてた生徒たちの声がぴたりと止む。

 この感覚は不味い。一夏が1歩後ろに下がった次の瞬間だった

 

「あぁぁあ……ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」

 

「キァァアアアアア!!!」

 

「っ……!?」

 

 航が叫ぶと同時に機龍が吼える。

 距離は大きくあいていた。だが機龍は一瞬で距離を詰め、大きく開かれた掌が一夏の顔を掴もうとしていたのだ。

 それに気づいた一夏はとっさに機龍の右腕を斬り裂く。だがそれでも止まらず手は一夏の顔を掴むや、そのまま地面に叩き付ける。衝撃で意識が飛ぶかと思った一夏だが、ISの生体保護機能でそうならずに済んだ。

 だが彼が次に見たのは自身の顔を踏み抜こうとする機龍の足だった。

 

「嘘だろっ!?」

 

 咄嗟に転がることでそれは避けることはできたが、地を割る一撃と衝撃がモロに襲い掛かり、大量の礫が一夏に襲いかかる。

 それによって一夏は跳んでくる礫から顔を庇ってしまい、目の前の視界を自ら塞いでしまう。それによって一夏は自身に迫る尻尾に気付けなかった。

 

「がぁ……!?」

 

 全身に強い衝撃が走る。機龍の尻尾が振り下ろされたのだ。

 これまでにない一撃。体が無理矢理大地に沈められ、シールドエネルギーも一気に削れる。これは不味い。そう思って逃げ出そうとするが……。

 

「逃げ……ぐあぁ!」

 

 再び尻尾が振り下ろされ、更にダメージが入る。このままじゃ一方的になぶり殺しだ。意識が揺さぶられる中、一夏は無意識にその名を叫んだ。

 

「白式ぃいい!」

 

「っ……!」

 

 一夏の叫び声とともにウィングスラスターが輝き、3度目尻尾を叩きつけられる前に一気に離脱する。その後バランスを崩して転げながらの着地になる一夏だが、その目は機龍をまっすぐに見つめていた。

 地を蹴り、一直線に一夏は機龍めがけて突っ込む。

 だがそれを待ちるけるかのように尻尾による横薙ぎ。このまま一夏が躱すために跳べば手で捕まえられる。航はそう確信していたのだが、一夏は尻尾の下をスライディングしながら掻い潜る。

 

「なっ!?」

 

 航から驚きの声が漏れた。一夏はそのまま勢いよく姿勢を立て直すや、零落白夜の発動してる雪片弐型を機龍に向けて一気に振り上げた。

 

「うぉぉぉおおお!!!」

 

「キァァアア!!!???」

 

 一気に機龍の前面装甲を斬り上げた。左横腹から右肩に掛けて斬り裂かれ、機龍は大きな悲鳴を上げる。

 手ごたえはある。いくら大型とは言え、これだけ大きく斬り裂けば大ダメージが入って一気に形勢逆転するはずだ。

 そう、これが普通のISならば、だ。

 

「ァァァ……キァァアアアアア!!!」

 

「嘘、だろ……!?」

 

 機龍は止まらない。斬り裂かれた装甲からは火花が散っているが、そんなの関係ないと言わんばかりに黄色の双眸が一夏を射止めていた。

 このショックで一夏は動きを止めてしまう。だがその隙を逃がす航でもなく、一気に前に出た機龍は一夏の胴に蹴りを浴びせて吹き飛ばした。

 そして口からメーサーを何度も放つ。まるでかの怪獣王が、何度も敵に熱線を浴びせるかのように。

 

「うわあぁぁあ!!!!」

 

 一夏の断末魔が響く。

 何度放たれただろうか。煙が晴れたころには白式はボロボロになり、一夏は完全に横たわっていた。

 終わった。誰もがそう思った時、ボロボロになった白はゆっくりと動き出す。

 一夏は雪片を杖のようにしながら立ち上がり、その目は機龍を睨みつけ、杖にしてた雪片を握りなおす。

 

「わた、る……!」

 

 航は返事せず、ただ機龍は小さく項垂れている。

 もう零落白夜も発動しておらず、飛ぶ気力が無いのかフラフラとした足取りで向かう一夏。

 だが一夏が力尽きるように片膝を着いたとき、試合終了のブザーが鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いっくん、零落白夜があるのに勝てないってホントにちーちゃんの弟なの?」

 

 暗い部屋の中、1人の女が空間投影ディスプレイを見ながら、退屈そうに足をぶらぶらとさせていた。

 困惑、呆れ、落胆。女のつぶやきにはそれらが含まれており、その後小さくため息を吐く。彼女が見てた画面の中には一夏と航が戦っていた試合光景が映されており、満足いかない結果だったのか興味無くしたのか分からないが、女はそのまま空間投影ディスプレイを閉じ、そしていきなり立ち上がる。

 

「まあいいや。今度はコレを使っていっ君が目立つチャンスをあげようっと。それにアレがどれだけ力があるか見ておかないとね」

 

 女が見る先には3体のナニカがいた。2体は全身が黒で人型とは言いづらく、両腕が長く大型化している。そして残りの1体は、全体的な色は銀だが先ほどの2体より一回り以上大きく、胴体が樽でも入ってるのか大きく丸みを帯びていた。

 

「さて、いっくんの実力を上げないといけないけど、それ以前にあの邪魔者消すための準備もしないとね」

 

 キラリと装甲が一瞬虹色に光る。そして女はニタぁと笑みを浮かべた。




こう、書いてたら機龍が大きいから近接戦すごい難しいんですよ。5mと3m弱(?)の機体同士だとすごい体格差がありすぎて、ね……?ね……?

さて、次回はまた日常に戻ります。たぶん戻ります。



では感想や誤字羅出現報告待ってます。(誤字羅いない方がいいんだろうけど)
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