いつか頂点に立てるまで 作:匿名設定するの忘れてた人
車に轢かれた俺が次に目を覚ました時、そこは静寂だった。
なんの音も聞こえなくて、何も見えない。
何故か身体が動きづらくて、軽く前を叩いてみると、何かに包まれているのがわかった。
轢かれたはずの俺が、なぜこんな状況に陥っているのか。
まずここはどこなのか。
生きていたとして、普通は病室とかじゃないのか。
そんなことを考えていると突如周りのなにかごと、上に引っ張られていく。突然の変化に何もできないでいると、何処かに頭が入ってしまったらしく、すざまじいほどの圧力で頭が押しつぶされているのがわかった。
痛い痛い痛い痛い!
そんな心の叫びも虚しく、さらに胴体、腰、足と順番にその何所かに吸い込まれていって、同じく圧力をかけられ潰されていく。
それによって身体の中にあった何かが口から全部吐き出されたのがわかった。
そして出される俺の身体。
さっきの圧力で全ての空気を出されたらしく、息苦しい。
それに耐えれなくて思いっきり息を吸おうと口を開けた。
「おぎゃぁああ」
その瞬間聞こえてきたのは赤児の鳴き声。
耳を直接震わすようなその音についついムッとしてしまうが、そこでその音の発生源が俺であることに気づいた。
あれ、俺赤ちゃんになってるっ?!
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と、それが1年前の話。
赤子になったらしい俺は成すすべもなく、誰かの手の中に収められて、そして1年の月日が経った。
最初の方は死んで赤ちゃんになっている状況に大層驚いたものの、流石に赤ちゃんの生活、という自我のある人には暇すぎるものを強いられただけあって、今ではもう受け入れている。
なんならこの生活に慣れてさえいる。
今だって、新しいお父さん、ドワとお母さん、サレーネに1歳の誕生日を祝われているところだ。
2人ともなかなかの美男美女ではあるし、優しいし、なによりお父さんは海軍という、前世でいう警察みたいなグループに所属しているらしく、給料は並以上のようで息子としては嬉しい限りだが、ラブラブしすぎなところが玉に瑕。
そんな2人は、今俺の誕生日を祝ってくれてる。
なんでも、初めての誕生日ということで豪華な誕生日プレゼントを用意してるとかなんとか。
「じゃあ食事も済んだことだし、そろそろプレゼントでも渡すか!」
「ええ、そうしましょ。喜んでくれるかしら?」
「きっと喜んでくれるさ。サレーネ、持ってきてくれ。」
俺のお父さんが、酒をグイッと飲み干したあと、そう言った。
お母さんは俺が喜ぶかどうか心配なようだ。
任せとけ、これでも演技は得意な方だと自負してる。例え、お子ちゃま向けのお人形とかでも、新しいお母さんのためにも喜ぶ演技ぐらいしてみせよう。
まだ一単語を赤ちゃん口調で話すことしかできないので笑うだけで喜んでると思ってくれるだろ。
一歳のかわいい赤ちゃんが考えるはずもないことを考えつつ、プレゼントを持ってきてくれるのを待つ。
30秒もたたない内に戻ってきたお母さんの手の中にあったのは、なんと、カモメのマークが描いてあるただの白い帽子。
そんなもん赤ちゃんでも喜ばんわっ!と心の中で突っ込みつつ、別に最初から期待していたわけではなかったのでキャッキャと笑っておく。喜んでると思った両親は大喜びだ。
「この帽子はな、俺たち海軍の証なんだ。まあこれはそこらへんで売ってる子供用の帽子だが、将来お前もお父ちゃんのようにみんなを守れる海兵になるんだぞ?」
席を立ったお父さんはお母さんから手渡された帽子を手に取り、その帽子を俺にかぶせながらそう言い、芸能人ばりの爽やかな笑顔を浮かべた。なるほど、この笑顔でお母さんは落ちたのだな、と密かに納得。
いくら子供用とはいえ、1歳の俺には大きすぎてずれてしまうが、まあお父さんなりに色々考えて俺に送ってくれたのだろう、と思えるプレゼントだった。
こうして俺の、ストラの誕生日は過ぎていった。
ストラは名前です。
なんかなまえ発表タイミングがわからず、こんな中途半端な展開になってしまった。
とりあえず今回は、こんなお父さんとお母さんだよ、ストラだよ、転生したよ、以上です。はい。