悪の復讐劇   作:カオル06

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薫は一人で抱え込む時もあるようです。


本当の彼女は、今居ない…?

『お前、一人なのか?』

犬に向かって、話しかけている。

もちろん、返事なんて返ってこない。

『って、捨てられているから一人か……一人で、寂しくないのか?』

少し、悲しそうな顔で言う。

「ワン」

すると、犬の気まぐれか、犬が顔を薫に向け、吠える。

『……そっか、寂しいのか』

まるで犬の言葉が分かっているかのように、そう言葉を返す。

『……僕と、一緒だな』

 

「!!」

薫の言葉に驚く。

まさか、雲雀の言っていたことは、本当なのか?

そう思う。

 

『……僕もね、信じていた人たちに裏切られちゃったんだ』

 

「……」

山本は黙って、薫の言葉を聞く。

自分では信じていないはずなのに、何故か、今の薫を止めることはできなかった。

それは違うだろう、と、否定することができなかった。

 

『最初はね、大丈夫って、思ったんだ……でも、駄目だった。

 僕は体も心も壊れていったんだ……

 クラスメイトだけなら、まだ頑張れたのかもしれない。

 でも、絶対に、信じてくれると思っていた人に裏切られて……

 僕、一回、死にかけたんだよ? でも、奇跡的に助かったんだ……』

そこで、いったん、言葉をきる。

〝絶対に信じてくれると思っていた人物〟

その人のことを思い、薫の目には、涙が浮かんできていた。

『目を覚ましたとき…少し、自分を恨んじゃった……

 何で、僕は生きているんだ? 死ねば良かったのに……そう、思っちゃったんだ。

 僕ね、目を覚ました時から、別人として生まれ変わったように、

 名前を変えたんだ……そしたら、気持ちが少しは楽になってね……

 でも、壊れた僕に……感情なんて、無いんだ。

 いや、あるとすれば……人を……憎むということしか出来ないよ……

 誰かを、信じるって、ことは……出来ないんだ……』

時折、自分自身をあざ笑うかのように、笑みをこぼした彼女は、最後には涙を流し、言う。

 

「……」

山本はほぼ、確信した。

雲雀の、話は本当なんだと。

 

『あ、でもね、それを分かっていても、僕の側に居てくれる人は居るんだ。

 変でしょ? 本当に信じられているのか分からない人と一緒に居るの……

 僕……その人たちのことは、少しは信じているのかもね

 でも、それ以外の人は信じられない。

 仲間だよって、言う人は居るんだけど……信じられないよ……

 一回、あんな事が起こっているから……怖いのかな?』

悲しそうに笑いながら言う。

『……もう、自分に言い聞かせている。

 信じても、意味無い……どうせ、また裏切られるのがオチだって。

 気づいたときには、もう手遅れ。手を差し伸べてきた相手のことを拒否してる。

 自分でも、止められない……どうしようもないんだ……

 一度、おきてしまったことは、元には戻らない……誰も止められない。

 ま、仲間は別だけどね……まぁ、そんな事どうでもいいか……』

そう言い、犬を抱っこしたまま立ち上がる。

『僕の家に来るか? 寂しいだろうしな……

 あ、でも連れて帰ったら、また、怒られるかな? ま、いっか』

そう言い、犬を連れて帰ろうとする。

そして、歩き出そうとすると、山本が居る事に気づく。

『…………』

一瞬驚いたような表情をした薫は黙ったまま、山本を見る。

既にその顔は、犬に向けていたのとは、全く違い、いつもの学校に居る時の表情。

ただ、明らかな敵意を込めて、山本を睨むように、見る。

「あ……えっと」

明らかに焦っている。

 

『……いつから居た?』

不意に薫がそう聞く。

「……ずっと、居たのな。話しかけだした時から」

『じゃぁ、聞いていたんだ』

――油断した。

心の中でそう思う薫。

だが、表情は変えず、どうでもよさげな態度を取る。

「……雲雀から聞いたんだけど……」

少し、言いづらそうに言う。

「桃が悪いって……本当なのな?」

『……ふぅ~ん……アイツの用事ってそれか…………

 僕はそんなの知らないよ……自分で、考えれば?』

冷たい目で、そう言い放つ薫に、山本は何も言えなくなる。

そんな山本を見て、薫は黙ったまま、その場から去ろうとする。

「あ、待ってくれ!」

『……何?』

立ち止まり、山本のほうをみる。

「もし、そうなら……悪いと、思って……」

『……あっそ』

興味なさそうに返事をする薫。

あくまで、茜に対してへの言葉には答えないつもりのようだ。

彼女は完全に薫としてその場にたっている。

「それで……」

何を言えばいいのか分からず、言葉に詰まる山本。

『……ねぇ』

そんな山本をみて、呼びかける。

「ん?」

『それさ……僕にとって、どうでもいいことなんだけど』

「え?」

『だってさ、僕は、茜じゃない……薫だよ?』

「え? でも……俺は、悪いと――」

『やめて』

山本の言葉を遮り言う。

「え?」

『悪いと思った……だから、何? そう思ったら、何かあるの!? 茜が帰ってくるとでも?

 茜が帰ってきてみんな謝って許してもらって、ハッピーエンド? ……ふざけんなよ』

「そんなうまくいくなんて思ってない……でも、これからは――」

『これからは……僕の味方になって、僕を助けるの?』

「!!」

言おうとしていたことを、当てられ驚く山本。

そんな山本に薫は微かに口角を上げる。

『ふざけないで……』

「え……?」

『そんなの、いらない。さっきのこと……全部聞いていたなら分かったよね?

 僕は誰も信じないよ……

 大体、真実が分かった……だから、僕の味方になるって……意味ないよね?』

「どういう意味だ?」

『僕の味方になるとしても……お前に、沢田綱吉を裏切る事、出来る?』

「!! それは……」

山本が悩んでいると、みるだけで、分かる。

『……ほら、無理だよね? 当然だよね……

 ツn……あいつを裏切る事なんて、お前には出来ないでしょ?』

〝ツナ〟と名前を呼びそうになったのを訂正する薫。

そう呼んでしまいそうになるのは、茜として呼びなれてしまっているのだろう。

「……(茜……薫は、もしかしたら……)」

それを聞き逃すことなく、山本は思考を巡らす。

『……真実を知っていようが、そんなの、どうでもいい。

 茜を裏切った事には、変わらない。一度、おきてしまったことは、元には戻らない』

「……」

「クゥーン……」

犬が、悲しそうに吠える。

『大丈夫だよ、行こうか』

そんな犬に優しく微笑み、薫は山本に背を向け歩き出す。

犬に向けるその表情は、やはり、茜のものだ。

数秒、そんな『友』の表情に見惚れる山本。

だが、薫が歩きだしたことに、ハッとし、口を開く。

「あ! 雲雀が言うには……スクアーロたちも真実を知っているのな!」

『!! ……そう…………ま、僕に関係ない』

一瞬、驚いたように、言葉を詰まらせたが、いつもの冷たい口調で言って、帰った。

「……間違いないな」

山本はしばらく、その場に立ち尽くしていた。

 

 

 




今回は薫と山本だけで、一話使っちまったぜ………
薫の台詞が長かった←
なんか、今回は弱い薫を見せたかったのです。
内に秘めている感情を出してみたかったのです!!
厨二病みたいになったのは、気のせいなのです!!


最終編集日 2017/12/14
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