誰もが紅月に向かって鎌を振り下ろしたものだと考えた。
だが、薫は空気を切った。
「……?」
いつまで経っても何も起こらないので、目を開ける紅月。
「……薫?」
和が不思議そうに首をかしげている。
それは見ていた誰もが取った行動だ。
和同様、その場にいた雲雀もまた不思議そうに薫を見た。
『殺さないよ』
そう言いながら、薫は持っていた鎌をしまう。
「何で……?」
率直な疑問だった。
紅月は何が起こっているのか、いまいち理解しきれていない様子だ。
『僕はボンゴレにしか興味ないしね♪』
少し笑いながらそう言う薫。
「ボンゴレ……?」
『そこに居るのも、ボンゴレの一人だよ』
雲雀を指して言う。
「何言ってんの? 僕は草食動物と群れる気なんてないよ」
『それはごめんなさいね♪』
笑いながらそう言う。
反省している様子は全く無い。実際していないのだ。
「ふざけてるの?」
トンファーを構えそう言う。
『そんなわけ無いじゃないですか』
「そう……じゃぁ、勝負も終わったみたいだし。次は僕が相手だよ」
『そうしたいところだけどね~……残念、時間切れだね♪』
そう言い、出口に向かう。
「あ、薫、待って」
急いで薫に駆け寄る和。
『……それでは、さようなら♪』
〔バタン〕
誰かに止められる前に薫は早々にドアを閉めて行った。
「くそっ」
地面を叩きながら思わず言葉を吐く紅月。
理解したところで助けられたという怒りがこみ上げてきたのだ。
「……怪我してないかい?」
残された雲雀は諦めたように紅月に近づきそう言う。
「してない」
顔を背けそう言う。
「そう……なら、いいよ(興味……それだけの理由で殺さない?)」
「お前、マフィアだろ? なのに、人助けなんて……」
少し首をかしげながら言う。
「マフィア? 僕はそんな仲間必要ないよ
それに、学校内でけが人でも出たら困るしね……僕の屋上を汚さないでよ」
「……まぁ、いい……マフィアは全員俺の敵だし」
立ち上がりながら言う。
「全員?」
「あぁ……マフィアなんて、ろくな奴居ないし」
「……さっきの、薫はいい奴なんじゃない?」
雲雀らしからぬ言葉が出る。
雲雀自身も、なぜこのような言葉が出たのか分からない。
だが、その中に微かにかつての茜の存在が映し出されていた。
「は? アイツが?」
少しありえないというような顔で言う紅月。
「……まぁ、君には関係無いけどね」
雲雀は自分の考えも振り払うかのようにそう言った。
〔その頃〕
『不思議な転校生だったね~♪』
「あぁ、でも何で殺さなかったんだ?」
少し首を傾げながら言う。
『ん? んー……理由なんて無いよ……ただ、興味とかは、関係無い、かな?』
少し考えるようなしぐさを見せた後そう言う薫。
「でも、他の雑魚とかは普通に殺すのに……」
『……じゃぁ、強かったから?』
少し苦笑しながら言う。
「強い? ……薫より強い奴なんて居ないだろ?」
『分からないよ? ……まぁ、今回はそういうことにしておいてよ?』
悲しそうな笑みでそう言う。
「……分かった」
そんな薫を見つめながら、和はそう言った。
これ以上の追求を求めないという考えを確かに受け取ったのだった。
〔次の日〕
『ふわぁ……眠い』
「学校来てから、何回目だ?」
『そんなに言った?』
眠い目を擦りながら言う。
「うん」
『じゃぁ、ちょっと寝る……』
「え?」
少し驚きながら薫を見る。
『スゥ、スゥ……スゥ』
そこには、もう眠った薫が居る。
(相変わらず、早いな)
少し笑いながらそう思う和。
「おい」
不意に後ろから声が聞こえる。
「!!」
和は薫を守るような態勢で振り向く。
「……」
そこには紅月がたっていた。
「……何だ?」
警戒心まるだしでそう聞く和。
「お前じゃない……俺はそっちに用がある」
そう言い、薫を指さす。
「……今、寝ている」
「……そうか」
そう言うと、おとなしく席に座った。
『ん……?』
「起きたか?」
『……あぁ』
寝ぼけているのかボーっとしているように見える。
そんな姿を見せるのも和がいるからだろうか。
「起きたならいいよな?」
すぐに、紅月が寄ってくる。
『?』
「昨日の勝負の続きだ」
「お前、何言って――」
『和、いいから』
言葉で和を制す薫。
先ほどまでの眠そうな薫はすでにいなくなっていた。
いつも通り、余裕そうに紅月を見ている。
「……」
おとなしく、薫の横に立つ和。
『……昨日の勝負は僕の勝ち。それだけだよ』
「俺は負けてねぇ……負けなんて……認めない」
『……何、そんなに勝ちにこだわってんの? 君の負けだよ』
少し冷たくそう言う。
「俺は死んでねぇ……だから、負けてねぇ」
『……君の中では、負け=死ぬ……って、いう方程式があるんだ?』
「当然だ……マフィアの世界では普通だ。マフィアなんて……殺しが仕事だろ?」
少しバカにするようにそう言う。
『……そうかもね……不必要なものは捨て、人を殺す……それだけかもね』
「だったら……勝ちって言うなら、俺を殺せよ」
『……昨日、言ったよね?』
少し笑いながら言う。
「あんな、理由……納得できるかよ。マフィアなんて容赦なく、人を殺すはずなのに」
『僕には僕のやり方がある。何かに命令されて動きたくないよ』
「意味わかんねぇ……だったら、お前を殺す」
そう言うと、薫にダガーを向ける。
「てめっ、やめろ!」
それを止めようとする和。
『和、落ち着いて……殺されるの? それは困るなぁ♪』
また、言葉で和を制してから、いつもの口調で言う。
「……」
だが、紅月は真剣な目で薫を見ている。
『ハァ、本気か……だったら……』
〔カキィンッ ダンッ〕
「!?」
「薫?!」
今の一瞬で、薫は紅月の持っていたダガーを弾き飛ばし、紅月の首を持ち、床に叩きつけた。
もちろん、紅月の首を絞めたまま。息は出来ない。
『……さて、今僕は君を殺そうと思えば殺せる……君は、どうする?』
薫はいつものように不敵な笑みを浮かべそう言った。
さて、相手が本気なら薫もそれなりに応えるようです。
とりま、紅月を倒さなかった理由は各自の判断で良いです。
にしても、あれですね…今回、割とツッコミながら書きました。
雲雀はツンデレっぽくなったし、紅月は獄寺みたいなこと言ってたしw
あそこ……えっと、「全員敵だ」みたいなところですw
最終編集日 2017/12/19