悪の復讐劇   作:カオル06

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気が付いたころには、距離は遠くなっているかも知れません。


和との距離

『!!』

敵の声に薫は振り返る。

だが、その表情は余裕そうだった。

響いた銃声、それは確かに敵が銃を打った音であった。

だが、薫には傷ひとつ出来ていない。

いつものように怪しい笑みを浮かべているだけだ。

その光景に敵は驚いたように目を見開いている。

『……残念だったね。僕の仲間は優秀なんだ』

「な、何でだ……確かに俺は撃ったはず!!」

『うん、そうだねぇ……それを僕の仲間が防いだ、それだけの話だよ』

そう薫が言うと、敵はさらにありえない、と言いたげな表情をする。

当然だろう。

打った銃が止められるなんて、普通は考えない。

だが、それを可能にしたのが――奈津だった。

いや、実際は止めた、というよりもずらした、と言ったほうが正しい。

響いた銃声は敵のものだけではなかった。もうひとつ、奈津のものもあったのだ。

奈津は敵の行動にいち早く気付き、構えていた。

敵の銃弾よりも大きめのものを使い、弾き飛ばすようにして軌道をずらしたのだ。

凄技、という他ならなかった。むしろそれでとどめて良いのかすら疑問なほどだ。

『分かったかな? 僕たちに勝つなんて無理だって』

〔カチャ〕

薫がそう言ったとほぼ同時に敵の後ろで何やら音がする。

「なっ……」

敵は後ろを向かない――否、向けなかった。

振り向けば確実に死ぬ。自分の真横に何があるかは分かっていた。

敵の横を通っているもの――剣だった。

いつの間にか、裂が後ろにまわりこんでいた。

「……ファミリーはボスだけじゃないって……忘れてねぇよなぁ?」

裂が剣を首に軽く付けながら言う。

「ひっ!!」

次の瞬間――

〔ザシュッ〕

一気に首を切り落とす。

切り落とされた首はコロコロと転がり、薫の足元で止まった。

『油断したのは、そっちだったね♪』

そう笑いながら言った。

(良かった……また、何も出来ないところだったな……)

和はそう思ってから、周りを見渡す。

敵はもう、全員死んでいた。

すごい速さで全員を倒したのだ。

『あー、楽しかった♪』

「すごい血……」

『え? あぁ、本当だ』

星の言葉に、薫は自分の姿を見る。

薫の服や顔は返り血を浴びたため、すごいことになっていた。

「頑張ったわね」

『アハハッ、あんなの弱すぎるよ♪ まぁ、奈津と裂にはお礼を言わないとね♪』

「え?」

『助けてくれてありがとう』

「べ、別に……たまたま、近くに居たからだ!」

「怪我がないようで、良かったよ」

『うん、おかげさまでね……裂は、まぁ、そういうことにしといてあげる』

ニコニコしながらそう言う。

薫は当然気付いていたのだ。銃声が鳴ったとともに、裂が動いたことに。

「……そんなことより! はやくその血、何とかしろよ! 固まるぞ?」

裂は少し照れたのか顔を赤くしながらそう言う。

『ん? そうだね。じゃぁ、お風呂でも入ってくるよ』

そう言い、歩き出す。

「ちゃんと、おとさないとダメだよ」

歩き出したところ、後ろから星がそう言う。

『分かっているよ……あ、やられたところ、大丈夫?』

「えぇ」

『そっか……一応、聖菜姉さんに診てもらいなよ』

そう言ってから、お風呂場のドアを開けて入っていった。

 

「……和」

薫が風呂場へ入っていった後、裂が和を呼ぶ。

「ん?」

「お前、何考えてた」

「……」

裂の責め立てるような言葉に何も言えない和。

当然だ、戦闘中に迷いを起こし、反応に遅れたなど、言えるはずもない。

「……他の奴が居なかったら、今頃薫が倒れてたかもしれないんだぞ」

「あぁ……」

「お前は、アイツの右腕だろ! 薫のこと守るって言ってたのはお前だろ!!

