サイタマさんちのメイドラゴン   作:実は小林さん派w

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2話メイドラゴン

サイタマとトールがA市の瓦礫の中で立ち尽くす中、少女の泣き声が響き渡った。親を探して叫ぶ声に、トールが尻尾をピクンと動かし、すぐさま反応した。

 

「サイタマさん、私、あの子のお母さん探してきます!」

「お、お前飛べんだろ? 上から見てこいよ。俺はここ片付ける」

「え、でも私だって戦えますよ?」

「怪人死んだし。後は面倒なだけだ。ほら、行け」

 

トールは少し不満そうだったが、サイタマの言葉に渋々従い、ドラゴンの姿へ変身。緑の鱗が光り、翼を広げて空へ飛び立った。風圧でサイタマのマント(実はただの服)がバタつく。

 

(便利だな、あいつ)

 

サイタマは感心しつつ、瓦礫を片付け始めた。ビルのがれきを軽々と持ち上げ、下敷きの人々を次々と救出。遠くで騒ぎを聞きつけた市民が集まり始めた頃には、救助作業はほぼ終わっていた。

 

「おい、あいつ誰だよ!? 一人でこんな災害片付けてるぞ!」

「すげぇ……ヒーローなのか?」

 

市民がざわつく中、空からトールが戻ってきた。ドラゴンの姿で着地し、口から少女の母親をそっと降ろす。少女が母親に駆け寄り、泣きながら抱きついた。

 

「サイタマさん、見つけました!」

「おお、ナイス。でかい口してんな、お前」

「褒めてます?」

「まぁな」

 

トールは得意げに胸を張り、メイド服姿に戻ると少女に笑顔で手を振った。少女は少し怯えつつも手を振り返す。市民たちは呆然と二人を見ていた。

 

「何だあれ……ドラゴン?」

「いや、メイドだってよ」

「メイド!?」

 

サイタマはトールに近づき、ボソッと呟いた。

「なぁ、お前さ。飛べるし強いし、俺よりヒーローっぽくね?」

「え!? 私がヒーローですか!?」

トールの目がキラキラ輝き、尻尾がバタバタ揺れる。

「でも私、サイタマさんのメイドですよ? ヒーローよりメイドの方がいいです!」

「いや、メイド雇う金ねぇって言ったろ……」

「私が稼ぎますよ! 怪人倒したらお金もらえるんですよね?」

「ん? 誰から?」

「え? 誰か……くれるんじゃないですか?」

「……お前、世の中舐めてんな」

 

サイタマは面倒くさそうに頭を掻いた。

「ったく……まぁ、しばらく置いてやるよ。お前が怪人倒して金稼ぐなら、家賃くらい出せ」

「本当ですか!? やったー! サイタマさん大好きです!」

トールが抱きつこうとした瞬間、サイタマはサッと避けて冷静に告げる。

「抱きつくなら殴るぞ」

「えぇーっ!?」

 

その後、トールはサイタマの部屋に居座り、勝手にメイド兼怪人退治係として生活を始めた。ある日は怪人を炎で焼き払い、ある日は魔法で近所のハゲたおじさん(サイタマではない)の髪を復活させ、またある日はサイタマの買い物に付き合って荷物持ち。サイタマは相変わらず怪人をワンパンで倒しつつ、トールの騒がしさに少しずつ慣れていった。

 

ある夜、満月を見ながら団子を食べていたサイタマがポツリ。

「お前、意外と悪くねぇな」

「え? 今なんて?」

「なんでもねぇよ」

「絶対何か言いましたよね!? ねぇ、サイタマさーん!」

 

トールが騒ぐ中、サイタマは無表情で団子を頬張った。Z市のゴーストタウンに、奇妙なヒーローとドラゴンメイドの日常が始まった。

 

数日後、街でまた怪人が暴れ出した。トールが空から火を吐いて怪人を焼き、サイタマがトドメを刺すという連携が自然と出来上がっていた。市民からは「ハゲマントとドラゴンメイド」と呼ばれ始め、噂が広まる。

 

「お前さ、このまま怪人倒してりゃ食っていけるんじゃね?」

「じゃあ、私、サイタマさんの専属メイドとして正式に雇われてもいいですよね?」

「いや、金ねぇって」

「私が稼ぐって言ってるじゃないですかー!」

 

トールが拗ねると、サイタマはため息をつきつつも小さく笑った。

「まぁ、いてもいいけどよ。怪人来たらちゃんと起こせよ」

「はいッ! 任せてください!」

 

こうして、サイタマの孤独なヒーロー生活に、トールというドラゴンメイドが加わり、二人の奇妙な日常は続いていくのだった。

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