獄寺が投げたダイナマイトはすべて火が消え、床に転がり落ちている。
そして、薫と和の前に、一人の青年が立っていた。
「……」
山本だ。
「……怪我、してないよな?」
薫のほうを向き、微かに笑みを見せながらそう言う山本。
『……何、して』
驚いた顔をして言う薫。
少しだけ、声が上擦っていた。
もちろん、全く予想していなかったわけではない。
だが、実際されると、やはり少し驚くところがあった。
予想していたとはいえ、それはごくわずかな可能性だと思っていたからだ。
「山本!?」
「どういうつもりだ!!」
当然といえるクラス内からの反応。
ツナや獄寺から驚きの声があがる。
「すまねぇ……俺は薫の味方に付く」
「なっ!?」
「てめぇ、頭逝っちまったか……」
「俺は、薫は悪くないと、思ってる…………茜も、同じだ」
「……山本は、俺を裏切るの?」
「……」
その質問には、何も言えなくなる山本。
だが、その目は迷っていなかった。
無言でも、彼は確かな否定を見せたのだ。
それを感じ、獄寺は一層顔を険しくさせる。
「てめぇ……よくも!」
『おい』
「ん?」
『何故、助けた?』
珍しく戸惑っている様子を見せる薫に、山本はニカッと笑う。
「ハハッ、俺は薫のほうが正しいと思っただけなのな」
『……そう(変な奴)』
――もしかすると、山本のことは……
一瞬そんな考えが頭をよぎった。
微かに薫の瞳が揺れる。
それを見られないためにも薫は歩き出す。
「あ! おい!」
急いで、山本と和が追いかける。
『……悪い……一人にしてくれ。和、ソイツを頼む』
「え? ……あぁ、分かった」
本当は薫の傍に居たかったが、和はおとなしくそれに従う。
『頼んだ……僕は、屋上に居るから』
そう言い、少し速く歩いていった。
「……ハァ、おい、こっち来い。行くぞ」
薫の姿が見えなくなった頃にそう言い、歩き出す。
「あぁ」
山本はそう返事をして、和の後ろについていった。
〔教室内〕
「……」
どこか思いつめたような表情をするツナ。
それを獄寺は必死に気遣っていた。
「あの、野球バカ! どういうつもりでしょうね?」
(くそっ! せっかくの計画が! どういうこと!? 山本があいつに付くなんて……)
もう一人、桃もひそかに顔を歪めていた。
思い通りにならなかったイラつきで、体が震える。
それを勘違いしたクラスメイトは心配そうに声をかけていた。
桃は表面上悲しそうに、力なく笑う演技をして心にもないことを喋っていた。
そんなクラスメイトたちの行動で桃はすぐに舞い上がり、どうでも良くなっていた。
「まぁ、別にいいじゃねぇか」
そんな中、どこからか聞き覚えのある声が聞こえた。
皆、一斉に声のした方を向く。
窓のふちに座っているのは――
「ん? ……リボーン!!」
「リボーンさん!?」
「チャオッス」
「何でココに!?」
「ちょっとな……会いてぇ奴が居るんだ。俺は、ソイツのとこに行ってくる」
そう言い、すぐに、どこかへ行ってしまった。
「会いたい人?」
「誰でしょうね?」
〔屋上〕
『……』
寝転びながら、黙って、空を見ている。
薫は、目を閉じ、あることを考える。
――山本は……自分の目の前で、ツナが居るのに、僕を助け、僕の味方に付くと言った。
ずっと、一緒にいた仲間を裏切る……普通、出来ない事……
でも、それをアイツはやってみせた。
他の奴は、自分が嫌われるのを恐れ……あの行動は出来ないだろう――
そんな風に、色々と考えていると――
〔ガチャ〕
誰かが、屋上に入ってくる。
『……?』
「やぁ、ココで何しているの?」
『雲雀、恭弥か……別に、ただ、考え事をしていただけだ……』
「……前から思っていたけど、一々フルネームで呼ぶの、止めてよ」
『ん、一応聞いてはおくよ』
アヤシイ笑みを浮かべそう言う。
人が来たためか、薫はいつもと同じようだった。
先ほどの戸惑いなど一切感じさせないほど、完璧な薫になっていた。
「……喧嘩うっているの? 咬み殺すよ」
『まさか』
笑いながら言う。
『……あ、そういえば、山本に言ったの……お前?』
「ん? あぁ、そうだよ」
『ふぅ~ん、そう』
そう言い、目を閉じる。