 なのに……アイツの命を危険に晒して……どういうつもりだよ!!」

和の胸ぐらを掴んで、怒鳴る裂。

そんな裂に和は抵抗しない。

自分でも、わかっているからだ。もし裂や奈津居なかったら……

結局、和は何も言えず、止めにはいった哉恵によって、その場はおさまった。

 

 

 

お風呂から上がった、薫はリビングに向かった。

〔ガチャ〕

「あら、おかえりなさい」

『うん』

「もうすぐ、晩御飯よ」

『もうそんな時間か……』

時計を見ながらそう言う。

それから椅子に座る。

少し疲れたように、背もたれに体をあずけ、小さくため息を吐く。

しばらくボーっとしてると、リビングに入ってきた哉恵が薫の近くに座り、少し小声で聞いてきた。

「薫……和と何かあった?」

その問いに薫は少し首をかしげる。

今日一日だけで、この話題を持ちかけられるのは3人目だ。

なぜそんなに、みんな自分と和のことを気にするのだろうか。

薫はそれが不思議で仕方ない。

だが、薫からすればいつものように過ごしたつもりだった。

そんなにも分かりやすいかとも思ったが、まだそんなに深く疑問に持たれているようでもなかったので、普通に答えることにした。

『特に何も無いけど?』

「なら、いいんだけどね……」

そう言うものの、哉恵は浮かない顔をしたのだった。

 

 

それからしばらくして

「「「いただきます」」」

そうみんなで言い、ご飯を食べ始める。

『うん♪ 今日もおいしい♪』

「ありがとう」

その後は、みんなで喋りながら食事をした。

 

 

 

〔薫の部屋〕

ベッドに座り込んでボーっとしている。

と、そこに……

〔コンコン〕

『どうぞ』

〔ガチャ〕

『……和』

「……」

和は何だか気まずそうに部屋に入ってくる。

『どうしたんだ?』

「いや……その……俺は、お前の何?」

『え?』

少し驚いたような顔をする薫。

すぐには答えを出せない様子だった。

『何、か……難しいな』

「……」

悲しそうな顔で薫を見ている和。

『んー……家族、みたいなものかな?』

「えっ?」

今度は和が驚く。

友人や仲間と言われるのなら分かった。だが、家族と言われるとは思っていなかったのだ。

当然、ファミリーとすればそうなるのだが、そういう意味ではないと和はわかっていた。

『いつも側に居るからさ……ま、僕に家族なんて必要ないけどね』

「そうか……あ、悪い、それだけだから……」

そう言い、部屋から出て行こうとする。

『和』

そんな和を呼び止める薫。

気を使ったのか、少し優しい声色だった。

「ん?」

振り向いて首を傾げる。

『……さっき、何もできなかった事……ちょっと、悔やんだ?』

「え? ……ちょっとどころじゃないよ」

『そう』

少し微笑みながらそう短く言う。

「悪い、何も出来なくて……お前に何かあってからじゃ遅いのに……」

『このとおり、何もなかったから良いよ』

申し訳なさそうな顔をする和。

『あんまり、自分を追い込まないほうがいいよ?』

「でも……また、お前を守れないなんてことがあったら……」

『……それは、和のせいじゃないよ。僕が勝手に行動しているだけだしね♪(また、か)』

微笑みながらそう言う。

『あと……和の事、迷惑ではないから。ただ……あまり、僕の事を知らないほうがいいよ?』

 




なんか、今回、グロかった…?私が、怖がりすぎるのかな?作者なのに………;
戦闘を楽しむって、雲雀みたいになっちゃった☆
まぁ、普通に考えれば、主人公はあんなことで死なないよね…;
やっぱ、和との会話は多くなるものだよね。
薫は最初に比べたら柔らかくなったと思うんだw


最終編集日 2017/12/17
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