悪の復讐劇   作:カオル06

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どこに電話するんでしょうね?


内緒の電話

《はいー、誰ですかー?》

電話に出たのは、聞き覚えのある声だ。

和は記憶をたどり、聞いた名前を思い出す。

「……確か、フラン……だっけ」

《そうですー……どうして、ミーのこと知っているんですかー?》

相手側の声に警戒が含まれた。

どうやら、フランは覚えていなかったようだ。

和自身、あまりあの場では発言しなかったため、仕方ないといえば仕方ないが。

「……この前、といっても、昨日だが、訪問したんだが」

《あー、薫って、人たちですかー?》

「あぁ、俺は、和だけどな……」

《で、何の用ですかー?》

相手がわかったからか、警戒心は薄れているように聞こえた。

だが、早々に用を聞かれたのは、あまり信用されていないようにも感じた。

もっとも、和も用件を済ませたかったので、それで良かったが。

「……そっちに、S・スクアーロって奴、居るだろ?」

《アホのロン毛隊長ですかー? 居ますよー》

「だったら、ちょっと呼んでくれ」

《分かりましたー、ちょっと、待っていてくださいー》

そう言い、呼びに行ったのか、何やら、音楽が流れている。

しばらく、待っていると……

《和かぁ!? 何のようだぁ!?》

と、いきなり、うるさい声が聞こえてくる。

和は眉を寄せつつ、持っていた携帯を少し遠ざけた。

「……お前に伝えておく事がある」

《……早く言え!!》

今の状況からして、言ってくる内容は限られている。

一つしかないと言っても良いくらいだ。

 

「……薫の様子がおかしい」

《どういうことだぁ!?》

「それは、こっちの台詞だ……何か知らないのか?」

ため息混じりに言う。

少し軽い口調で言うのは、やはり、昔――仲間だと薫が言っていた時期のことがあるからだろう。

《知るわけねぇだろうがぁ!? ……ちょっと、待てぇ……ボスに聞いてみるぅ!》

「……早くしろ」

《今、向かっている! ちょっと待てぇ!!》

「……」

言われたとおり、黙って待つ。

 

《う゛ぉ゛ぉ゛い、ボスゥゥゥ!! 電話だぁぁぁ!!》

《――せぇ……誰――だ?》

しばらく待っていると、電話越しに、会話が聞こえてくる。

《和からだぁ!》

《……――せ……何だ》

XANXUSの声が電話から聞こえる。

「……薫の様子がおかしい……何か知らないか?」

《薫の!?》

珍しく声をあげ驚いたようにそういう。

「……あぁ(何で、名前で呼んでるんだ?)」

少し、気にくわない様子の和。

あまり出さないようにしても、やはり声のトーンが下がるのを自分でも分かった。

和にとってXANXUSはあまり好きではない。

それは薫に最終的トドメを刺した人物だということもある。

だが、それ以上に和は薫――内心的に茜を一番傷つけた人物だと考えている。

他の誰よりも、XANXUSのことを警戒しているのだ。

《……そうか》

「それだけか?」

《……》

何かを考えているのか、黙り込むXANXUS。

「……会わないのか?」

《……》

 

 

〔その頃、薫は〕

『……ハァ(ずっと、こうしているのもな)』

そう思い、起き上がり、玄関に向かう。

「あれ? 薫もどっか、行くの?」

『え? うん……ちょっとね……』

薫『も』と言われたことに不思議に思いつつ、任務に向かった人のことかと思い、勝手に納得する薫。

「そう、和がさっき出たから……あ、和が庭には来ないように、って言っていたから」

『庭? うん、分かった……』

そう言ってから、出て行った。

 

 

『庭……?』

行くな……とは、言われたものの、やはり、気になっている薫。

『……』

違うところに向かおうとしたが、やはり、庭に向かって歩く。

『(ちょっとだけ……それに……)』

和が言っていた、と聞いたので行ってはダメだと思いつつも、足をとめることは出来なかった。

 

 

 

〔庭〕

『……』

曲がり角に立ち、耳だけ澄ましてみる。

 

「……会わないのか?」

《……》

結局、彼は何も答えないままだった。

 

『……電話?』

その場は見ていないものの、和以外の気配がないことからそう考える。

だが、それじゃぁ相手が分からないと余計に考えてしまう。

 

「それが、答えか?」

いつまでもなにも言わないXANXUSに和はそう言う。

和はその無言を〝会わない〟という答えだととらえたのだ。

《……あぁ》

それは、正解だった。

XANXUSもそのつもりで、なにも言わなかった。

「そうか……」

その答えに、和は少し安心するとともに、怒りも覚えた。

――お前がやったくせに

そう怒鳴りたかった。だが、電話越しでそんなことを言っても無駄だと思い、それだけ言った。

 

