いつか頂点に立てるまで 作:匿名設定するの忘れてた人
うまく繋がらなかったので一旦切りました、次から転生です。
向上心。
それは大小の差はあれど、誰しもが持ち合わせているだろうもの。
向上する意欲がなければ誰も勉強なんてしようと思わないし、オリンピックなんてものも開催されていないだろう。
かくいう俺も、向上心を持ち合わせていた。
いや、向上心などという言葉で表せるほど、この欲求は綺麗なものではないだろう。
蹴落として、邪魔して、それが一番効率がいい。
それが俺の短い1人生の中で学んだことだった。
別に最初から邪魔してやろう、と思っていたわけじゃない。
最初は努力した、そりゃ血反吐を吐くほど。
13歳になるまで、漫画なんて見たこともなかったし、ゲームすらする暇もなく、俺は努力し尽くした。
けど、どうだろう。
どれだけ努力したところで、才能という壁が何度も何度も迫ってきた。どの分野においても。
勉強なら、隣のクラスの永井というやつ。
あいつは学校で大して勉強してないくせに、いつも当然のようにテストの順位で1位をとりやがる。俺はいつも2位。
運動なら、俺の2つ隣の席の長谷川。
全く習ったことのない競技でも、持ち前の運動神経で容易く経験者を超えてくる。俺も、あっさり抜かれたやつの1人だ。
永井は、家で努力しているのかもしれない。
長谷川だって、今までの積み重ねでその運動神経を手にしたのだろう。
だが、その過程を直接見ていない俺には納得ができなかった。
それに、俺だって努力し続けているのだ、努力した量なら負ける気はしない。
なのにどうだろう?いつも一番褒められるのは、あいつらで、俺がどのような気持ちで努力しているのかすら知る気もない脳の足りないクソ虫どもは、俺のことを『どれだけ努力しても一番にならない無能』と言いやがる。
お前らは努力をしたことがあるのか?
一度でも俺に勝てたことがあるのか?
そう心の中で叫んでは、こう決意するのだ。
次は一番になってやる、次は、次は、次こそは、と。
結果?そんなもん分かり切ってるだろ?
一位に一度もならなかった俺は、完全に心が折れた。
一度でも、この心の弱みを誰かに吐ければ、吐ける人がいれば、結果は変わっていたのだろう。
しかし、そんなこともなく、完全に疲弊し、早く一番にならなきゃ、と日々悩まされていた俺はある日、過ちを犯した。
その日の夕方、人がいなくなる時間帯まで残って勉強した俺は、誰もいなくなったときを見計らって、隣のクラスの永井の机に次の日のテストの答えを書いた。
するとどうだろう。
そのことに気づかなかった永井は、そのテスト中先生に見つかってカンニングで問題に。
次の日には、ほぼ全部の人が永井のことをカンニングで1位を取り続けていたクソ野郎だと言った。
笑った、笑うしかなかった。
机に答えを書くという、ただそれだけのことで見事、俺は何度努力しても果たせなかった1位という結果を残せたのだ。
周りのモブどもも、カンニングの永井を抜けば、実質今までずっと一位を取り続けた秀才だ、と褒め称えた。
もちろん俺のテンションはうなぎのぼり。
そのまま家に帰って、親に一位を取ったという報告をして、それに喜んだお父さんが焼肉に連れてってくれて。
人生で一番楽しい時を過ごしている、そんな実感があった。
そのときは。
その夜、俺は後悔に苛まれた。
カンニングと誤認されて、周りの評価を一気に落として、積み重ねたものを全て崩してしまった永井への罪悪感。
ではない。
『なぜ俺は今まで周りを蹴落とすという手段を取らなかったのか』という後悔だ。
それからというもの、常に頭を回した。
努力して、足りない分は周りを蹴落とすことで補う。
次第に努力することもバカらしくなってきた。そんな時。
そんなことを繰り返してきた俺に天罰が当たったのだろう。
俺は16歳という若さで車に轢かれ、そして死んだ。
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