サイタマさんちのメイドラゴン 作:実は小林さん派w
それは朝起床し、暇だからパトロールに出かけようとした日のことだった。
なんかドラゴンがいた。
これ、殴ってもいいの?
そんな疑問を抱きながら、サイタマはドアを開いたまま呆然と立ち尽くしていた。
それも当然だろう。自分から怪人を倒しに行くことはあっても、向こうから来たことなど、今までなかったし、そもそも怪人なのかすらわからない。てか、ドラゴンである。
『こんにちは、サイタマさん』
(なんか挨拶してきた)
サイタマはついつい、こんにちわ、と挨拶を返す。
「え、と、こんなところじゃ迷惑だろ? 人目についても騒ぎになりそうだしよ。とりあえず中入る? てか、殴ってもいい?」
『殴らないでくださいッ!?』
そもそもここはZ市のゴーストタウン。人目につく訳もなく、このままでも構わない。
そして普段なら何も言わずにぶん殴り、ワンパンで片付くのだが、自分の名前を知っており、何処かで会ったのかも知れない、と少し考えるが。
(やべぇ……全然わからねぇ)
『中……このままじゃ入れませんね……』
少々お待ちを……と、付け加えると見る見るうちに目の前のドラゴンは小さくなり、人型へと変わった。
「じゃーんッ!! どうです? この服似合ってます?」
そう言って白と黒のメイド服をヒラヒラと見せびらかす。
金髪のツインテールがよく目立ち、頭に付けているホワイトブリムの横には二本のツノが生えている。
背丈は一般的で、目は少し紅みのかかった橙色。顔は美人の部類に入り、スカートの後ろ側には緑色鱗で覆われた尻尾。
「え? 人になれんの? スゲーなお前」
「え?」
「へ?」
微妙な空気が二人の周りを包み込んだ。
そして、なやかんやで中へ入り、サイタマは説明を受ける。
「話が長くて全然わからん。20字以内で簡潔に説明してくんね?」
「20字以内ですか!? あー、えーと」
両手の指を目印にブツブツと何か言っているトール。
なんでも、このドラゴンはトールという名前らしい。
「まとめました!」
「おう」
「サイタマさんに住んでいいって言われました」
「は?」
サイタマは頭を抱え、
「いや、言ってないけど?」
「言いましたよ! 昨日の夜に、ほら!」
「昨日の、夜……」
サイタマは顔を急に上げ、はっとした顔をした。
そう、昨日サイタマは怪人をワンパンで倒し、その後にたまたま団子が手に入り、たまたまその日が満月でお月見出来るじゃんとなり、山へ入った。そして、
(……うん、いたわ。ドラゴン)
それからサイタマとトールは少し話し、サイタマは山を降りた。(サイタマは何を言ってんのかわからなくなってます)
「あの温かい言葉忘れません! 早速今日からメイドとして働かせて下さいッ!」
「うん、絶対ダメ」
一瞬の沈黙、そしてサイタマは言葉を続ける。
「そもそも俺にメイド雇う金なんてねーし、そもそも何でメイドなんだよ」
「私役に立ちますよッ!?」
「いや、いらん」
「この辺り一帯を火の海に変えたり!」
「それやったら倒すからな?」
「呪殺したり!」
「やっぱ退治しとこうかな」
「ハゲを魔法で治したり」
「そこ詳しくッ!」
「あと、メイドはサイタマさんがメイドラゴンなんちてーって」
「それ、俺本当に関係あんの?」
少し息を整え、サイタマは告げるように言った。
「大体、口約束なんてした覚えねーし。お前も知らない男の部屋なんか住まない方がいいだろ? 親とか心配してんじゃねーの? 俺が親なら心配して夜も眠れねーで一日中探し回ると思うけどな(やべぇ何言ってるか分からなくなってきた)」
サイタマ、トールを帰らせようと必死である。
そんなサイタマを見てトールは、
「わかりました。き、急におしかけてすみませんでした……」
意外とすんなり身を引いた。
しかしその表情はとても悲しそうで、まるで捨てられたような表情を浮かべている。
(なんか俺が悪いみたいだ……ッ!?)
サイタマは思い出す。
『行くとこねーのお前?』
『無いです……』
『ならウチ来いよ』
『え? でも……』
『困ってる奴を助けんのがヒーローだ。任せとけって』
『ヒーロー……』
(うわ、何言っての俺……)
よくよく聞けば犯罪スレスレのお誘いである。
初対面の男がヒーローを装い、家で少女を口説いているような。
だが、そんな口車にまんまと乗ったトール。ドラゴンだから危険を感じなかったのだろうか。
サイタマの中には罪悪感が渦巻いていた。どんな敵でも一撃で倒すヒーローになり、感情が薄れていたサイタマにとっては久しぶりな感情。
今にも押しつぶされそうだった、その時。
『ご覧くださいッ! 物凄い爆発です! 怪人による被害はこれまでに無い被害を続けており、現在協会側で災害レベルを設定中との、うわっ……ザー、ザーッ』
テレビから緊急の報道。A市が被害に遭っているらしい。
今からではどう頑張っても遅くなる。
(あっ、コイツ飛べんじゃね?)
サイタマは頭をポリポリ掻きながら、
「お前、飛べる?」
トールはゆっくりと振り返り、
「はいッ!」
満面の笑みで返事をした。
「パパーッ! ママーッ! どこーッ!?」
少女が泣きながら親を探している。
あたりは倒壊したビルに、ひび割れたアスファルト。
被害は誰が見ても甚大。
そんな少女に忍び寄る影。
怪人ワクチンマンである。
今回の事件の首謀者であり、地球の意思によって生み出された怪人。
ワクチンを自称する割にはバイキンのような見た目をしている。
ワクチンマンはそっと手を少女に伸ばしたと思えば、手はみるみるうちに巨大化し、少女を握り潰す……筈だった。
「何者だ?」
「趣味でヒーローをやっているお方のメイドです!」
「何だ、その適当な設定は」
「適当だと? 貴様下等生物のバイキンに毛が生えた程度の劣等種が……」
トールが怒気を孕んだ声を上げ、ワクチンマンは一歩後ずさった時、気怠い声が響く。
「あー、そういうのいいから」
「サイタマさん!」
「私を誰だと思っている! 私は地球「だからそういうのいいから」───ぎゃあああああッ!!」
ボンッ! という音と共に曇っていた空は晴れ、ぐちゃぐちゃになった怪人が空から降ってくる。
そして今日もサイタマはお決まりのセリフを口にするのだ。
「またワンパンで終わっちまった……クソッタレェええええええッ!」
「流石です! サイタマさん!」
続きは誰かに任せる。
見ての通り、俺は駄文だから。
続けて欲しいって人がいたらまた書きます。