『(話しが、終わったところか……?)』

 

《……薫を元気にするのは、てめぇの役目だ》

「そうかもな」

《……》

「お前に聞いたのが、バカだった……後悔しても知らねぇ」

〔ピッ〕

一方的に電話を切る。

「……ハァ」

 

『(……結局、何なんだ? 誰に電話していたんだろう)』

薫は何もわからないまま、終わってしまった。

 

「……戻るか」

そう言い、歩き出す。

 

『(こっちに来る……)』

薫は急いでその場から離れ、隠れる。

「……ん?」

一度、立ち止まる和。

『(ばれていた?)』

気配は完璧に消せていたはずだ。

そう思いながらただ待つ。

「気のせい、か」

そう呟き、和は家の中へ入っていった。

『……ハァ』

和が中へ入ったのを見て、その場から出る。

『(……ま、和もずっと、僕のそばに居るから、疲れているのかな?)』

そう思い、薫は少し悲しそうな表情をした。

 

 

〔次の日〕

「薫ー! 起きろ!」

『ん……?』

「朝だ、学校行くか?」

『あぁ……行く(いつもの、和だ……)』

「……じゃぁ、下で待っている」

そう言い、部屋から出て行った。

結局、昨日のことは聞かないままにした薫。

もしかすると、和から何か言われるかもしれない、と思っていたが、何もなかった。

『……朝、か』

とりあえず、準備をして、1階に行く。

 

『おはよ』

「おはよう……朝食、出来ているから、食べて行って」

『ありがと……いただきます』

 

 

『ごちそうさま……ありがとう、美味しかったよ』

「そう、よかった」

微笑みながらそう言う星。

『さて……』

「もうすぐ、行けるか?」

『うん、もう少し、待っていてね♪』

「分かった」

 

 

『よし! 和、行こうか♪』

「……あぁ」

『行ってくる』

「「行ってらっしゃい」」

 

 

『あ、そういえば……和、昨日……中庭に近づくなって聞いたけど、何かあった?

 誰かに電話してたとか……?』

登校中、やはり気になりそう聞く薫。

これを聞くことで、昨日聞いていたことをバラしたつもりだった。

だが、和は不思議そうな表情をした。

「え? 電話? ……電話なんか、してないけど? 昨日は1人でゆっくりしたい気分だっただけだ」

『……そう』

――嘘だ。

そう分かりながら、薫はそれだけ言った。

和は、特に隠す理由なんてなかったが、妙な誤解をうむと厄介だと思い、誤魔化した。

そっちのほうが、薫にとっては疑問を持たずにはいられなかったのだが……

(ばれてる? ……にしても、どうすれば、薫を元気付けられるかな……?)

(……僕に、言えないことでもあるのか?)

二人とも、自分の考え事で、頭がいっぱいになっていた。

 

 

〔教室前〕

〔ガラッ〕

『……やぁ』

「……」

(しつこいわね……)

「また、来たの?」

「チッ」

「……」

いつも通り、教室に入った瞬間、生徒たちの痛い視線が飛んできた。

罵倒するものもいれば、ただ見るだけのもの、コソコソと笑いながら何かいうもの、様々だ。

だが、その中で山本は、俯いたまま何も、言わなかった。

『(……やっぱ、綱吉たちを裏切る事は出来ないか)……うるさいな』

「え?」

(一体、あの子何したの!? この前は、少し、ツナたちが脅すだけで、黙ったのに!)

「10代目! コイツ、一回、果たします!!」

そう言い、ダイナマイトを用意する。

「……そうだな」

「!?」

あまり、分からないが、山本は戸惑っているように見える。

「獄寺君、頑張ってねぇ(これで、あの子も……ハハッ、サイコー)」

『……(さぁ……どうするかな?)』

「果てろ!!」

獄寺が、ダイナマイトを投げる。

「薫、下がって」

『……』

この程度のものなら薫なら簡単にかわせる。

そのくらい和は分かっているが、それでも、ただ見ていることはできない。

薫をボスとして、薫の右腕として、友として、理由は様々であるが、守ることをやめようとはしない。

そんな和の思いが分かっているのか、薫もそれに素直に従う。

ダイナマイトが近づいてくる。

薫は目を閉じる。

もうすぐ当たって、爆発する……そう思った時――

 

『……』

「!?」

いつまで、待っても、爆発は起こらない。

教室内はざわめいていた。

「なっ……」

和の驚いたような声に、薫は目を開ける。

『……!!』

そこには、ある光景が映っていた。

 

 




さてさて、大体の方はどう続くのがわかっているのではないでしょうか。
分からない人は、えっと…………うん。次回を見てください。
まぁ、和がヴァリアーのところに電話したのは、あれですよ…?
裏切りとかじゃなくて……ほら。心配だったからだよ!!

最終編集日 2017/12/15
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