「……」
薫の言葉に何も言わない裂。
だが、その表情は悲しみに染められていく。
『……これが、一番の理由』
横目で裂の表情を確かめながら、少し離れてそう言う薫。
「薫……それって〔ドカーン!!〕何だ!?」
裂の言葉の途中で、すごい爆発音が聞こえた。
一気に話は流れ、二人とも警戒心を強める。
『……敵かな?』
そう言い、周りの様子を伺いながら部屋を出る。
部屋を出たところで、哉恵と奈津が走ってきているところだった。
「薫! 敵よ!!」
『うん。そうだね♪ どこの奴ら?』
「……分からない。たぶんどっかの中小ファミリーと思うけど……」
『そっか……じゃぁ、僕行ってこようかな♪』
楽しそうにそう言う。
幾分かは警戒心はとけたようだ。
相手をそれだけ低く見ているのだろう。
「駄目に決まってるだろ!」
薫が行こうとすると、後ろから奈津が止めた。
『えー? 何で?』
「お前に、もしものことがあったら……」
奈津の顔は心配で染まっていた。
その表情を見て先ほどの裂との会話が頭をよぎる。
だが、それを振り払うように口角をあげ口を開く薫。
『……そんな簡単に殺られないよ♪』
そう言うと、どこからか、鎌を取り出した。
そして、それを背中にさげてから一気にスピードを上げ、音のするほうへ向かった。
「あっ!! 仕方ない……行こう!!」
その後ろに哉恵、裂、奈津が続いていく。
あぁなったら止まらないと分かったため、薫を説得することは早々に諦めたのだった。
爆発したところに着くと、星と和が先に戦っていた。
すでに相手は数名倒れている。
一方二人にはあまり怪我をしていなかった。
「はっ!」
敵が星に攻撃する。
「きゃ……」
星の武器は弓矢。近距離はあまり得意ではないのだ。
一方、相手は近距離型の武器が多く、星と相性はあまりよくなかった。
それまで和がなんとか星に相手を近づけないように戦っていたようだが、数が多すぎる。
和でも数名倒しきれず星のところへ流れてしまっていた。
すぐに和は星を守りに引き返そうとするが、その前に敵が立ち進めなくなっていた。
このままでは、星が危ない状況だ。
『あらあら……』
ニッコリ笑い、敵に近づく。
あまりの速さに敵は気づいていない。
薫は完全に気配も消しきっている。
真横を通っても気付かないほど、それは完璧なものだった。
「どうだっ!」
敵は勝ち誇ったように、星を見ている。
次の瞬間――
『あまり、僕のファミリーの人を傷つけないでよ♪』
不意に後ろから声を掛ける薫。
「なっ!? いつのまに!?」
敵は驚いたように、振り返る。
その瞬間――
〔ザシュッ!〕
振り返った瞬間、首を切り落とした。
相手は何か言葉を発することもなく、床に崩れ落ちた。
『……一瞬で楽に死ねたことぐらい幸せに思えよ♪』
笑いながらそう言う。
「ひっ!」
他の敵たちが、少し後退りする。
和と対峙していた相手すらも、数秒薫のほうを見てしまう。
『さてと……何の目的かな?』
敵を見てそう言う。
星がやられたことに少し怒っているのだろうか。殺気を含んだ笑みだ。
「あ……お、俺らは、このファミリーのボスの首を取りにきたんだ!!」
怯えながらもそう言う。
敵はみんな息が詰まるような感覚を味わっていた。
突然現れたその存在にみな警戒し、固まった。
その間だけ、誰も動きはしなかった。
ファミリーも、敵も。
『へぇ……で、ボスは誰だか分かってるの?』
「い……いや……それは……」
『(所詮は中小ファミリーか。それでよく攻めてきたな)ボスは、僕だよ♪』
そんなことを考えながらも笑顔でそう言う。
「え……」
その言葉で、さらに敵たちは逃げ腰になる。
誰にも気付かれずに相手に近づく早さ。
一発で仕留めてしまうほどの強さ。
自分たちと格が違うことぐらい、その場の誰もがわかった。
『あらあら……駄目だよ? 今から首とろうとしている相手を前に逃げ腰はね?』
アヤシク笑いながらそう言う。
「……」
恐怖のあまり、声が出ない。
皆、身の危険を感じた。
『ね? 分かっているよねっ♪』
そう言い、鎌を振り上げ、勢いよく振り下ろす。
「う、うわぁぁぁ!!」
〔ザシュ〕
『……フゥ♪ まだまだ暴れようか♪』
そう言い、笑うと敵を次々殺していく。
「うわぁぁ!!」
「やめろっ!!」
「くっそぉー……」
『アハハハッ』
その中で、楽しそうに笑いながら戦っている。
「……」
和は薫の強さに見とれていた。
いつの間にか、攻撃する手も止めて、薫を見ている。
それと同時にあんなに楽しそうにしているのはこの頃見ていなかったからだ。
「和? どうかした……!!」
星は和の顔を覗き込み、何かを察したようにそれ以上、何も言わなかった。
「……」
和は黙ったまま薫を見ている。
『アハハハッ! まだまだ♪ もっと僕を楽しませてよ♪』
「楽しそうね」
薫をみて、哉恵が呟く。
「……あぁ」
和は嬉しさと共に悲しさも感じていた。
最近、あんな顔を見ていなかったから、それは嬉しかった。
だが、それと共に、それは、和のおかげで笑っていないことが悲しかった。
自分に向けられた笑顔でないのが悲しかった。
ずっと、守ってきたが、和の心の中には小さな迷いが出来ていた。
このままで良いのか? そんなことを考えていた。
このまま、間違ったままで良いのだろうか。
本当にみんなを殺してしまうのか。
本当に復讐というだけなんだろうか。
本当に……人を信じていないのか。
色んなことを考えていた。
そのため……
「ぅ……くっそ…………」
かすかに意識のある敵は後ろから薫に銃を向け、撃とうとしている。
和は考え事をしていて、それに気づくのには時間が掛かった。
和が気づいた頃には遅かった。
「……!! 薫! 危ない!!」
「死ねぇ!!」
瞬間、その場に銃声が響いたのだった。
あれは、もう名言にしたい。あの薫の一言。
『一瞬で楽に死ねたことぐらい幸せに思えよ♪』
……こんなこと言ってみたいw←
今回は、改めて、薫の強さを…ね。敵さん全然出ないからさ………
あと、和の心境ですよねー。ここ、重要w
最終編集日 2017/12/17