「……くっ」
雲雀はそのまま倒れ込んだ。
苦しそうな顔をしながら傷口を押さえるが、広がる赤を止めることは出来ない。
どんどん服にしみていく赤色。
雲雀はだんだん頭がぼんやりしてくる感覚に襲われる。
そして、そのまま意識を手放すのだった。
『……エースっていっても、まだ弱いな♪』
そう言い笑う薫。
だが、帰ろうとはしない。
ひたすら、倒れた雲雀を見つめる。
(すげぇとこ、見ちまったぜ……)
ドアの前では、誰かが立っていた。
だが、その人は屋上での光景を見ると、すぐに去っていった。
『(あのドアの向こうに、誰か居たな……まぁ、綱吉たちでは、なさそうだし、良いか)』
薫は誰か居ることを分かっていたが、人物は確かめなかった。
誰相手でも勝つ自信はあった。
この自信は決して過信しているわけではなかった。ただの事実である。
しばらくして
「……んっ…………」
倒れたはずの雲雀が目を覚ました。
『あっ、起きた♪』
そんな雲雀の姿を見て驚いた様子も見せずにそう言う薫。
やられた雲雀が起き上がるなんてことあるはずないのに、薫はそれが当然と言うような顔をしている。
「……?」
状況が理解できない雲雀。
刺されたところを触れてみるが痛みも、傷跡すら残っていない。
『……フッ』
雲雀の不思議そうな顔を見て笑う薫。
「どういうこと?」
『お前、元から死んでないわけ……というか、刺してないし♪』
「??」
さらに状況が分からない。
確かに自分は刺された。痛みもあった、意識も失った。
それなのに、刺してない? 雲雀は薫の言っていることが全く理解できない。
『さっきの、僕の幻術だよ♪ リアルだったでしょ?』
ここでやっと種明かしをする薫。
「幻覚?」
少し怒ったような顔になる。
『あ、怒った?』
「当然だよ……僕が幻覚嫌いなの知っている?」
『知っているよ。だからだよ♪』
「……(また、殺さなかった)」
幻覚で刺されたところを押さえる。
あれほどの痛みが全て嘘。どれだけ、強い幻覚にかかっていたのだろう。
そもそもどこから幻覚だったのかさえ分からない。
『……なら、本当に殺そうか?』
そう言うと、鎌を雲雀に向ける。
『これは、リアルだよ?』
少し目を細めて笑いながらそう言う薫。
「……」
『ま、冗談だけどね♪』
全く抵抗を見せない雲雀に一瞬だけ薫の口角が下がる。
だが、すぐにいつものように怪しく笑うとそう言い、鎌を消す。
「……」
『そんな、怒らないでよ……僕は帰るから♪』
黙り込んでいる雲雀を怒っていると思ったのか、そう言い、薫は帰っていった。
「……くっ」
負けたイラつきと悔しさを抱え、雲雀は見回りを続けた。
〔薫の家〕
『ただいま』
「薫!!」
帰ると、真っ先に奈津が駆け寄ってくる。
『ん? どうかした?』
「どうかした? じゃないよ! こんなに遅くまでどこ行って……」
『あぁ……ちょっと、戦ってきたんだよ』
そう言うと、今日あった事の説明をする。
説明が終わってから――
「な、何だ……あんまり遅いから、すごく心配した」
『ごめん、ごめん』
全く悪びれた様子もなく、軽く謝る薫。
その様子に奈津は少しだけ頬を膨らませるが、すぐに疑問があり表情を戻した。
「にしても……何で殺さなかったの?」
『ん? それは……なんとなく♪ 楽しみは後で取っとかないと♪』
理由を言うとまた、メンドくさくなりそうだったので何も言わなかった。
「あ、そうなんだ?」
少し、不思議そうな顔をして言う。
納得のいく答えではなかったものの、薫には薫の考えがあるのだろうと思い追求はしなかった。
『まぁ、明日もあるし、ご飯食べてお風呂はいって寝るよ』
「あぁ……そうだな」
その後は普通に過ごし、眠りについた。
〔次の日〕
『……』
珍しく自分で起きる。
〔コンコン ガチャ〕
「薫、起き……てる」
『おはよう』
「どうかしたのか?」
『何も無い……早く学校行こうか』
いつもの笑顔で言う。
「あぁ、そうだな?」
あまりの珍しさに和は少しついていけなかった。
〔教室〕
「えー、HR始めるぞー! 今日は転入生が居るんだ!」
〔ザワ〕
教室内がざわめく。
男子か、女子か、かっこいいか、可愛いかなど思い思いを口にする。
『へぇ♪ 転入生ねぇ……?』
怪しく笑う薫。
「じゃぁ、入ってこい!!」
〔ガラッ〕
勢いよく教室に入ってくる一人の男子生徒。
「じゃぁ、自己紹介を頼む」
「……
無愛想にそう言う。
『(よろしく、ねぇ……? そう言うわりには無愛想……まぁ、どうでもいいか)』
さっきとは違いつまらなさそうな顔をする薫。
「……」
紅月が薫をジッと見ている。
『?』
最初は何だ? と思ったが、どうでもいいと目線を逸らす。
「……」
薫が目線を逸らしたあとも、紅月は薫を見ていた。
「じゃぁ席は……藤咲の後ろだ」
(うわぁ、マジでか)
そんなことを思っていると、薫のほうへ向かって歩いてくる。
「……」
薫の隣に来て、一度立ち止まる。
そして、薫をジッとみる。
(近くで見ると結構迫力だね~……赤色の目か……)
怪しく笑いながら、そう思う薫。
紅月は黒髪により赤目が目立つという、印象に残る顔立ちをしていた。
「……」
二人は数秒お互いを見定めるように見た後、今度は紅月が先に視線を逸らし、席に座る。
〔休憩時間〕
「薫……大丈夫か?」
休憩になると、和がすぐに近づいてくる。
『ん? 何が?』
「だから、その……」
「なぁ」
不意に後ろから、声が聞こえそちらを見る。
当然そこには、先ほどの転入生、紅月がいた。
『?』
「……お前……何者?」
紅月は怪しい者を見るような目で、声を潜めてそう言った。
失礼だな。いきなり『何者?』ってw
いやぁ、しかし、もう薫はなんでもありだな。最強主人公が好きなもので、ついw
長剣とか短剣も使うし、幻術も使うし………
あ、でも一番使うのは鎌ですね……おっきいのです。ほら死神とか持ってるようなあれ。
転入生も重要だったり違ったり←
ちなみにこの紅月はとある友人に昔頼まれて作ったキャラだという裏話w
最終編集日 2017/12/17