『!!』
敵の声に薫は振り返る。
だが、その表情は余裕そうだった。
響いた銃声、それは確かに敵が銃を打った音であった。
だが、薫には傷ひとつ出来ていない。
いつものように怪しい笑みを浮かべているだけだ。
その光景に敵は驚いたように目を見開いている。
『……残念だったね。僕の仲間は優秀なんだ』
「な、何でだ……確かに俺は撃ったはず!!」
『うん、そうだねぇ……それを僕の仲間が防いだ、それだけの話だよ』
そう薫が言うと、敵はさらにありえない、と言いたげな表情をする。
当然だろう。
打った銃が止められるなんて、普通は考えない。
だが、それを可能にしたのが――奈津だった。
いや、実際は止めた、というよりもずらした、と言ったほうが正しい。
響いた銃声は敵のものだけではなかった。もうひとつ、奈津のものもあったのだ。
奈津は敵の行動にいち早く気付き、構えていた。
敵の銃弾よりも大きめのものを使い、弾き飛ばすようにして軌道をずらしたのだ。
凄技、という他ならなかった。むしろそれでとどめて良いのかすら疑問なほどだ。
『分かったかな? 僕たちに勝つなんて無理だって』
〔カチャ〕
薫がそう言ったとほぼ同時に敵の後ろで何やら音がする。
「なっ……」
敵は後ろを向かない――否、向けなかった。
振り向けば確実に死ぬ。自分の真横に何があるかは分かっていた。
敵の横を通っているもの――剣だった。
いつの間にか、裂が後ろにまわりこんでいた。
「……ファミリーはボスだけじゃないって……忘れてねぇよなぁ?」
裂が剣を首に軽く付けながら言う。
「ひっ!!」
次の瞬間――
〔ザシュッ〕
一気に首を切り落とす。
切り落とされた首はコロコロと転がり、薫の足元で止まった。
『油断したのは、そっちだったね♪』
そう笑いながら言った。
(良かった……また、何も出来ないところだったな……)
和はそう思ってから、周りを見渡す。
敵はもう、全員死んでいた。
すごい速さで全員を倒したのだ。
『あー、楽しかった♪』
「すごい血……」
『え? あぁ、本当だ』
星の言葉に、薫は自分の姿を見る。
薫の服や顔は返り血を浴びたため、すごいことになっていた。
「頑張ったわね」
『アハハッ、あんなの弱すぎるよ♪ まぁ、奈津と裂にはお礼を言わないとね♪』
「え?」
『助けてくれてありがとう』
「べ、別に……たまたま、近くに居たからだ!」
「怪我がないようで、良かったよ」
『うん、おかげさまでね……裂は、まぁ、そういうことにしといてあげる』
ニコニコしながらそう言う。
薫は当然気付いていたのだ。銃声が鳴ったとともに、裂が動いたことに。
「……そんなことより! はやくその血、何とかしろよ! 固まるぞ?」
裂は少し照れたのか顔を赤くしながらそう言う。
『ん? そうだね。じゃぁ、お風呂でも入ってくるよ』
そう言い、歩き出す。
「ちゃんと、おとさないとダメだよ」
歩き出したところ、後ろから星がそう言う。
『分かっているよ……あ、やられたところ、大丈夫?』
「えぇ」
『そっか……一応、聖菜姉さんに診てもらいなよ』
そう言ってから、お風呂場のドアを開けて入っていった。
「……和」
薫が風呂場へ入っていった後、裂が和を呼ぶ。
「ん?」
「お前、何考えてた」
「……」
裂の責め立てるような言葉に何も言えない和。
当然だ、戦闘中に迷いを起こし、反応に遅れたなど、言えるはずもない。
「……他の奴が居なかったら、今頃薫が倒れてたかもしれないんだぞ」
「あぁ……」
「お前は、アイツの右腕だろ! 薫のこと守るって言ってたのはお前だろ!!
なのに……アイツの命を危険に晒して……どういうつもりだよ!!」
和の胸ぐらを掴んで、怒鳴る裂。
そんな裂に和は抵抗しない。
自分でも、わかっているからだ。もし裂や奈津居なかったら……
結局、和は何も言えず、止めにはいった哉恵によって、その場はおさまった。
お風呂から上がった、薫はリビングに向かった。
〔ガチャ〕
「あら、おかえりなさい」
『うん』
「もうすぐ、晩御飯よ」
『もうそんな時間か……』
時計を見ながらそう言う。
それから椅子に座る。
少し疲れたように、背もたれに体をあずけ、小さくため息を吐く。
しばらくボーっとしてると、リビングに入ってきた哉恵が薫の近くに座り、少し小声で聞いてきた。
「薫……和と何かあった?」
その問いに薫は少し首をかしげる。
今日一日だけで、この話題を持ちかけられるのは3人目だ。
なぜそんなに、みんな自分と和のことを気にするのだろうか。
薫はそれが不思議で仕方ない。
だが、薫からすればいつものように過ごしたつもりだった。
そんなにも分かりやすいかとも思ったが、まだそんなに深く疑問に持たれているようでもなかったので、普通に答えることにした。
『特に何も無いけど?』
「なら、いいんだけどね……」
そう言うものの、哉恵は浮かない顔をしたのだった。
それからしばらくして
「「「いただきます」」」
そうみんなで言い、ご飯を食べ始める。
『うん♪ 今日もおいしい♪』
「ありがとう」
その後は、みんなで喋りながら食事をした。
〔薫の部屋〕
ベッドに座り込んでボーっとしている。
と、そこに……
〔コンコン〕
『どうぞ』
〔ガチャ〕
『……和』
「……」
和は何だか気まずそうに部屋に入ってくる。
『どうしたんだ?』
「いや……その……俺は、お前の何?」
『え?』
少し驚いたような顔をする薫。
すぐには答えを出せない様子だった。
『何、か……難しいな』
「……」
悲しそうな顔で薫を見ている和。
『んー……家族、みたいなものかな?』
「えっ?」
今度は和が驚く。
友人や仲間と言われるのなら分かった。だが、家族と言われるとは思っていなかったのだ。
当然、ファミリーとすればそうなるのだが、そういう意味ではないと和はわかっていた。
『いつも側に居るからさ……ま、僕に家族なんて必要ないけどね』
「そうか……あ、悪い、それだけだから……」
そう言い、部屋から出て行こうとする。
『和』
そんな和を呼び止める薫。
気を使ったのか、少し優しい声色だった。
「ん?」
振り向いて首を傾げる。
『……さっき、何もできなかった事……ちょっと、悔やんだ?』
「え? ……ちょっとどころじゃないよ」
『そう』
少し微笑みながらそう短く言う。
「悪い、何も出来なくて……お前に何かあってからじゃ遅いのに……」
『このとおり、何もなかったから良いよ』
申し訳なさそうな顔をする和。
『あんまり、自分を追い込まないほうがいいよ?』
「でも……また、お前を守れないなんてことがあったら……」
『……それは、和のせいじゃないよ。僕が勝手に行動しているだけだしね♪(また、か)』
微笑みながらそう言う。
『あと……和の事、迷惑ではないから。ただ……あまり、僕の事を知らないほうがいいよ?』
なんか、今回、グロかった…?私が、怖がりすぎるのかな?作者なのに………;
戦闘を楽しむって、雲雀みたいになっちゃった☆
まぁ、普通に考えれば、主人公はあんなことで死なないよね…;
やっぱ、和との会話は多くなるものだよね。
薫は最初に比べたら柔らかくなったと思うんだw
最終編集日 2017/12/17