攻撃態勢をとらないあたり、雲雀のことは信じるようになったのか。
それともただ単に、余裕を持っているだけだろうか。
「ところで、ちゃんと、授業は受けなよ」
『お前に言われたくないね』
先ほどの山本の一件で頭がいっぱいなのか、いつもより少し軽い雰囲気でそんなことを言い合う。
次の瞬間――
「チャオッス」
どこからか、聞き覚えのある声が聞こえる。
『リボーン?』
目を開け、起き上がりながら言う。
「あぁ、久しぶりだな」
「赤ん坊」
『……』
黙って、リボーンを見る。
「どうかしたのか?」
『……何で、ココに居るのかな?』
「久しぶりに、お前を見に来たんだぞ」
『ふぅ~ん……じゃぁ、もういいよね』
早く帰れ、と言うように言う。
「……変わったな」
『はぁ?』
「昔のお前は、もっと、優しかったぞ」
『……誰が……僕をこんな風にしたのかな!』
珍しく少し感情的になる薫。
いつもは自分から勝負はしかけないのに、今すぐ飛びかかりそうな勢いだ。
「……俺らだな」
『フッ……何だ、ちゃんと、自覚はあるんだ』
睨みながらそう言う。
「だが、間違いに気づいた奴は、見逃してもいいと思うんだ」
『ふざけてんの?』
「ふざけてなんかねぇぞ……お前のためだ」
『僕のため? どこが?
僕は、壊れたのに、その痛みを、僕だけが、背負えって言うの?
そんなの、不公平だろ!! 真実を知っていようが関係ない、全員消す。それだけだ!!』
「……」
『早く帰れ……雲雀もな』
「分かった……俺は最初からすべてを知っていたぞ」
そう言い、リボーンはどこかへ行った。
「……」
雲雀も黙ったまま、リボーンに付いていった。
『リボーンがすべて、知っていたのは……分かっていたよ……』
拳を握って呟く薫だった。
――それでも、何もしなかったのも、リボーンだ。全員同じだ……消えるだけ。ただ、それだけ。
「……赤ん坊」
「雲雀か」
「すべて、知っていたって」
「あぁ、知っていたぞ」
「どうして、教えてくれなかったんだい?」
「あの時のお前達に、何か言っても聞かなかったからだ」
「!!」
「……でも、お前は気づいたんだ……ダメツナはまだ、分かってねぇけどな」
少し、暗い顔をして言った。
〔その頃、和と山本は〕
「なぁ、どこに行くのな?」
「人の来ない場所だ」
「ココも、来ないぜ?」
「……そうだな、じゃぁココでいい」
そう言い、立ち止まる。
「……」
「まず……薫を助けてくれたのは、感謝する」
「あぁ」
「だが、薫は、お前を信用しないだろう」
「!?」
「……薫は、同情なんてしない。可哀想だからとか、もう考えないだろう」
悲しそうな顔をしてそう言う。
和は、それをあまり喜ばないようだ。
「……」
「薫が……茜が倒れる前に気づいて、対策を考えれば、なんとかなっただろうけど」
「……わりぃ」
山本が悔しそうな顔をして、謝る。
「俺に謝っても意味ない……と、言っても、薫に言っても聞かないだろうけど」
「……」
「俺も……ちゃんと、守ればよかった」
拳を握り、言う。
和は心から後悔し、苦しんでいるようだった。
それを見た山本もまた、これまでの行い悔やんでいるような表情だった。
「何か……方法はないのか?」
「……無理だ。薫はお前らに復讐するまで、止まらないだろう」
首を横に振りながら言う。
「そうか……」
「一つだけ、止める方法はある。でも、それは……」
言葉は続かなかった。
何を思っているのか、何度か首を横にふり、考えを消しているようだ。
「なんだ?」
そこまで否定するのは何故なのか。
山本は気になり、先を言うようにさとす。
「……意味が無い」
「何故だ? 薫を止められるなら、いいんじゃねぇの?」
「その方法は……薫を、殺すなんだ」
数秒してから、ぼそりと和の口から出された言葉は、あまりにも無意味なものだった。
え?なにこのBAD ENDフラグ…?
そんなの私は認めないぞ!!主人公を殺すなんて絶対にダメだー!!
ハハハハ、まさかぁ……BAD ENDになるわけがない!!
大丈夫!大丈夫だ!!
ハッ!それよりも、山本が仲間になった!!
そしてリボーンが登場したw私的にリボーンは何でも知ってますって感じです。
最終編集日 2017/12/15