勝負は本当にすぐつくのです…;
『何者? ……さぁ?』
挑発的な返事をする薫。
それを聞いて紅月はかすかに眉をひそめる。
「一般人……では、無いだろ?」
探るようにそう聞く紅月。
それに対して薫は一度冷たい表情になる、だがすぐに不適な笑みを浮かべた。
『一般人? そんな奴らと一緒にされるなんて嫌だね』
その急激な変化に紅月は息を呑む。
一瞬にして出た敵意を、また一瞬にして戻す。
とても完璧に隠している中、その言葉を発する薫の存在はどこか奇妙なものであった。
思わず、自ら警戒をといてしまいそうになるほど、薫に対しての敵意を失われそうになる。
持っていかれまいと紅月は歯を食いしばる。
「へぇ……だったら……」
〔シュッ〕
紅月がそう言った瞬間、薫のすぐ横をダガーが通った。
反射的に立ち上がって、それを避ける薫。
「大丈夫か!?」
すぐに薫に近寄る和。
薫を庇うように立ち、紅月をにらむように見る。
『……当たり前』
そう言うが少し頬を掠り、血が出ている。
(この至近距離で、直撃を避けた……)
そのことに、驚く紅月。
『……そっちも、只者じゃないみたいだね……』
「お前も、な……よく避けたな」
少し笑いながらそう言う。
『完全に避けたわけじゃないけどね』
薫も少し笑う。
二人の間に異様な空気が漂う。
和が薫のほうを向く。
「とりあえず、手当てしないと……」
『このくらい大丈夫だ』
「……そうか」
そう言い、伸ばした手を引く和。
その時、和が拳を強く握り、少し表情を変えたのを薫は気付かなかった。
『……さて』
「来るか?」
『んー、今は止めておくよ』
アヤシク笑いそう言う。
「何で?」
『勝負なら、放課後受けてあげるよ……ここでやるのは、なんだし』
そう言った薫は少しだけ教室内を見る。
先ほどのことで、生徒たちは少しざわめいていた。
「放課後だな……?」
紅月も同じように教室を見て、少し不思議そうな顔をする。
突然ダガーが飛び、ざわめくのはわかる。
だが、薫を心配する生徒が、和以外いないことに疑問を持った。
ダガーが飛び、女子生徒の頬から血が出ている。
明らかに普通ではない光景を見ているのにも関わらず、ニヤニヤと笑っている者もいる。
ダガーを見て怯えて近づけない、という雰囲気ではない。
他の生徒から薫へと視線を戻す。
薫はそれが普通だとでもいうように、先ほどからと同じように怪しく笑みを浮かべているだけだった。
『ま、放課後楽しみにしているよ♪』
〔キーンコーン〕
「……分かった」
少し考えるようなしぐさをしたあと、納得したように席に座る。
「薫……」
心配そうに和が呟く。
『なにそんな顔してんの? 大丈夫だよ』
「……あぁ、そうだな」
少し気にくわなさそうな顔で席に戻る和。
『……』
どんな和を見た後、黙ったまま席に座り、掠って出た血をグイッと拭く。
(転入生と対決……?)
ずっと、会話を聞いていたツナが心の中で不思議に思う。
(あの子、何考えてるの?)
桃もまた、薫の考えを理解することは出来ずにいた。
その後は、普通に授業は進んでいった。
紅月は授業中も黙ったまま、薫を見ていた。
だが、薫はそんなの気にしないようにいつもの調子で過ごしていた。
〔放課後〕
「おい、約束の放課後だ」
『ん? あぁ、そうだね♪』
「……本当に、やるのか?」
和はまだ不満げに、そう言う。
『当たり前だよ♪』
そう言う薫の表情は、恐怖感など無いむしろ、楽しんでいるように見える。
「……そっか」
まぁ、薫は負けるはずないと信じ、これ以上は言わないことにした。
『まぁ、屋上にでも行こうか?』
「あぁ」
そうして、3人は屋上に向かう。
〔屋上〕
屋上への扉を開けると、いつものように雲雀が居た。
「やぁ」
少しアヤシイ笑みを浮かべそう言う。
『どうも♪』
「……昨日の続きでもしようか」
そう言うと、トンファーを取り出す雲雀。
それを見た薫は少し笑う。
『昨日の勝負は僕の勝ちだよ』
「何言っているの? 決着はついてないよ」
少し怒ったように言う雲雀。
決して戦闘を諦める様子はない。
『フッ……残念だね。今日は先客がもう居るんだよ♪』
それを見ても、動じずにそう言う。
「先客?」
『うん♪』
そう言って、後ろを見る。
その後ろから、紅月が出てくる。
「わぉ、僕を差し置いて、先にソイツと勝負かい?」
『そうだよ』
ニコニコしながらそう言う。
いつも通り、悪意を感じさせない笑みだ。
「勝負はすぐにつくんだろうね?」
『さぁ? それはどうか分からないな?』
少し首を傾げそう言う。
本当はすぐにつくだろうと思いつつ。
「……心配するな、すぐに勝負はつく」
薫の心の中を代弁したかのようなタイミングで紅月がそう言った。
「へぇ……君が勝つのかい?」
「当たり前だ。俺は誰にも負けない」
そう断言する紅月。
ハッタリではない。本当に勝つ自信があるように見える。
「それは、楽しみだね……薫に勝てる人を見た事無いしね」
そう言うと、上にのぼって座る雲雀。
『……何してんの?』
「少し、興味が湧いたよ。見学させてもらうよ」
『じゃぁ、和もそこに座っておきなよ』
その言葉に、雲雀の近く――と、言っても結構遠い――場所に座る和。
「……すぐに済む。負けるのはお前だ」
『負ける気は無いよ?』
そう言い、お互い不敵な笑みを浮かべる。
次の瞬間――
〔カキンッ、カキンッ〕
激しい音をたて、勝負は続く。
紅月はどんどん、ダガーを投げる。
それを薫は簡単に避け、たまに短剣で落とす。
そんな勝負がしばらく続く。
「……なかなかやるようだな」
『それはどうも♪』
しばらく勝負は続き
「チッ……そろそろ、諦めろ……ハァ、ハァ」
紅月の息は上がっていた。
『何? ギブなの?』
それに対し、雲雀の時と同じように、息ひとつ乱していない薫。
いつものように、口角をあげ笑っている。
「そんなわけ……!!」
急に紅月が跪く。
どうやら、体力の限界が来ていたようだ。
『?』
同時に薫も動きを止める。
「どうやら、勝負はついたようだね」
それを見た雲雀が、紅月に近づき言う。
「くそっ……」
『……終わりか……じゃぁ、死ぬ?』
そう言うと、鎌を紅月に向ける。
「……」
覚悟を決めたのか、目を閉じる。
『……』
〔シュッ――〕
薫はそんな紅月を冷たく見下ろしたあと、鎌を振り下ろした。
わー、そんなちゃんとした戦闘シーンが書けると思ってるの?無理だよw
書けないよ……なので、戦闘シーンはすぐに終わらせる。
で、最後、切っちゃいました…よね?どうなる!?
最終編集日 2017/12/18